オリンピック後に東京の不動産は暴落する?2020年問題って?

いよいよ来年は待ちに待った東京オリンピックの開催年、2020年を迎えます。

東京オリンピックを心待ちにする声がある一方で、さまざまな方面から「オリンピック後は不動産が暴落するのでは」と心配する声も聞かれます。

果たして2020年の東京オリンピック以降、本当に不動産は暴落するのでしょうか?

そこで今回は、「暴落する」という意見のなかで、代表的なものをいくつか検証してみましょう。

2020年に東京でも人口が減少するから不動産が暴落?

通勤ラッシュ 駅

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国立社会保障・人口問題研究所が2013年に公表した「日本の地域別将来推計人口(平成 25(2013)年3月推計)」では、東京の人口が減少に転じる時期を2020年としていましたが、 最新の推計(2018年3月30日公表)では、前回より10年遅い2030年が東京の人口のピークとされています。

出生率が若干改善していることや都市への人口移動が続いていることなどから、都市の人口は当初の推計よりも減少に転じる時期が遅くなっているのです。

つまり、東京の人口はまだ減少期に入らないので、2020年に東京の人口減少が理由で不動産が暴落することは考えにくい、といえるでしょう。

 

2020年にZEH基準が義務化されるから不動産が暴落?

ZEH住宅

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経済産業省資源エネルギー庁は、2016年4月18日に策定された「エネルギー革新戦略」で、「2020年までに、ハウスメーカー、工務店等の建築する注文戸建住宅の過半数でZEHを実現することを目指す」という目標を掲げました。

ZEH(ゼロエネルギー住宅)とは、住宅の高断熱化・高効率設備により大幅な省エネを実現するとともに、太陽光発電などによってエネルギーを創り、年間の「1次エネルギー消費量」を正味で、おおむねゼロ以下にする住宅のことです。

実は、このZEHを義務化することが不動産を「暴落」させるという意見があるのです。

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法律の改正や新設などによって、以前の法律であれば問題なかった建築物が新しい法律の下では違法なものとなるような場合を「既存不適格」といいます。

住宅を新築する場合、ZEHの基準が義務付けされれば、その後に市場へ供給される既存住宅(中古住宅)はすべて既存不適格の住宅となります。

その場合、ZEH基準を満たしていない既存住宅は資産価値が激減し、そのような住宅が大量に市場に出ることで価格も下落していくのではないかと予想されているのです。

家賃

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しかし、2019年2月15日に「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定され、「戸建住宅等に対する措置」として、「設計者である建築士から建築主に対して省エネ性能に関する説明を義務付ける制度を創設」することになりました。

つまり、戸建住宅に関しては2020年にZEH基準は義務化されるどころか「建築主に省エネ性能を説明する義務」に止まることになったため、この理由で2020年に不動産の暴落が始まることはなくなりました。

 

2020年のオリンピック後に訪日外国人旅行者が激減?

秋葉原

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日本政府観光局(JNTO) によると、訪日外国人旅行者は2013年から1,000万人を超え、その後も年々増加し続け、2018年には3,119万人を突破しています。

このような状況のなかではオリンピックが終わった後でも急激に訪日外国人旅行者が減ることは考えにくく、この理由で不動産が暴落することはないでしょう。

 

2020年から管理不全のマンションが増加し都心のマンションが暴落?

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少子高齢化の進行や、しっかり機能しない管理組合が増えていくこと等によって、管理不全のマンションが増加していく可能性が高いのは間違いありませんが、この問題は日本の区分所有建物がこれからどのように発展・進化するかについての大きなテーマであり、短期的な市況判断(○○年に暴落する等)とは全くの別物だと考えるべきでしょう。

また、「2020年までにキャピタルゲインを狙って投資家が投資物件を大量に売りに出す」という声も聞かれますが、東京で人口減少が始まるのはまだ先であり、訪日外国人旅行者が年々増加しているなか、投資家の多くが「2020年に東京の不動産価格はピークを迎える」と考えるでしょうか?

2020年を目前に控えた現在、マーケットにはまだその兆候がみられません。

都心

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不動産の暴落・急騰を正確に予想することは誰にもできません。

実際には明日、不動産の暴落が始まるかもしれませんし、この先数十年、地価は安定して推移していくかもしれません。

これから不動産取引を考える場合に大事なのは、あまり「過激なアナウンス」に影響されず自分にとって必要な時に必要に応じた取引を心がけることではないでしょうか。

※参考

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30年推計)

国土交通省 報道発表「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案

日本政府観光局「訪日外客数