最近の畳事情と基礎知識。ダニが発生しやすいは誤解?
日本人の暮らしが洋式化したことで、純和風の住宅が少なくなり、畳を取り入れる機会が少なくなってからかなりの月日が経ちました。
でも近年になって、一部の人たちに落ち着いた和の雰囲気や、床座の生活が見直され、洋風の住まいにも、和室を取り入れる住宅が増えてきました。
最近では洋式化した住宅に合わせた畳も発売されています。ここでは、畳の基礎知識と最近の畳事情をご紹介します。
1.まずは畳について理解する
畳は日本の風土の中で生まれた独特のものです。
日本の夏は高温多湿で、住宅もそれに耐えられるよう、間取りや建具などに工夫を施しました。
畳もそのひとつで、藁やイグサなどの身近な材料で作られ、空気浄化や湿気対策ができる優秀な建材です。

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1-1 畳の構造
畳は「畳床」「畳表」「畳縁」3つの部分から構成されています。
畳床は「稲藁」を重ねて作られていましたが、住宅事情の変化や、藁の生産が減少したことで、木材チップを圧縮した板で発泡スチロールを挟んだ畳床が普及しています。
畳表はイグサでできていることは多くの人がご存知でしょう。
内部はスポンジ状で無数の穴があり、その穴に空気中の二酸化窒素などの有害物質を吸着する性質があり、空気の浄化作用があると言われています。
畳縁に使う素材は、もともと綿糸を使っていましたが、近年では化学繊維を使ったものが主流です。畳縁は畳の角を保護するためにあります。
「琉球畳」は、縁のない半畳の畳です。畳表に使われているのはイグサではなく、「七島藺」というイグサより耐久性、耐火性がある植物です。そのために畳縁を使っていないのです。
1-2 畳はダニが発生しやすいの?
イグサを使った畳はダニが発生しやすいと思っている人は多いようですが、結論から言うと、イグサにダニが付きやすいのではなく、ダニが発生しやすい環境になってしまったためにダニが付いてしまうことが多いのです。
先にも述べたように、畳には空気を浄化する作用があり、風通しのよい以前の日本家屋ではその性能を十分に発揮できました。
しかし、現代の住宅は、空気の流れを閉じ込める「高気密・高断熱」で、生活習慣も変わってしまいました。
・畳の上にカーペットを敷く
・洗濯物を室内に干す
・室内でペットを飼う
などは、ダニが大量発生する条件である「高温多湿」になりやすい環境です。
そのような環境だとダニが発生しやすくなるために、「タタミはダニが発生しやすい」という誤解が生まれたのだと思います。
2. 最近の畳製品あれこれ
最近は畳の風合いを残しつつ、現代の生活スタイルに合った商品が発売されていて、種類も豊富になりつつあります。以下にその一例を紹介します。

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2-1 ダイケン畳 「健やかくん」
大建工業株式会社が販売している「健やかくん」は、撚りをかけた和紙を用いています。
機械すき和紙は、イグサと違ってカビやダニにとって栄養素になるものが含まれていないため、繁殖しにくく、アレルギーの人にもおすすめしたい商品です。
また、撥水加工してある和紙のため、お手入れがしやすく、テープ状の和紙の段階で色付けを行っているので、日焼けにも強く変色しにくいのもメリットです。
2-2 セキスイ畳「MIGUSA」
積水成型工業株式会社は、セキスイ畳「MIGUSA」という製品を販売しています。
イグサではなく樹脂にカルシウムを配合したオリジナルの素材を使っていて、色あせしにくい、水・油に強く手入れが簡単、表面の割れや毛羽立ちが出にくい、ダニ・カビが発生しにくいなどの特徴があります、
天然の材料をベースとしているため、燃やしても有害物質が発生せず、環境に配慮されています。
3.まとめ

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日本人にとって、畳は素足で生活できる、ごろ寝したときに心地よいなど、日々の生活スタイルにぴったりなものだと思います。
今後はもっとインテリア性やデザイン性の高い色や織り柄のバリエーションが増えていきそうです。
家づくりの際はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
※参考