空き家が本当に怖い!「老朽化マンション」の購入リスクは?
マンションの購入を考えているけれど、老朽化したときどうなるのか、どうしたらよいのか、という不安を持っている人は少なくないでしょう。
老朽化したマンションのリスクや建て替えに関する基礎知識について解説します。
1.マンションの「老朽化」リスクとは?

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マンションの老朽化によるリスクが高くなる原因は、おもに空き家問題と少子高齢化です。
1-1 相続により、空き家が増えていく
現代は、結婚しても親と同居する人は少数です。
マンションに住んでいた親が亡くなっても、子ども世帯がそこに住むわけではないので、空き家となってしまう可能性が大きくなります。
人に貸したり、売却したりしようとしても、老朽化していると、借り手、買い手が見つからないまま放置されることになります。
1-2 空き家が多いとマンションの質が低下する
たとえ住んでいる人がいなくても、管理費と修繕積立金の支払い義務は発生します。
マンションの空き家率増加が加速した場合、管理費、修繕積立金の滞納や、管理組合への参加率低下など、マンションの維持管理に必要な人員や資金を確保できないといった問題にも発展する恐れがあり、結果的にマンションの質が落ちてしまいます。
マンションの資産価値が下がると、ますます借り手、買い手が見つけにくくなり、負のスパイラルに陥る可能性があります。
1-3 老朽化に対する対策はある?

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マンションの老朽化対策は、長期的な修繕計画を立てて、それをもとにして定期的に大規模修繕を行っていくことがメインです。
マンションの状態によっては「建て替え」のほうがよい場合もあります。
また、敷地売却制度を利用するのも対策の1つです。
この制度は、2014年に改正された「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」に基づく制度で、議決権および敷地利用権の持ち分価格の5分の4以上、区分所有者の頭数の5分の4以上が賛成すれば、マンションと敷地を売ることができる制度です。
利用できるのは、特定行政庁から耐震性が不足していると認定されたマンションのみとなっています。
2.マンションの建て替え

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マンションの建て替えは、耐震性や省エネ性がアップする、資産価値が向上するなどのメリットがあります。
2-1 マンションの建て替えはいつ頃が多いのか
分譲マンションは、大半が鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造で、法定耐用年数は47年です。
これは税務上の減価償却年数であり、実際のマンションの寿命は建物の品質やメンテナンス状況により変わってきます。
1970年代の高度成長期に建てられたマンションの中で、長期修繕計画にもとづいた修繕が行われていなかったものは、築30~40年程度で建て替えられた物件もあります。
いっぽうで、同潤会アパートなど堅固な構造で建てられた物件は、築70年程度で建て替えられました。
つまり、マンションの寿命は、今までの管理や修繕の状態によって長くも短くもなるということなのです。
2-2 マンションの建て替えに反対する人もいる

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マンションの建て替えをするためには、区分所有者および議決権の5分の4以上の賛成が必要となります(区分所有法第62条)。
しかし、話をまとめるのは非常に難しいのが現状です。
実際にマンションを取り壊して建て替えるとなると相応の工期がかかります。
その間、居住者には仮住まいや引越しの負担がかかりますし、環境が変わることに抵抗を感じる人がいます。
また、建て替え資金が修繕積立金で足りない場合、そのための新たな負担金が生じます。
容積率に余裕がある場合は、建て替えする新しいマンションの戸数を増やして販売し、資金調達を行う方法もありますが、事業の採算が合わなければ難しくなります。
3.管理状態が良いマンションの検討を

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マンションの中には、管理費や修繕積立金滞納により、修繕がきちんとされていないケースがあり、空室が多いマンションは特に管理状態が良くないものが多いようです。
管理費や修繕積立金がきちんと積み立てられていて、管理状態が良いマンションなら売却も可能ですので、購入を検討してもよいでしょう。