トラブル

WriternistaWriternista

敷金は全額戻らない?原状回復のルールを知ってトラブル回避

敷金とは賃貸物件に入居する際に必要となる費用です。

部屋を借りるのと引き換えに、担保として預ける保証金のようなお金で、退去時には原則戻ってくると考えて良いお金です。

退去時に敷金の返還を巡ってトラブルが発生することがあります。

部屋を出ていくとき、入居者は部屋を原状回復して明け渡す義務がありますが、この原状回復するための費用は、借主である入居者が負担することになっていて、敷金から相殺されます。

どこまでが原状回復にあたるのかの解釈が、貸主と借主の間で食い違い、予想以上に敷金が戻ってこないとき、両者の間でトラブルが発生します。

1.敷金を巡るトラブルQ&A

たばこ

砂肝大好き / PIXTA(ピクスタ)

 

退去時に、敷金を巡って起こったトラブルの事例と考え方についてQ&A方式でいくつか紹介します。

1-1 退去時にハウスクリーニング費用を請求された

Q.退去時の原状回復費用について、契約書にはガイドラインに従うとあったのに「地域の慣習だから、ハウスクリーニング代を支払うように」と言われてしまったが支払うべきか?

A.国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)」にはハウスクリーニングの費用は賃貸人の負担とすることが記載されています。

ガイドラインに従う以上、「ハウスクリーニング費用を賃借人の負担とする」という内容の特約が契約書にないのであれば、喫煙でクロスなどがヤニで変色したり臭いが付着した場合などを除き、基本的にハウスクリーニング費用を支払う義務はありません。

 

1-2 庭の植栽の手入れをしなかったため、敷金から差し引かれた

雑草

テラス / PIXTA(ピクスタ)

Q.庭の植栽の手入れをしなかったため、敷金から原状回復費用を差し引いて返還するのは正しいか?

A.重要事項説明書には建物のみが記載されているが、戸建ての賃貸物件に関しては、庭や敷地も物件の一部として考えるのが合理的であるため、敷地内全体に対して善管注意義務を負うと判断すべきです。

庭木を枯らしてしまったり、ものすごく雑草を生やしたままの場合は、善管注意義務を怠ったと考えられた判例もあります。

敷金から差し引かれたのは妥当と言えます。

2.現状回復のトラブル防止のために、民法を改正

1896年(明治29年)に制定された民法が約120年ぶりに改正され、2017年6月2日に公布となりました(施行は2020年4月)。

民法改正が今後、貸借契約の際の原状回復にどのような影響を及ぼすのか、ポイントを改めて確認しておきましょう。

契約書

SK Photo / PIXTA(ピクスタ)

2-1 敷金を初めて定義し、原状回復のルールも明確に

賃貸借契約における敷金については、これまで民法の中に記載されていなかったため、慣習によってやり取りされていましたが、今回の民法改正で初めて定義されました。

これまで「原状回復をめぐるガイドライン」によって運用されてきた部分が民法に記載され、借主に責任のない、通常使用による損耗や経年劣化などについては原状回復義務がないとしています。

2-2 特約はガイドラインよりも効力がある

特約で記載があれば、以前と同じようにハウスクリーニングを借主の費用で行うことは違法ではなくなりますので注意が必要です。

借主がすべきことは、「契約書をよく読む」ということです。

契約書にある特約を中心に、どのような場合に借主負担で費用を支払わなくてはならないのか、民法改正前よりも具体的に記載されているはずです。

分からなければ、不動産会社の人や大家さんに聞いて確認すべきです。

3.退居時にトラブルにならないために

クロスのはがれ

EKAKI / PIXTA(ピクスタ)

敷金に関するトラブルの原因は、借主と貸主の原状回復の解釈の違いにより起こることがほとんどです。

大切なのは契約をする際に細かくチェックすることです。

最近は「入居中のたたみの表替えは借主負担にする」「タバコのヤニや煙によるクロスの汚れは借主負担である」など細かく契約書に記載され、修理する際の費用を明記されている場合もあります。

自分には関係ないと聞き流さず入居前にきっちりとチェックし、退去時にトラブルにならないようにしましょう。

【参考】
※  国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)

ファイナンシャルプランナー(AFP)/宅地建物取引士/一般社団法人家族信託普及協会®会員 吉井 希宥美

  • B!