人気ブロガー・ちきりんさんが自宅をフルリノベ。5つのお気に入りポイント
自宅をフルリノベした人気ブロガー・ちきりんさんのリノベ体験談やリノベーションについての考え方などを4回にわたってお届けしています。
最終回である第4回目のテーマは「常識に縛られずにつくりあげた、5つのお気に入りポイント」です。
ここまで読んできてくださった方は、その内容が “ヘリンボーン張りの無垢床” や “ブラックフレームの室内窓” でないことはきっとお分かりですね。
ちきりん流のこだわり&お気に入りスペースを写真付きで見ていきましょう!
1.マルチに活躍するエントランスホール
取材当日、玄関に一歩足を踏み入れると広がっていたのは、アジアンリゾートを思わせる開放的な玄関。
大人4人が立ち話をしてもなお余裕のある広さで、それは、最近よくある “土間のある玄関” ともちょっと違う。
玄関や土間より “エントランスホール” と呼ぶのがふさわしいかもしれません。
なぜなら、用途が玄関や土間にとどまらないから。
自宅を事務所としても使うちきりんさんは、この空間に机と椅子を持ってきて打ち合わせスペースにすることもあるそう。
そして個性的な壁紙の奥には、旅行グッズや外出着など、普段家の中では使わないものすべてが収納されています。
だから、海外旅行に行く時のパッキングや、外出する前に着替えをするスペースとしても活躍。
宅配された荷物を開封したり、DIYもできちゃうマルチなスペースなのです。
2.扉のないトイレ
親族がよくぎっくり腰になるんだと笑って教えてくれたちきりんさんは、ぎっくり腰や将来的に介護状態になった時、トイレは広い方が便利だと熱弁。
また、ベッドから近いことも大切です。
体が不自由になったとしても、なるべく長く、ひとりでトイレに行けるように考えてとのこと。
外国では扉なしのトイレは珍しくないそうですが、日本ではリノベーションでもしない限り手に入りません。
健康な今はまったく気にも留めませんが、家は長く住んでいると、自分も家族もどんどん年を取ります。
10年後、20年後、さらにその先を考えた間取りを今検討して、今採用することは、なかなか難しいかもしれません。
でも、長く付き合う家だからこそ、先の、そのまた先の暮らしまで想像を及ばせて考えることは大事だなと思いました。
3.収納付きパウダールーム
扉なしトイレと同じ空間に水まわりが集結した大空間。
どれくらい広いかというと、エントランスホールと水まわりで約60㎡の家の半分を占める、というと想像がつくでしょうか。
この空間にはワイドな洗面台とバスルーム、洗濯機置き場や室内物干しがあって、一見 “ザ・水まわり”。
洗面台は 着け置き用のオケが置ける(駄洒落じゃなくて!)のが必須条件で、奮発して購入したものだし、浴室には念願のガス温水式サウナもあるし、こだわり満載の水まわりです。
ところが、ちきりんさんにかかればただの水まわりにとどまらず。
洗面台の奥にはメイク用品が収納されていて、脚立にもなる椅子に座れるメイクルームでもあるし、パジャマや部屋着を収納するオープンクローゼットもありました。
ここで気付きます。
掃除が苦手と自称するちきりんさんの家が暮らしやすいのは、適材適所に収納があるからだ、と。
室内で使わないものはエントランスホールに収納して室内に持ち込まない、お風呂から出た後に着るパジャマや朝起きて身支度ついでに着替える室内着の収納は脱衣所、洋服は乾燥機や浴室で乾かすからクローゼットは水まわりに配置、など合理的な収納計画がされていました。
4.コーナーごとに景色が変わるワンルーム
エントランスホールと水まわりで家の半分の面積を占めるちきりん邸。
残り半分はというと、生活&仕事スペースであるワンルームの空間です。
キッチン、リビング、寝室、ワークスペースを兼ねていますが、仕切りも扉も一切ありません。
それぞれのコーナーから見える室内の景色は異なり、どこからでもお気に入りの空間を眺められます。
眺めるといえば……ちきりんさんは大のテレビ好き。
なので、どこにいてもテレビが見えるように、とリクエストしたそう。これが叶ったのもワンルームだからこそ。
そして、ちきりん邸に設置された扉はわずか2つ。
それは移動のしやすさや開放感にもつながっていますが、空調管理という面でもメリットが。
エアコン一台で家中どこにいても一定の室温を保てて、とても快適なのだそう。
お風呂上がりの脱衣所が寒い、なんていうあるあるとも、ちきりん邸では無縁です。
5.キッチンのガスコンロが1口
ちきりん邸には「えっ!」と驚くポイントがたくさんありましたが、そのなかでもキッチンは他で見ることのない佇まいでした。
なぜならガスコンロが1口!
