不動産

鶴間 正二郎鶴間 正二郎

新築マンションの不動産広告が肝心な点をぼかす理由とは?

不動産というものは高額であるのでどうしても慎重になってしまうもので、その中で「買います」「借ります」と言わせるために営業は様々なテクニックを駆使します。

今回は、新築マンションの不動産広告が「肝心な点をわざとぼかす」ことについてお話します。

不動産取引において正直であることはもちろん大切なことですが、最初の内はぼかしておいた方がいいものもあるのです。

「肝心な点をぼかす」不動産の広告

電車

tkc-taka / PIXTA(ピクスタ)

先日筆者はたまたま乗車していた電車内で新築マンションの不動産広告に注意を引かれました。

「東京23区」「大手町〇分」「□□□線直通」「△△△線始発」「「2駅2路線利用可」「南向き」という言葉がデカデカと並んでいますが、肝心の最寄り駅がどこにも見当たりません。(恐らく見えないくらいの小さい字でどこかに書いてあるとは思います)

不動産の営業を長くやっているとこれだけでおおよその場所とざっくりとした周辺環境までイメージできますが、一般の人にそこまで求めるのは無理でしょう。

利用者のことを無視した不親切な広告と思いがちですが、こういう「肝心な点をぼかす」というのは新築マンションの営業ではよくある手法なのです。

 

肝心な情報をぼかすことで反響につながる!?

環八

Renoir / PIXTA(ピクスタ)

港区・千代田区・中央区の「都心3区」などと違って東京23区内にも人気のないエリアは確実に存在し、そのような立地の物件で馬鹿正直に全ての物件情報を出してしまえば誰も見向きもしてくれない事態が十分に予想できます。

今回の物件のように最寄り駅をぼかしておけば客はHPにアクセスするか業者に問い合わせをすることになり、そうなればHP制作者や営業マンの腕次第で立地面の不利を克服できる場合もあります。

環状八号線と東名高速道路が交差する場所に建っているマンションを担当した営業に話を聞いたことがありますが、モデルルーム完成前というような初期の段階では現地案内まで立地を伏せるのに最も苦労したそうです。

 

客に勝手に物件を見に行かせない

マンションのエントランス

TOSHI / PIXTA(ピクスタ)

土地や戸建てで住居表示の枝番が省略されていたり、マンションで部屋番号が明示されず「10階建ての7階部分」というような表記となっていることもよくあります。

不動産業界において物件情報は所定の流通機構に登録して業界全体で共有化しなければならない定めとなっていますが、登録の段階でぼかされているので仲介会社の営業マンもこれだけでは客の案内ができません。

物元の業者(売り主・貸主側の仲介会社)に内見申し込みを入れると初めて教えてくれるのですが、最大の狙いは客だけで物件を見に行かないようにするためです。

最初から物件が特定できる状況になっていると客が勝手に物件を見に行き、外見だけで判断されてしまう恐れがあります。

マンション

kazukiatuko / PIXTA(ピクスタ)

不動産の真の価値は営業マンの説明のもとでしっかりと内部を確認して初めてわかるもので、素人判断で検討の対象から外されてしまってはたまりません。

不動産は高額であるため売買にせよ賃貸にせよ簡単に成約となるものではなく、そのため客に「買います」「借ります」と言わせるために営業マンは様々な工夫を積み上げます。

不動産業界特有の広告の出し方もそのうちの一つなのです。