賃貸住宅の騒音の実情とトラブルを避ける部屋の見極め方
近年、近所付き合いの希薄化が原因で近隣トラブルが増えてきました。
共働きの家庭が多く、活動する時間帯が合わないため、周りと深い関係を望まない人が増えてきていることも近隣トラブルの理由の1つとなっています。
今回は賃貸住宅のトラブルの中でも騒音に焦点を当てて、その現状と解決策について考えてみましょう。
1. 音が伝わる仕組みは
音には2種類あり、空気伝播音と固体伝播音があります。
それぞれの仕組みを知ると、どんな音が伝わりやすく、何をすれば音が伝わりにくいかが分かります。

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1-1 空気伝播音
空気伝播音は空気を伝わって聞こえてくるもの。話し声やテレビの音などは、これにあたります。
壁を厚くする、吸音材を使用するなど、構造等を工夫することで、かなり防ぐことができます。
1-2 固体伝播音

プラナ / PIXTA(ピクスタ)
固体伝播音は床や外壁を振動させて、音として伝わってくるもの。
椅子を引いた時の音や子どもが走り回った時の音などは固体伝播音に属します。
固体伝播音は、床の施工に防振ゴムを使用するなどすることで伝わりにくくなりますが、壁や床を厚くしたとしても、空気伝播音に比べて防ぐのは難しいといえます。
2. 騒音トラブルの実例
次に騒音トラブルの例をご紹介します。
2-1 朝から掃除機をかける音がうるさい

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Aさんからのクレームは「上の階のBさんが日曜の朝早くから掃除機をかけていてうるさい」というものでした。
「朝早く」とは何時くらいか管理会社が訪ねたところ「7時」との回答でした。
Bさんに管理会社がその旨を伝えたところ「朝7時は早すぎる時間ではないし、日曜は出勤日」とのこと。
このクレームは最終的には当事者同士で話し合いを行いましたが、朝7時に掃除機をかけるのがモラルに反することかどうかは人によって捉え方がまちまちで、管理会社や大家さんも判断することができず、未解決のままとなっています。
2-2 下の人が執拗にクレームを言いに来る

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Cさんは女性。離婚を機に一人暮らしを始めました。費用を押さえようと格安なアパートの2階の部屋を選び居住しています。
下階に住んでいるのはDさんという男性で、今まで上の部屋が空室だったため、入居してから生活音が非常に気になるようでした。
Cさんの友人が訪問し、話しているとDさんは管理会社を通さずにCさんに直接クレームを言いに行きます。
それは、一度ではなく、昼夜構わず何度も続きました。
Cさんは「夜11時過ぎに来られると恐怖を感じる」と管理会社に連絡してきました。
管理会社はDさんに直接Cさん宅へ行くのではなく、管理会社を通してほしいと話しました。
すると今度は下からドンドンと棒で天井をたたく音がするようになり、管理会社が注意にいくと「自分ではない」と言い張り、管理会社も困惑しています。
3.騒音トラブルの予防法は?
騒音トラブルは、発生件数が非常に多く解決が難しいものばかりです。
入居者同士でこじれると、ドアを叩いてクレームを言う、バルコニーから隣の部屋に乗り込む、など恐怖感を抱くような事例も少なくありません。
たとえ裁判を起こしたとしても公害レベルの騒音でなければ勝訴するのは難しく、精神的に疲弊してしまいます。
果たして騒音トラブルを予防する方法はあるのでしょうか?
3-1 物件見学時に間取り図を確認する

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水平方向の騒音を軽減するために有効なのが「間取りと各部屋の配置の関係を確認する」ことです。
横一列に部屋が5部屋並んでいる賃貸住宅の場合、同じ間取りの部屋が5部屋並列で並んでいる場合と、左右対称の間取りの部屋が交互に並んでいる場合がありますので、入居後の暮らしをイメージしながらよく確認しましょう。
3-2 建築図面で内側が空洞部分かどうか判断する

PHOTO NAOKI / PIXTA(ピクスタ)
部屋と部屋の間の壁の間に空洞部分がある物件があり、この構造を「中空構造」と言います。
厚い壁の強度を保ちつつ軽くできる、断熱ができるなどのメリットがある一方で、壁や床の空洞部分で音が増幅されてしまうというデメリットがあります。
建築図面を見ると壁の中が空洞かどうか分かります。分からない場合は不動産会社を経由して専門家に判断してもらいましょう。
4.まとめ

EKAKI / PIXTA(ピクスタ)
賃貸住宅の騒音トラブルを回避のためには、部屋選びの段階からチェックすることが大切です。
つまり、入居前に騒音にならない物件を探すのが一番の予防になるのです。
騒音に悩まされにくい物件を見つけたうえで、周辺環境のチェックをしましょう。
何度か物件を見に行くと、上の階にどんな人が住んでいるか察しがついてきますし、アパートやマンションの雰囲気も何となくわかってくるので、自分に合っているかどうかをよく考えてから申し込みをすべきです。