プロが実践した「物件探し」のやりかた【低リスク・低コストへの挑戦】no.3
(前回までのあらすじ)
年間1,000件近い相談依頼を受ける建築・不動産コンサルタント会社で、不動産、建築、建物管理、保険分野の担当として、これまで数多くの物件に携ってきた私が常々感じていたこと。
それは、多くの住まいが「価格が高く、リスクがあり、似たようなものばかり」だということです。
“住まいのコンサルタント”である筆者が、これまで培った知識と経験を総動員させ、「低価格、低リスク、自分らしい住まい」を自ら作ったら、どうなるのか?
「住宅購入のリスク」をいかに削れるかという、試行錯誤の住まい探しの日々が始まりました。
※ 今までの【低リスク・低コストへの挑戦】シリーズを見てみる
■物件探しは “条件の絞り込み” が重要
「住宅を購入しよう」と決断したら、まず物件探しの旅が始まります。
マンションにせよ、一戸建てにせよ、新築にせよ、中古にせよ、リノベにせよ……、どの物件(土地)を購入するのかということは、外せないタスクです。
しかし、これが迷う。
どんな物件を探せばいいのかは、砂浜から1粒の砂を拾い上げるようなもので、途方に暮れることもあるでしょう。
物件探しで1番重要なことは、条件の絞り込みです。
ここで注意が必要なことは「どんな住まいが良いか」の希望を並べてはいけない、ということ。
この条件が無ければ家は買わない、という“絶対必要”条件。
それを3つだけ、挙げることが大切です。
要望が適う家は幾らでも出てきます。絶対必要条件3つが適う家はほとんど出てきません。
物件探しは、絶対に「量より質」です。
本当に1軒の家をきちんと検討するためには、不動産調査、建物調査、価格調査などが必要で、それには時間とお金と労力が掛かります。
それを、“早く決めた者勝ち”の状況の中で、迅速にやっていかなくてはいけません。
物件探しは「いかに条件を絞り込み、質が高い検討を行えるか」に掛かっています。
■我が家の「3つの条件」は…
筆者の絶対必要条件は、以下の3つでした。
- 一戸建て
- 都内で駅から徒歩10分以内
- 購入リスクが低い
1は、仕事を通じて思っている筆者の自論で、一戸建てと決めました。
- 購入費を抑える
- 解決できない問題がない
- 立地と利便性
- 住まいとして魅力がある
これらの条件が整えば、住宅購入のリスクが軽減されるとご説明しましたね。
物件探しのこの段階では、販売価格を3,500万円以下に設定しました。
■物件探しは「量より質」。条件が甘いとリスクが高まる
東京23区内で、この条件。
新築一戸建てでは、この条件に当てはまるものは出ません。
中古一戸建てでも、なかなか出ません。出ても「再建築不可物件」等の条件付きがほとんどです。
ここで一戸建ての条件を、併用物件、ビル、倉庫等まで枠を広げると、チラホラ出てきます。
そこで、「中古一戸建て」または「その他物件」の検索条件で、「解決できない問題がない」「立地と利便性」「住まいとして魅力がある(ものにできる)」物件が出ることを待つことにしました。
条件を厳しく絞り込むと、なかなか条件に適う物件が出てきません。
なので、“待つ姿勢”で物件探しに臨むことができます。
絞り込みが甘いと、たくさん物件が出てきてしまいます。
どれもこれも検討すると、“質より量”の検討になってしまい、労力がかかる割にリスクが高くなってしまいます。
■物件情報の網の掛け方
物件探しで大切なのが「待つ姿勢」。でも、ただ待つだけでは物件は出てきません。
情報が掛かるように、十分な網を張っておくことが重要です。
筆者がとった手段は、以下の3つです。
(1)「レインズ」を数日に1回チェック
「レインズ」とは、会員登録された不動産会社のみがアクセスできる、不動産物件データベースのことです。
職業柄、自分でレインズ閲覧ができるので、数日に1回、マメにチェックしました。
レインズを閲覧できない一般の方は、不動産業者に足を運んで、レインズの確認をお願いすると、対応してもらえると思います。
(編集部:公益財団法人「不動産流通推進センター」が運営している「不動産ジャパン」というサイトでもレインズのデータベースを確認できます)
(2)地元不動産屋に、絶対必要条件と連絡先を書いたチラシを配る
レインズに掲載されない情報を拾うことも目的にしました。
条件と連絡先をA4紙1枚にまとめたチラシを作り、希望地域の地元不動産屋を廻り、条件に合う物件が出たら連絡して欲しいと頼み、渡しました。
(3)インターネット中心で集客する不動産屋サイトを、定期的にチェック
条件に近い物件を取り扱う、インターネット集客を中心とした不動産屋サイトを定期的にチェックしました。
網の大きさは、レインズ、地元不動産屋、インターネットといった情報の仕入れ先。
網の細かさは、その確認頻度や担当者とのコミュニケーションになります。
面倒くさがらず、小まめに行うことが大切です。
結果、筆者は、(3)で見つけた情報を(1)で調べ、物件を扱う業社の立場、仲介と売主の別を確認し、売主と交渉をしたことで、仲介手数料なし、価格を含めた十分な交渉を行うことが出来ました。
次回は、見付かった物件の売主との交渉について、お話ししたいと思います。
【低リスク・低コストへの挑戦】