社会派人気ブロガーのちきりんさんが、ご自宅をリノベーションして得られた多くの学びを「これからリノベする人」にも共有したい!と考えて書かれた『徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50の
オリジナリティあふれるご自宅で、顧客目線かつビジネス視点のリノベーションの考え方やリノベーション体験談をお聞かせいただきました。
リノベ会社の選び方やリノベマネーの考え方、お気に入りポイントなどを4回にわたってご紹介していきます。
まずは「これからリノベする人に伝えたい事5つ」というテーマで第1回目をスタートしていきましょう。
1.じっくり勉強&妄想してから個別相談へ

sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)
リノベーションに欠かせないのは、リノベ会社。
どこに頼むかはリノベーションをスタートさせる第一歩でもありますが、その一歩を踏む前にやらなければいけないことが。
それは “勉強” と “妄想” です。
個別相談はリノベーションを考え始めた初期に行ってはいけないと、ちきりんさんは言います。
なぜなら、この段階で個別相談に行ってしまうと、どんどん背中を押され、自分の理想の暮らしや採用したい設備などについてじっくり考えることができなくなるから、とのこと。
家族の生活動線や理想の暮らし、絶対に取り入れたい設備、予算やスケジュールなどのイメージをしっかり固めてから相談した方が、具体的に、そしてスムーズに進めることができます。
個別相談後は迷わずサクッと進められるよう、事前準備は入念に。
2.数百万円のプロジェクトを誰と行うか、という視点でリノベ会社を選ぶ
リノベ―ションは数百万、ときには1,000万円以上の金額が動く大きなプロジェクトです。
そして、手作りであるリノベーションにはトラブルがつきもの。
だから、そんな巨大プロジェクトをどの会社と、どの担当者と進めていきたいか、という視点が大事です。

makaron* / PIXTA(ピクスタ)
それは自分が面接官になって、リノベ会社を採用するようなイメージ。
見積もりやプランも大切ですが、その良し悪しだけで決めてはダメ。
それよりも、個別相談やプラン提案時に担当者とやりとりをしながら、「この人(会社)と共に思いがけないトラブルに立ち向かいながら、向こう半年のリノベプロジェクトを遂行できるだろうか」を考えてみましょう。
リノベ会社の選び方については次回さらに詳しくご紹介します。
3.リノベ会社はプロジェクトの仲間である
お金を払う客と、それを受け取って設計・施工をするリノベ会社。
これは一見「お客様とクライアント」という上下のある関係性ですが、リノベーションの場合は決してそうなりませんようご注意を。
リノベーションは共同プロジェクト。
「お金を払っているんだから」とか「忙しいから」と理由をつけてリノベ会社に丸投げして協力しないのは、自分の理想の家づくりから遠のく一因となります。

スイマー / PIXTA(ピクスタ)
例えば、近隣に迷惑をかけることがあったら、リノベ会社を責めて謝罪に行かせるよりも、住民である自分が説明や謝罪に行った方がいいに決まっています。
家づくりの仲間と意識すれば、万一のトラブル時にも「お前のせいだ!」なんて怒り散らすことなく、力を合わせて解決方法を模索できるでしょう。
また、リノベ会社の検討段階で、プランや見積もりを他社に見せたり、他社と比較して無理な値下げ交渉をするのもやめましょう。
これから構築すべき信頼関係のベースが崩れてしまいます。
4.予算や希望は赤裸々に伝える

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ちきりんさんは大のテレビ好き。
だからどこにいてもテレビが見える間取りを熱望したのですが、それを伝えるのはちょっと恥ずかしかったとのこと。
でも、包み隠さずに自分の嗜好を伝えたからこそ、その望みは叶い、「部屋のどこにいてもテレビを見れる」ととっても満足そうでした。
ほかにも、トイレに扉を付けたくないとか、掃除が苦手なのでおしゃれさはいらないから掃除をしやすい家にしてほしい、といったこともリクエスト。

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自分の生活スタイルや性格を会ったばかりのリノベ担当者に話すのは少し恥ずかしいこともあるでしょう。
でも、そこはぐっとふんばって、正直に伝達を。
特に、ちきりん邸の広い玄関ホールや一口ガスコンロキッチンのような、あまり前例がない間取りや設備などを希望すると、リノベ会社も理解に苦しむシーンが出てきます。
それでも、諦めない。
理解してもらえるまで、伝えるのです。
また、「そんな高いもの買えません」も言いにくい言葉ですが、しっかりと言うこと。
あいまいに返事をしたり見栄を張った予算を伝えたりしていると、見当はずれな提案をされて、お互いに無駄な時間を消耗します。
5.おしゃれさよりも “暮らしやすさ” を優先

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「最近のリノベってお化粧みたい」
そのフレーズを聞いて、妙に納得。
確かに見た目がおしゃれな家はSNS映えもするし、住んでいて気持ちも上がるから、内装に贅沢なオーダーをしがちです。
でも、それってお化粧部分。
もっと大事なのって「基礎化粧品」じゃないですか、とちきりんさん。

Graphs / PIXTA(ピクスタ)
例えば、断熱。
いくら素敵でおしゃれでも、冬は室温と外気温が同じで家にいても厚着必須、なんていう暮らしは悲惨です。
はじめての冬を迎えてそれに気づいても、時すでに遅し。
例えば、間取り。
断熱もそうですが間取りはあとから変えにくい要素です。
家事動線や愛用の調理家電、掃除用具、洋服の収納場所など、家の中で自分がどういう動きをしているかをとことん考え、間取りに生かしていきます。
無駄な動きがなくなることは、思った以上に快適で時短にもなります。

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リノベの本当の価値は「基礎化粧品」にあるのです。
「お化粧」はお肌のベースが整ったあとで、存分に楽しんで。
リノベーション中または検討中の方、これを読んで「ドキッ」としませんでしたか。
今からでもきっと間に合います。
リノベーションという一大プロジェクトに誰(どのリノベ会社)を採用するか、その担当者とはどうやって信頼関係を築いて仲間になるか、そして自分がリノベで実現したい理想の暮らしって本当にそれでいいのか。
少し立ち止まって考えてみると、新しい選択肢や思いがけないアイデアが出てくるかもしれませんね。
さて、第1回目はこれまで。
第2回目はここでも少し触れましたが、「リノベ会社の選び方」について、さらに深堀りしてご紹介します。
そして最後はちきりんさんの決まり文句で締めましょう。
そんじゃーね!
■ちきりん
日本を代表する社会派ブロガー。関西出身。大学卒業後、金融機関に就職。アメリカの大学院留学を経て、外資系企業に転職し、在職中にブログを書きはじめる。
退職後、2011年からは文筆家として活躍。『自分のアタマで考えよう』『マーケット感覚を身につけよう』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。
人気ブログ「Chikirinの日記」を運営する。