不動産

高幡和也高幡和也

知らない売主は損する!「囲い込み」する業者から身を守る方法

みなさんは「囲い込み」という言葉を耳にしたことはありますか?
この「囲い込み」は不動産の売主にとってとても迷惑な行為で、「不動産業界の悪習」ともいわれているようです。

今回は「囲い込みの意味と問題点」について、そしてみなさんが不動産を売りたい場合に「囲い込みをさせない方法」について、宅地建物取引士で現役不動産営業マンの高幡和也さんに聞きました。

そもそも囲い込みってなに?

物件の案内

Mills / PIXTA(ピクスタ)

所有している不動産を売りたい場合、その売却は不動産業者へ依頼をするのが一般的です。
売却依頼を受けた不動産業者は売主と不動産売却の「媒介契約」を結び、売却情報を広く告知して買主を探すことになります。

このとき、売却依頼を受けた不動産業者がその物件情報を他の不動産業者に紹介せず、自社のみで物件情報を保有することを「囲い込み」といいます。

このような囲い込みをする業者は決して多くありませんが、未だに一定数存在していると考えられています。

なぜ囲い込みをするの?

マンション販売中

LION HEAD / PIXTA(ピクスタ)

不動産の仲介手数料は売主・買主の双方から、物件価格の3%+6万円(※税別)をそれぞれ受領することができます。
たとえば、A社が売主から依頼を受けた不動産業者であった場合に、その物件の買主をB社が見つけて契約に至った場合は、A社とB社が受け取れる仲介手数料はそれぞれ「3%+6万円」です。

しかしA社が直接買主を見つけ、A社のみで対象不動産の仲介を行う場合、A社が受領できる仲介手数料は合計で「6%+12万円」となります。

つまり、この囲い込みを行う理由は、売却依頼を受けた不動産業者が仲介手数料を売主・買主の両方から受領するためなのです。

囲い込みの何が問題なの?

検索

Graphs / PIXTA(ピクスタ)

囲い込みが行われると、その物件情報は一部の顧客(買主)にしか届きません。
その売り物件を気に入ってくれそうな買主が他にたくさんいるかもしれないのに、売却依頼を受けた不動産業者が自社の利益を優先するために売却情報を囲い込んでしまうと、その物件が売却できる機会を失うことにつながりかねません。

また、それが結果的に、販売期間の長期化やその後の値下げにつながってしまう恐れがあるのです。

囲い込みの対策はないの?

家の模型

bee / PIXTA

不動産の取引を行うのは、不動産業のなかでも宅建業といわれる業務になります。
不動産の売却を宅建業者に依頼する際、専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約のいずれかを締結する必要があります。
このうち「専属専任媒介契約や専任媒介契約」を締結した場合、宅建業者は国土交通大臣指定の不動産流通システム「レインズ」に物件情報を登録する義務を負います。

「レインズに登録されるなら、囲い込みはできないのでは?」と思われるかもしれませんが、宅地建物取引業法で義務付けられているのは「登録のみ」であり、登録された物件を他社へ紹介することまでは義務付けていません。
囲い込みを行う業者は「他社への物件紹介を拒否します」などと明言することはなく、他社からその物件の問い合わせがあったときに「現在一番手と商談中です」や、「現在売りどめです」などというグレーな表現で物件紹介を暗に拒否するような対応をします。

この様な囲い込みを防止するため、レインズでは以下のような利用規程を設けています

(レインズ利用規程 第18条≪客付業者からの物件照会等≫)
元付業者は登録物件に関し、客付業者から物件詳細の照会、現地案内申込みの連絡を受けた場合には、正当な事由がある場合を除いて拒否してはならない。

 

(レインズ利用規程 第19条≪購入等の申込みの交渉順位≫)
元付業者は、正当な事由がない限り、原則として客付業者から物件の購入等の申込みの連絡を受けた順に交渉を開始しなければならない。

一見有効な囲い込み対策に見えますが、これらはあくまでレインズの利用規程であり、宅地建物取引業法等で上記を義務付けしている訳ではありません。
法律の規制を受けない以上、囲い込みをレインズの規程だけで完全に防ぐのは難しいといえます。

囲い込みをさせない方法とは

マンション売却

naka / PIXTA(ピクスタ)

囲い込みを完全に防ぐ方法は売主・買主双方からの手数料受領を禁止するなど、法律などで規制する以外はないと思われます。

しかし2016年1月から、売主の利益を保護する目的で「売却依頼主はインターネット上の専用確認画面で売却依頼物件のレインズ登録内容、取引の現状を自ら確認できる」ようになりました。
売却依頼物件をレインズへ登録・変更・再登録した際に発行される登録証明書に、専用確認画面を開くための URL、物件ごとに付与された ID とパスワードが記載されています。

専属専任媒介契約もしくは専任媒介契約を締結した場合は、不動産業者から登録証明書を必ず受け取り、インターネット上で売却依頼物件の登録内容を確認しましょう。
定期的にこの内容を確認することで、売却を依頼している不動産業者の囲い込み行為を一定程度抑止することができます。

今後みなさんが不動産を売却するような場合は、「囲い込み防止のため」に媒介契約を締結した不動産業者から売却依頼物件のレインズ登録証明書を必ず受け取ることを忘れないようにしてください。

【参考】
※ 一般財団法人 不動産適正取引推進機構
※ 公益財団法人 東日本不動産流通機構「媒介契約制度」

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