固定資産税だけ払い続けている相続した不動産、どうしたらいい?
親の土地家屋を相続したものの、どうしたらよいかわからず、保有して固定資産税を払い続けているだけという人も多いようです。
売却するといっても多くの諸費用がかかります。ここでは、相続した不動産をどうすればよいかを考えましょう。
1.「運用」か「売却」か
お金をかけないようにするには、どうしたらよいかを「運用」「売却」「処分」3つの観点から考えます。

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1-1 運用はアパート経営だけではない
不動産の活用というとアパート経営を思い浮かべがちですが、実際にはそれだけではありません。

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住宅ローンや不動産投資ローンは現在、低金利で借り入れができますが、現金支出や借り入れに抵抗がある人には、初期投資がアパート経営よりもかからない以下のような運用も視野に入れてはいかがでしょうか。
・駐車場経営
・駐輪場やバイク専用駐車場の経営
・レンタルコンテナ経営
・コインランドリー経営
・自動販売機設置
土地を更地にする費用はかかりますが、事業自体の初期費用はアパート経営よりも低く抑えられるのが特徴です。
建物を建てるわけではないので、土地の売却や別の不動産投資を始めるときにも手軽です。
1-2 売却の際は税制面で控除が受けられるかチェックを

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売却する際に知っておきたい知識の中に「空き家に対する3,000万円特別控除」があります。
相続発生から一定期間であれば、売却益から3,000万円を控除できるという特例です。
自宅ではない不動産を売却したときは、譲渡益に対し15~30%の高い所得税率(保有期間により税率は異なります)が課されます。
この適用を受けられるかどうかで、手元に残るお金がかなり違ってくるのです。適用されるための主な条件は以下の通りです。
・相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する
・被相続人が居住していた家である
・昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く)である
・相続から売却の時までに、事業や賃貸などで利用していない
・耐震性を有する(耐震性のない空き家の場合は耐震リフォームが必要)
2.事業用不動産は「買い換えの特例制度」を利用する方法も

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事業用の不動産を相続した場合についても、税務上の特例制度があります。
「買い換えの特例制度」もその1つです。相続した物件が要件にあてはまれば、この制度を使うことができます。
2-1 「買い換えの特例制度」とは?
この制度は、買い換えの際に発生する譲渡税が軽減されるもので、景気対策や土地の流動化を図る目的で施行されました。
対象は、店舗や事務所、賃貸用マンションといった事業を営んでいる事業用資産に限られます。
売った金額(譲渡価額)より買い換えた金額(取得価額)の方が多いときは、売った金額に20%の割合(以下、この乗ずる割合を「課税割合」といいます)を掛けた額を収入金額として譲渡所得の計算を行います。
売った金額より買い換えた金額の方が少ないときは、その差額と買い換えた金額に課税割合を掛けた額との合計額を収入金額として譲渡所得の計算を行います。詳しくは国税庁のホームページを参照してください。
2-2 「買い換えの特例制度」のメリット・デメリット
買い換えを行うことは、より利回りの高い物件を手に入れるチャンスとなります。
また、早期に買い換えすれば、相続税の節税にもなります。
物件の選定においては、地域の指定がなく、好きなエリアの物件に買い換えができるのもメリットといえます。
しかしこの制度を適用すると、減価償却費が少なくなってしまう、売却する不動産と購入する不動産の金額のバランスによっては、譲渡所得の80パーセントに課税される、というデメリットがあります。
3.まとめ

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相続した不動産は何も使わず空き家にするのではなく、不動産投資を行う、売却を行うなどの行動を起こすべきです。
不動産投資というと、マンション投資が代表的ですが、ほかの選択肢もたくさんありますので、自分に合った、初期費用も抑えた方法を検討してみましょう。
また、買い換える場合は、使える優遇税制を確認してから物件探しをすることをおすすめします。
ファイナンシャルプランナー(AFP)/