S造、RC造、SRC造。マンション構造のメリット・デメリット
マンションの構造は、おもに鉄筋コンクリート造(RC造)と鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、鉄骨造(S造)の3つがあります。
構造の違いによって、マンションの耐震性や耐火性・防音性が異なってくるため、建物の構造はマンション選びの際、欠かせない知識となります。
1. S造、RC造、SRC造とは?
分譲マンションで採用されている構造それぞれの特徴を見てみましょう。

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1-1 鉄骨造(S造)
鉄骨造とは、柱や梁などの建物の基盤となる骨組みに鉄骨を用いてつくられる構造です。
地震による力が建物に加わったとき、鉄骨は変形し、地震のエネルギーを吸収してくれるため、耐震性に優れているといわれています(これを弾性といいます)。
また、ほかの工法に比べ建築コストを低く抑えることができ、工期も短くて済みます。
1-2 鉄筋コンクリート造(RC造)
分譲マンションの構造として最も多く採用されているのが鉄筋コンクリート造。
最初に鉄筋で形をつくり、組んだ周りを型枠で囲んでコンクリートを流し込みます。
鉄筋とコンクリートを組み合わせることによって、それぞれの短所をカバーし、長所をより生かすことを考えた構造です。
耐震性が高く、耐熱性や防音性にも優れています。
超高層マンションには、以前はRCよりもより耐久性のある、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が多く採用されていました。
しかし、コンクリートの性能向上により、近年では、RC造の超高層マンションも多くみられるようになりました。
1-3 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
SRC造は、鉄筋コンクリート構造と鉄骨を組み合わせた物です。
鉄骨で骨組みをつくり、その周りに鉄筋を配置してコンクリ―トを打ち込んでいきます。
RC造以上に耐久性があるのが特徴ですが、建築コストはRC造よりも高くなります。
2.耐火性・耐震性・遮音性・コストは?

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マンションの構造を大まかに理解できたかと思いますが、では一体どのマンションがおすすめなのでしょうか。
耐火性・耐震性・遮音性・コストの各観点からどの構造が優れているかを調べてみましょう。
2-1 耐火性
RC造とSRC造は、使用する主材料のコンクリートが不燃性のため、非常に高い耐火性を備えています。
それに対し、S造に使用する鉄骨は熱が加わると変形する可能性がありますが、耐火材で覆うことで、弱点をカバーする仕組みになっていることが多いようです。
2-2 耐震性
国内の建物は、1981年に「新耐震基準」が採用されていますが、それ以降に建てられたマンションは、どの工法でも震度6程度の地震に耐えるようになっています。
地震の際は倒壊リスクのほかに、「建物の揺れ」によるリスクにも注意することが必要ですが、揺れに関しては構造よりも地盤性質を考慮した免震または制震構造がとられているかが重要になってきます。
2-3 遮音性
コンクリートには遮音効果があるために、S造よりもRC造とSRC造が優れています。
S造の場合は間仕切り壁の仕様によっては音漏れする可能性がありますが、近年では遮音性に配慮した仕様の間仕切壁もあるため、それらを採用していれば、遮音性は期待できます。
2-4 コスト
建築コストがかからないのはS造です。RC造とSRC造を比べた場合は、RC造の方が建築コストはかかりません。
SRC造は、鉄筋コンクリートのほかに鉄骨の材料費がかかるからです。
3.特徴を踏まえたマンション選びを

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このように、構造によってさまざまなメリット・デメリットがあるため、一概にどの構造が優れていると判断するのは難しいでしょう。
住宅の良し悪しは、構造に加えて、コンクリートの質や基本的な設計なども影響します。
物件を選ぶときは色々な角度からチェックすることが必要です。