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相続法が40年ぶりに改正、奥さんの立場が強くなる!?

2018(平成30)年7月、相続に関する民法の改正がなされました。

1980年以来40年ぶりに遺産相続に関わる民法の大改正となりました。

それに伴い、高齢化した配偶者の立場が保護されます。実際にどんなことが起こるのでしょうか。

1. 配偶者居住権・短期居住権が新設される

家

adigosts / PIXTA(ピクスタ)

2020年7月12日までの政令で定める日に、配偶者居住権が施行されます。

配偶者は相続開始後から亡くなるまで「無償」で住み続けられます(改正民法1030条)。同時に配偶者が短期間居住できる仕組みも設けられています。

1-1 配偶者居住権

お墓

PHOTO NAOKI / PIXTA(ピクスタ)

配偶者居住権は、相続開始のときに居住していた配偶者のみに認められ、

  • 遺産分割
  • 遺贈・死因贈与
  • 家庭裁判所の決定

のいずれかによって成立します。

被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合には認められません。

また、建物の所有者は、配偶者に対し、配偶者居住権の設定の登記を許可しなくてはなりません。なぜ、この制度が設けられたのでしょうか。

3,000万円の自宅と3,000万円の預貯金を配偶者と子ども2人が相続する場合で考えてみましょう。

現行の民法では配偶者は不動産や金融資産を含めたすべての遺産の1/2が法定相続分となります。

遺産の中には自宅も含まれるため、自宅を配偶者が相続すると、残った3,000万円の預貯金は子ども2人で1,500万円ずつ分けることになります。

預貯金

flyingv / PIXTA(ピクスタ)

これでは配偶者は自宅を相続しても生活の糧である預貯金の取り分がゼロとなってしまい、その後の生活が心配になります。

また、預貯金がほとんどなく主な財産が自宅のみとなれば、自宅を子どもと分けることは実質上困難になり、売却する可能性も出てきます。

相続発生後も配偶者が安心して自宅に住み続けられ、生活資金の確保もできるように「配偶者居住権」が新たに設けられたのです。

1-2 短期居住権

相続開始の時に無償で居住していた配偶者は、遺産分割終了の日か相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日までは、従来どおり居住することができるようになりました。

配偶者のための短期居住権は、配偶者に当然に認められる権利となっています。

2.結婚期間20年以上の夫婦を優遇

婚姻届

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婚姻期間が20年以上である夫婦間で、居住用不動産(居住用建物又はその敷地)の遺贈または贈与がされた場合は、原則として遺産分割における配偶者の取り分が増えることになります。

このルールは、2019年7月1日から施行されています。

2-1 贈与の趣旨が尊重される

今までは、生前に贈与等を行ったとしても、遺産の先渡しを受けたものとして扱われるのが原則です。

そのために、配偶者が最終的に取得する財産額は、贈与等がなかった場合と同じになってしまいます。

これでは、被相続人が贈与等を行った趣旨が遺産分割の結果に反映されないとして今回の改正がなされました。

2-2 配偶者は自宅に住み続けられる

マンション

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相続人が配偶者と子ども2人で、夫から2,000万円の自宅と500万円の預貯金を生前に贈与されていたとします。

現行の民法では複数の相続人の中で配偶者だけが2,500万円を特別に生前贈与されたことになり、相続時には2,500万円も相続財産として計算され、相続人3人で分割します。

これでは生前贈与をしても配偶者を守ることができません。

改正が行われると、婚姻期間20年以上の夫婦に限っては、生前贈与された2,000万円の自宅は相続財産の対象から外されます。

その結果預貯金の500万円のみ相続の対象となり、配偶者は自宅に住み続けることができるのです。

3.まとめ

シニア

Mills / PIXTA(ピクスタ)

厚生労働省発表の「主な年齢の平均余命(平成27年の第22回生命表における0歳の平均寿命)」は、男性は80.75歳、女性は86.99歳。

5年前と比較して、男性は1.20年、女は0.69年上回っています。

女性は男性よりも長寿で、夫に先立たれてしまう可能性が高くなります。

残された配偶者が生活に困ることがないように、今回民法を改正することになりました。

遺産分割は家族の同意が得られれば、どのような配分で分けてもよいので、配偶者居住権を主張しなくともまとまるケースはたくさんあると思います。

この制度を理解したうえで、家族間でもめ事がないように話し合って解決するのが理想です。

宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー(AFP)/家族信託コーディネーター 吉井希宥美

※ 参考
法務省「相続に関するルールが大きく変わります」

厚生労働省「主な年齢の平均余命」

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