社会派人気ブロガーのちきりんさんが、ご自宅をリノベーションして得られた多くの学びを「これからリノベする人」にも共有したい!と考えて書かれた『徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50の
人気ブロガー・ちきりんさんの自宅リノベ体験やリノベ―ションへの考え方を4回にわたってお送りしています。
2回目のテーマは「リノベ会社の選び方」。
そして日頃から高いマーケット感覚で物事を観察しているちきりんさんならではの、ズバッと鋭い「リノベ会社に言いたいこと」もお届けしましょう。
リノベーションという共同プロジェクトのパートナー(リノベ会社)探しには、なるほど!な考え方が満載です。
そして気になるちきりんさんがリノベ会社に「言いたいこと」とは?
希望と価値観を理解してくれるパートナー選び

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個別相談の次は各社とのプランニング。
自分の価値観や嗜好、そしてやりたい間取りや工事、取り入れたい設備などの詳細な希望をリノベ会社に伝えていきます。
ここで驚きなのは、いくら明確に、何度も伝えても希望や価値観を理解してくれない会社もあるということ。
ちきりんさんは無垢フローリングや珪藻土などの自然素材にこだわりはなく、断熱や動線などの暮らしやすさやメンテナンスのしやすさを重視。
最近よくある「リノベっぽい」リノベはしたくなかったそうです。

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でも、大多数は「おしゃれな内装」を希望するわけで、「断熱をしっかりやりたい」とか「一口コンロが取り付けられるキッチンを」と熱望しても、理解や共感がされずに、思い描いたプランが出てこないことも。
そういう会社はきっと “よくあるリノベパターン” に寄せてくるので、自分のオリジナリティある希望は叶いにくい。
ちきりんさんはそう感じて、過去の施工事例をチェック。
オリジナリティある施主の希望が形になっている事例が一定量あるリノベ会社を選びました。
比較すべきは見積もりやプランではない
リノベ会社選びは、ファーストプランと見積もりの比較。
そう思っている人が多数ですが、比較すべきはそこではないとちきりんさん。
間取りや見積もりもリノベには大事な要素ですが、後からどうにでもできる部分でもあります。
見積もりに関しては、各社で項目も違うし、同じ工事だとしてもどの項目に入るかも違い、比較するなんてナンセンス。

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もっと言うと、予算を決めるのはリノベ会社ではなく自分なのです。
500万円と自分が決めれば、各社500万円でプランを作ってきますよね。
そこに見積もり差(予算差)はないわけです。
そんなことより大切なのは、ファーストプランや見積もり作成のためのやりとりを通して、相性がいいか、自分の理想を理解して形にしてくれるか、リノベプロジェクトの仲間になれるかどうか見極めること。
そう、会社の性質や対応力は契約後に変えることはできないのです。
ではその見極め方法は?
「普通じゃないリクエストを伝える」ことで見えてくるもの
ちきりんさんがオススメするのは「普通じゃないリクエストも正直に伝える」ことです。

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ちきりんさんは、ガス温水式ミストサウナを取り付けたい、ガスコンロは1口がいい、トイレに扉を付けたくない、などを希望。
そうすると、各社でその希望に対する考えや対応が大きく異なったそうです。
真摯に対応し、適切な機能と価格のものを探し出して提案してくれる会社もあれば、探しも検討もせずにNOを言う会社もあります。
よくあるリクエストをしても定型の答えしか返ってこないので無意味です。
オリジナリティあるリクエストがあるなら躊躇なくぶつけて、その対応力を判断材料にしましょう。
細かいけれど実は大切なこと

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地味ながらも、リノベ会社選びで大事なポイントがふたつ。
ひとつ目は自宅から「事務所が近い」こと。
リノベ工事中には大小問わず思いがけないトラブルが必ず起きます。
その時に担当者がすぐに駆け付けられる距離感がベスト。
事務所から現場まで片道2時間なんていう距離感では、担当者は気軽に現地確認に行けません。
でも近ければ、忙しいスケジュールの合間にもさっと立ち寄ってすぐに対処してもらえます。
工事管理をする担当者のために、そして対応スピードは出来上がる家にも影響するので自分のためにも、距離は大事です。
そしてふたつ目は「コミュニケーションツールが合っているか」ということ。

