不動産

鶴間 正二郎鶴間 正二郎

実印か認印どっち?不動産契約をどこで実施するかで決まる

不動産の世界の特色の一つに、何かにつけて書面を取り交わすというのがあります。
その中で最も大切な書面が契約書、そして必要になる「印鑑」。

今回は、不動産における契約時に、どんな種類の「印鑑」が必要なのか?
また、内容によって実印が求められる場合とそうでない場合がありますが、この違いははいったいどこにあるか?
この2点について解説していきます。

不動産の契約時、「ハンコを押す」行為と「印鑑」の種類

家を買うにも借りるにも契約書にサインしてハンコを押さなければなりません。
この「ハンコを押す」という行為には「捺印」「押印」という2種類の言葉が用いられます。
この場合に「署名」とセットで用いられるのが「捺印」で、「記名」とセットで用いられるのが「押印」なのだそうです。

印鑑

タカス / PIXTA(ピクスタ)

印鑑の種類として、一般的に下記の3タイプが挙げられます。

認印

認印とは文房具屋やハンコ屋の店頭に置かれている「三文判」をイメージしがちですが、厳密には印鑑登録していないもの全般を指します。
シャチハタ印も「浸透印」としてこちらに含まれます。

銀行印

銀行印についての正式な定義と言う者はありませんが、一般的には銀行などの口座を開設する時に登録してお金を出し入れする際に必要な印鑑のことを意味します。

実印

住民登録している自治体の役所で登録している印鑑のこと。
逆に言うと高級素材を用いた印鑑や有名な彫刻加家が彫ったような印鑑であっても、役所に登録していなければ「認印」と同じ扱いのものとなります。

実印には「間違いなく本人が押した」という意味合いがあり、実印を押した場合には印鑑証明を併せて提出することが通常です。

印鑑証明を取得するには印鑑登録証の提出が必須で、本人以外の代理人が取得するには実に面倒な手続きが必要になります。
本人の同意なくして印鑑証明を取得することはまず不可能で、そのため実印と印鑑証明があれば間違いなく本人が同意しているとみなされるのです。

 

シャチハタ印はなぜ契約時に不可か

シャチハタ

すってぃ / PIXTA(ピクスタ)

内部にインクが入っていて朱肉のいらない印鑑を正式には「インク浸透印」と呼びます。
製品のメーカーに関わらずインク浸透印は、「シャチハタ印」と呼ばれているのが一般的です。

シャチハタ印は大量生産されていて同じ印影が数多く存在してなりすましが簡単であり、また印面がゴムであるため長期間使用すると印影が変わってくる場合があります。
そのため契約書や役所・銀行等への届け出といった場面においては「シャチハタ不可」となるのが通常です。

 

不動産の契約に必要な印鑑

不動産の売買契約書の場合は、売主と買主がそれぞれ、署名捺印します。
その際に使用する印鑑については会社によって違うと思いますが、筆者が在籍していた会社の場合は特に指定はなく、三文判でも可でした。(シャチハタ印は不可)

契約

Good morning / PIXTA(ピクスタ)

賃貸借契約に署名捺印するのは貸主・借主・連帯保証人の3者で、契約をどこで実施するかによって必要となる印鑑の種類が変わってきます。

契約を借主側の仲介会社(客付)で行う場合

契約を借主側の仲介会社(客付)で行う場合、借主と連帯保証人の両者とも実印と印鑑証明を求められるのが通常です。

契約手続きが貸主サイドの目が届かない場所で行われるため、間違いなく本人が署名捺印したことを確認する必要があるからです。
連帯保証人が遠方にいることも多く、保証人の署名・捺印・印鑑証明が営業時代の筆者の頭痛の種だった記憶があります。

契約を貸主側の仲介会社(物元)で実施する場合

契約を貸主側の仲介会社(物元)で実施する場合、貸主側は借主本人とは対面することができるので実印は不要です。
やはりこの場合も連帯保証人とは会えません。

そのため「連帯保証人になることに同意した」という内容の書面に実印を押してもらい、印鑑証明と併せて提出してもらっています。
契約書の連帯保証人の欄は借主が代筆・代印することになり、この時には実印は不要です。

 

とにかく何かにつけて印鑑が必要になるのが不動産という世界。
大きな声では言えませんが、社員の机の引き出しには様々な名前の三文判のコレクションができていたりするものです。

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