お弁当づくりと住宅設計の共通点とは?住宅設計がよくわかる『住まいの解剖図鑑』の名言3つ
発売から10年経った現在も売れ続けている名著『住まいの解剖図鑑』。
筆者の増田奏さんは、一級建築士として住宅設計を中心に活動するかたわら、大学で建築計画・建築設計の分野で教鞭をとってこられました。
住宅設計を学ぶ建築系の学生に向けて書き始められた本でしたが、住宅設計の実務に携わる人や、自宅を建てようとする一般の人でも参考にできるような内容になっています。
やさしいことばとイラストでわかりやすく解説されているところがこの本の魅力です。
ここでは、とくに参考になる「住まいの解剖図鑑」の名言を3つご紹介します。
1.「住宅の設計は、お弁当づくりに似ている」
お弁当づくりをする際、どんな弁当箱を選んで、どういう風に仕切ってそこに何を入れるか、どんな味のものを入れるのかを考えます。
住宅設計においても、似たようなことがいえます。
何階建てにしてどんな素材を使うのか、間取りはどうするか、どんなテイストの家具を置くのか。
なるほど、お弁当づくりと思えば、自分も住宅設計に関われそうな気がします。
最初のページのこのフレーズを見て、この本を手に取ってよかったと感じました。
2.「冷蔵庫は八方美人。誰かれ構わず呼び寄せる」
キッチンは効率よく炊事ができるよう、機能性が高いのが理想的。
近年では、オープンキッチンやアイランドキッチンなど、ダイニングとの隔たりがなく一体化したものが人気で、見た目のよさも重視されます。
使いやすいキッチンを実現するために増田さんが重視しているのが冷蔵庫の位置。
キッチンの中でも家族全員が利用するものなので、「誰かれ構わず呼び寄せる」というわけです。
そんな冷蔵庫をみんなが使いやすいようにするために、キッチンの奥ではなく手前に置くことを薦めています。
我が家のキッチンは奥にコンロがあり、その向かい側に冷蔵庫を置いていました。
コンロで調理をしている間に娘が飲み物を取りに来ると狭く危ないので、どうにかならないかと思っていました。
そんなときにこの本を読んで、冷蔵庫を手前に移動すればよいのだ!と気づくことができたのです。
ちょっとした配置換えでぐっと暮らしやすくなりました。
洗面室における洗濯機も同様なことが言えるようです。
3.「モノは生きている。とても出たがり・夜行性」
片づけたはずなのに、いつの間にか部屋が散らかっている…ということがよくあります。
私って片付けや収納が下手だな、と落ち込んでいましたが、そんなときに励まされたのがこのことばです。

skleznev / PIXTA(ピクスタ)
出たがりのモノたちを片付けるには、まず生態を分析すること。
モノの性格を「ジョージ(常時)」「ズイジ(随時)」「イチジ(一時)」に分け、それぞれに合った収納設計が提案されています。
たとえば、よく使うモノの「ジョージ」は、しまい込まずに出しっぱなしにしてもよいのです。
ただし、置き場所を決めるなどきれいに見えるようにします。
このように、モノの性格に合った収納を行えばよいのです。
言われてみれば簡単なことのように思いますが、言われなければ分からない「気づき」を与えてくれる本です。
ここで紹介した以外にも参考になることばがたくさんあります。
住まいに関することで悩んだとき手に取ってみると、きっとよい解決方法を与えてくれるでしょう。