レオパレス21施工不良問題「見過ごされてしまったワケ」とは?

賃貸アパート大手のレオパレス21が施工した建物に施工不良が見つかった問題で、レオパレス21は同建物の入居者7,782人に2019年3月末までの退去をお願いしているようです。

補修工事のためとはいえ、2~3月は年度末のうえ引越しシーズンでもありますので、なかなか住み替え先の決まらない入居者も少なくないでしょう。

そもそも「なぜ」長期間にわたりこの様な施工不良が見過ごされてきてしまったのでしょうか?

行政のチェック機能はどうだったのか?

建設中

HAKU / PIXTA(ピクスタ)

建物を建築する場合には、建築基準法とともに各自治体ごとに制定されている様々な制限を受けます。

アパートのような共同住宅に対しては事前協議を要する条例や行政指導を行っている自治体もあります。

それらを事前に調査し、各制限に従ってまず行わなければならないのは「建築確認の申請」です。

建築主は「建築主事」または「指定確認検査機関」に確認申請書を提出し、その計画が建築基準法等の基準に適合していることの確認を受けなければなりません。

この基準に適合していることが確認されれると「確認済証」が交付されます。

この「確認済証」が建築行為の「第一のチェック」といえますが、施工者がこのとおりに施工しなかったことで今回の問題が起こってしまったのです。

 

中間検査は適正に行われたのか?

YNS / PIXTA(ピクスタ)

「第二のチェック」として挙げられるのは「中間検査」です。

中間検査とは建築物の安全性に深く関わる工程(特定工程)が終わった段階において、建築物が法令基準に適合しているかの検査です。

中間検査の対象となる建築物は、中間検査合格証を受けないと次の工程に進むことが出来ないのです。

しかし、この中間検査についてその中身を問題視する声が絶えません。

実は、この中間検査の対象となる建築物の範囲が少し狭いのではないかと言われています。

建築基準法第7条の3によると、特定工程を有する(つまり中間検査を受けなければならない)対象建築物は、「階数が3以上である共同住宅の床及びはりに鉄筋を配置する工事の工程」とされているのです。

阪神・淡路大震災の際に、建築の施工不備による被害が多数みられたため、これまでも何度か建築基準法の改正が行われ、さらには特定行政庁(建築主事を置く都道府県や市町村)が独自に中間検査を実施する区域、期間及び構造、用途、規模を定めることができることになっていますが、当然その基準は地域によっていまだに差があるのです。

この様な状況の為、すべてではないにせよレオパレス21が施工した建物においてもこの中間検査を受けずに建築されたものが多数あると考えられます。

 

完了検査で施工内容のチェックは可能か?

よっしー / PIXTA(ピクスタ)

完了検査とは、工事が完成した段階で、建築物が法令基準に適合しているかの検査です。

しかし、文字どおりすでに完成してしまった建物の内部構造を外から目視できるはずもありません

実際には現地確認(外観・内観等)、建築関係書類との照合、建築中の写真などから建築基準関係規定に適合すると判断されれば「検査済証」が発行されます。

金融機関の融資関係、将来の用途変更、コンプライアンス順守意識の向上などから、最近ではほとんどの建物が検査済証の交付を受けていますが、それがイコール「施工不良が無い」ことにはなりません。

 

行政のチェック体制以外にも理由が?

アパート

YNS / PIXTA(ピクスタ) ※写真はイメージです

建築行為に対する行政チェック以外にも、同建物の入居者に短期居住者が多かったことや、建物オーナーの多くがレオパレス21とサブリース契約を結んでいたため、賃貸実態について建物オーナーが把握しづらかったことなども、長期にわたり建築施工不良が公にならなかった原因とも言われています。

ただ、どんな理由があったとしてもプロである事業者(レオパレス21)と地主(建物オーナー)の間には建築知識に対する情報の非対称性(どちらか一方が格段に多い情報をもっていること)が歴然であり、消費者である地主側から今回の問題を指摘することは困難だったように思います。

やはり、結果的に被害が大きい建築行為の施工不良や不備については行政のチェックや関与がもう少し必要なのではないでしょうか。