しかもキッチン自体が狭いから仕方なく1口、ではなく、作業台もカップボードもとっても広くて大きいなかで1口ガスコンロが控えめにちょこんと備わっているのです。
魚焼きグリルもない一口ガスコンロを採用したのは、「自分はガスコンロを使わない」と分かっていたから。
でも決して料理をしないわけではありません。
ちきりんさんは調理家電が大好き。
レンジ、コンベクションオーブン、無水自動調理鍋などをフル活用しているので、コンロは炒め物にしか使わないと分かっていました。
利用頻度の低いコンロにスペースを割くよりも、広い作業台があったほうがいいと思っての選択です。
ちなみに、それらの調理家電はキッチン背面の造り付けカップボードに見事に美しく収納されていました。
調理家電のサイズに合わせ、配線も隠し、さらには同時に使ってもブレーカーが落ちないようにコンセントの配線を細かく分けました。
これも “暮らしやすさ” を叶えるための、リノベならではの工事ですね。
やり直せるならココを変えたい! 小さな失敗談
よく考えて設計された合理的な間取り、そして予算内でメリハリをつけてこだわりを実現した内装のちきりん邸。
とっても暮らしやすく快適だとお話しいただきましたが、小さな失敗はあったそう。
それは、照明です。
ワンルームの各コーナーに埋め込んだダウンライト。これが思いがけずまぶしかったのです。
まぶしいのが苦手なちきりんさんは、もちろん照明にも配慮していました。
それでも、ある程度の段階に工事が進むまで、そのまぶしさに気付けなかったと言います。
でも、これは誰のせいでもない、とも。
変更が間に合う段階で幸いにも気付けたので、間接照明になるダウンライトを追加してもらえて事なきを得たそうです。
ショールームで一目ぼれしたというトイレ用アームレストも「いらなかったね!」とスッパリ。
煌びやかなショールームは物欲をとことん掻き立ててきます。どうぞその熱烈ラブコールに惑わされませんように。
さて、自宅をリノベーションしたちきりんさんの体験談やリノベーションの考え方を、4回にわたってお届けしてきました。
リノベーション検討中の方はきっと、リノベ会社選びの視点や予算の考え方を見直し、希望プランや理想の暮らしを一考するきっかけになったのではと思います。
リノベの価値は暮らしやすさの創造。雑誌でよく見る憧れの間取りやオシャレな内装をマネっこする前に、家族の生活動線や日常的にストレスに感じていることを洗い出しましょう。
そして、暮らしやすい家とはどんな家なのか、自分たちにとってリノベの価値は何なのかをたくさん話し合い、リノベーションを楽しみながら理想の家をつくり上げてくださいね。
もっとちきりん流のリノベ論に触れたい方は、ぜひ本を手に取って読んでみてください。
さあ、最後の締めもちきりんさんの決まり文句で。
そんじゃーね!
■ちきりん
関西出身。大学卒業後、金融機関に就職。アメリカの大学院留学を経て、外資系企業に転職し、在職中にブログを書きはじめる。
退職後、2011年からは文筆家として活躍。『自分のアタマで考えよう』『マーケット感覚を身につけよう』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。
「Chikirinの日記」は月間ユーザー30万人を超える人気ブログ。