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相続手続きは煩雑で複雑。親が亡くなったらやるべきこと

ご両親が亡くなるなど、相続はいつか必ず経験するものです。

人生の中で何度も経験するものではありませんので、何から手を付けてよいか分からなくなってしまうものです。

いざというときに慌てないように、まずは相続手続きの全体の流れを解説していきます。

1.相続の開始(相続人の死亡)

makaron* / PIXTA(ピクスタ)

1-1 死亡届の提出(相続発生後7日以内)

相続は人の死亡で開始します。

人が亡くなった場合、まず死亡届を役所に提出しなければなりません。

届け出をする役場は、亡くなった方の本籍地、死亡地、届け出をする方の所在地を管轄するいずれかの市区町村役場です。

 

1-2「死体埋火葬許可証」がないとお葬式はできない

makaron* / PIXTA(ピクスタ)

死亡届を出す際「死亡診断書」「死体検案書」のどちらかが必要になります。

死亡診断書は病院で亡くなった場合または死亡理由が明らかな場合に医師が作成します。

死亡検案書はそれ以外の場合に死亡の事実が確認された後に作成されます。

これらが役所に受理されると「死体埋火葬許可証」が発行され、はじめてお葬式を行うことができます。

 

2. 遺言書などの確認(目安:初七日)

遺言書

CORA / PIXTA(ピクスタ)

死亡の手続きが一通り終了したら、お葬式の手配をするのと同時に遺言書を遺品の中から探します。

亡くなった人が住んでいた家のほか、貸金庫を借りていた場合などは、その中に保管されているケースが多いようです。

 

2-1 遺言書には3種類ある

遺言書には、亡くなった人が自ら書いた自筆証書遺言のほか、公証役場にて作成する公正証書遺言や秘密証書遺言というものがあります。

いずれも最新の日付のものが有効となります。

自筆証書遺言の場合は家庭裁判所にて「検認手続き」が必要になるため、勝手に開封しないようにしましょう。

 

2-2 保険、年金関係の確認をする

遺言書を探すのに加えて社会保険や生命保険などの保険関係や年金関係の手続きも確認します。

関係機関の窓口を尋ねるか電話で問い合わせをし、亡くなった事実を伝え、その後どのような手続きをすべきかを確認します。

 

3.相続財産、相続人の調査(目安:四十九日)

相続財産と相続人の調査を合わせて行います。

これらを行うことは、適切な遺産分割を行うため、または相続税申告を行うために必ず行います。

遺産の額や内容が分からないと正確な相続税の申告ができず、過少申告してしまうと加算税を課されることになります。

 

3-1相続財産の調査

kai / PIXTA(ピクスタ)

相続財産の調査対象となるのは、不動産、預貯金、株式、投資信託、公社債、生命保険金のほか現金、ゴルフ場の会員権、骨董品などの動産などが該当します。

宝石などの貴金属も相続財産です。

 

3-2 相続人の特定

相続人の特定は、被相続人の現在の戸籍(除籍)謄本を取得することから始まります。

これですべての相続人が分からない場合、死亡時からさかのぼって出生したときの戸籍までを順番に取得します。

本籍の移動が伴う場合、複数の役所で謄本を取得する必要があります。

「婚姻」「離婚」「養子縁組」などの身分事項から前妻との間に子供がいないか、養子や養親がいないかなどを確認し、知らない相続人がいたら、その相続人が被相続人の死亡時に生存していることを確認します。

すでに亡くなっていた場合は相続関係が変わってきますので注意が必要です。

 

4.相続放棄をする(目安:相続後3~4か月)

akiyoko / PIXTA(ピクスタ)

akiyoko / PIXTA(ピクスタ)

相続において、プラスの遺産だけ引き継ぐことはできません。

相続とは亡くなった人の財産をまるごと引き継ぐという制度です。

相続放棄をしないまま期限が過ぎると、相続することを承認したとみなされます(=単純承認)。

 

4-1 手続きを放置すると単純承認とみなされる

相続した財産を処分(消費、売却など)したときも単純承認したとみなされます。

一度単純承認したとみなされると、期限が過ぎる前であっても以後放棄することはできません。

相続放棄には家庭裁判所での手続きが必要です。この手続きは3か月を目途に行いましょう。

 