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スマホが普及したいま、メールや電話だけでなく、LINEで気軽に担当者とやりとりができる会社もあります。
ちきりんさんは自分の価値観やこだわりある要望についてはしっかり文字にしてメールで送り、きちっと最後まで読んでくれる会社を望んでいました。
でも、LINEで「この玄関の感じが好きです!」などと気軽にやりとりをしたい人もいますし、なるべく対面で話したい、という人もいます。
リノベーションは、場合によっては半年ほど続くこともあるプロジェクト。
自分に合わない手段で密に連絡を取るのは、意外としんどいかもしれません。
リノベ会社に言いたいこと
自宅のスケルトンリノベを経験したちきりんさんから、リノベ会社にズバッと言いたいことを3つお聞きしました。
1.「ホームページに客が知りたいことを明示せよ」

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ひとつ目は「ホームページに客が知りたいことを明示せよ」です。
各社のホームページを見ると、「フルオーダーもセミオーダーもどっちも対応します」や「お気軽にご相談を」というメッセージが多く似たり寄ったり。
でも実際個別相談に行ってみると、リノベ会社の得意なことと自分の希望が合わなかったり予算感にズレがあったりして、「あ、すみません、お呼びでない」ということも。
これではどちらにとっても時間の無駄です。
リノベ会社はどうか間口を広げすぎないで。
得意な分野は絶対にあるはずだから、そこにフォーカスして伝えてほしいのです。
2.「客に最初に会わせるのは、ある程度スキルがある人を」

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そしてふたつ目は「客に会わせる1人目にはある程度スキルがある人を」です。
個別相談に行くと1~2人の担当者が対応してくれますが、客はこの人の対応で会社を判断します。
ちきりんさんは、「その受け答えで大丈夫!?」と思わず上司のような気持ちになり、指導したくなった担当者もいたとのこと。
もちろんその人ひとりが会社のすべてを表しているわけではありません。
でも、もったいない。
だから、1人目として客に会わせるスタッフにはもっと教育を。
3.「事例紹介には小さなひとつでもいいから失敗談も載せて」

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最後は「事例紹介には小さなひとつでもいいから失敗談も載せて」です。
施工事例にはいいことやお気に入りポイントはたくさん書いてありますが、「ここは後悔しました」というネガティブ情報は皆無。
でもそれこそが、これからリノベをする人にとっては貴重な情報です。
それはリノベ会社にとっても同じで、小さな失敗を認識して掲載し、社内で共有することで、会社の学びにもなる。
次のお客様に生かすことで、満足度向上にもつながります。

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ネガティブ情報の開示に躊躇することはありません。
施工事例に載っているご家族はその会社や出来上がった家に満足したからこそ載っているわけです。
そのうえでの小さな後悔ポイントなんて大したことない。
そんな大したことない後悔ポイントでも、これからリノベする人には大いに役立つのですから。
そして、「そんな正直な会社があったら、ぜひそこに頼みたい」とちきりんさんは言います。
ということで、リノベ会社選びに頭を悩ませている人は、ぜひこうした視点で改めて候補の会社と向き合ってみてくださいね。
見積もりとファーストプラン、そして素敵な過去事例写真だけで判断していてはダメですよ。
次回は「リノベ予算の考え方」です。
ちきりん流のリノベ予算の考え方は取材メンバー一同「なるほど」の一言でした。
予算組みや予算調整にお悩みの方、必読です!
■ちきりん
日本を代表する社会派ブロガー。関西出身。大学卒業後、金融機関に就職。アメリカの大学院留学を経て、外資系企業に転職し、在職中にブログを書きはじめる。
退職後、2011年からは文筆家として活躍。『自分のアタマで考えよう』『マーケット感覚を身につけよう』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。
人気ブログ「Chikirinの日記」を運営する。