4-2 放棄により相続人が変わる

夫が亡くなった場合、妻と子の相続放棄によって、夫の父と母に相続権が移ります。

このことがあまり知られていないため、トラブルになることが多くあります。

妻と子が相続放棄する場合、手続きをする前から意思表示しておかないと、父母や兄弟に迷惑がかかりますのでよく話し合っておきましょう。

相続放棄による相続権の移動は、法定相続人の相続範囲である兄弟姉妹までとなっています。

 

5.遺産分割協議(目安:相続後4~10か月)

実印

Satoshi KOHNO / PIXTA(ピクスタ)

遺産分割協議とは、相続人全員で被相続人(亡くなった人)の遺産の分け方を決める「話し合い」のことです。

遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行います。

話し合いで決まった内容を書面におこしたものが「遺産分割協議書」です。

 

5-1 協議はなるべく早く行う

トラブルを起こさず協議を終えるには、できるだけスピーディーに行うことがポイントです。

様々な書類には、全相続人の実印が必要だからです。

例えば、株などは換金のタイミングを逃せば大損する可能性があり、賃貸不動産を所有していた場合は、相続が発生した翌日から遺産分割協議が成立するまでの賃貸収入は、相続人全員に法定相続分での配分を求められるケースが多く、厄介です。

 

5-2 協議はやり直しがきかない

遺産分割はやり直しができません。

そのため、一歩間違うと、税金を余分に支払ったり、身内でトラブルになったりしかねません。

さらに、法律改正が近年行われ、税金の計算はさらに複雑になっています。

相続人だけでなく、ファイナンシャルプランナーや税理士などの専門家を交えて行うのも1つの手です。

 

6.不動産や預貯金などの解約・名義変更(目安:相続後4~10か月)

預貯金

Graphs / PIXTA(ピクスタ)

不動産がある場合は遺産分割協議書にのっとり、名義変更を行います。

単独の名義もあれば、複数の人の共有名義になることもあります。貯金や証券の名義変更も一緒に行いましょう。

 

6-1 預貯金の名義変更

被相続人が死亡すると、被相続人名義の口座は凍結されて入出金が一切できなくなってしまいます。

この凍結は自動的に解除されることはありません。

相続人等の預貯金を相続した人が解除の手続きを行わない限り、そのお金は使えませんので手続きを行いましょう。

必要書類がたくさんあるので、予め問い合わせておくのがベターです。

 

6-2 不動産の名義は単独にするのがおすすめ

不動産を売却する際には、共有者(相続人の相続人等)全員の遺産分割協議が必要です。

法律上は、自分の持ち分だけ売却することも可能ですが、現実的にはかなり難しくなります。

そのため、不動産の共有名義はあまりおすすめできません。

 

7.相続税の申告(目安:相続後4~10か月)

古家

相続財産が一定額を超える場合は、相続税の申告と納付を行います。

納付が必要な場合は相続が発生してから10か月以内に行う必要があります。

相続税の申告が必要なのは、納付すべき相続税の金額がある相続人です。

相続税の特例を利用して相続税がかからない場合でも、特例を利用するために相続税の申告は必要なケースがあるので注意が必要です。

 

7-1 相続財産は「時価」で評価

相続財産の「評価額」を算定する際の原則は時価主義と言われるものです。

取得後の価値の上下は考慮されません。ゴルフ会員権を500万円で購入後、相続発生時に100万円になっていたら、評価額は100万円とみなされます。

 

7-2 土地の評価方法では時価ではない

不動産の場合は「路線価方式」という計算方法で算定されます。

間違いやすいのですが、実勢価格や、公示価格、固定資産税の評価額とは異なります。

目安としては「実勢価格の8割程度」と言われることが多いようです。

また「小規模宅地」や「貸家建付地」などの特例があり、実勢価格に比べて相続の評価額が安くなるので、相続税対策に不動産を購入する人が多くいます。

 

8.まとめ

このように相続には細かなタイムスケジュールが設定されているため、期限を過ぎてしまうと取り返しがつかなくなってしまううえ、かなり多くの手続きが必要となります。

揃えておく書類もたくさんあります。

これらの流れをフローチャートにして、1つ1つチェックしていくとよいでしょう。

流れをしっかりと押さえて、相続が発生したときに慌てないようにしましょう。