住まいを見直したい人に。『40代からの住まいリセット術-人生が変わる家、3つの法則-』
私が現在の家に住み始めてから、もうすぐ10年になります。その間に子どもが生まれ、モノがどんどん増えていき、購入した当初に思い描いていた住まいとは、すっかり様子が変わってしまいました。
その時々で家具を購入したり、模様替えをしたりして暮らしやすいように工夫してきましたが、最近なぜだかしっくりきません。リフォームをしたほうがいいのかもしれないと思いつつ、具体的にどうしたらいいものか悩んでいました。
そんなときに「住まいのリセット」という言葉に惹かれて手に取ったのが、今回紹介する『40代からの住まいリセット術-人生が変わる家、3つの法則-』です。本書で紹介されている内容は、私のように日々なんとなく暮らしづらさを感じている方にとって、住まいを見つめなおすよいヒントになると思います。
「とりあえずの家」を見直す

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著者の水越美枝子さんは、大手ゼネコンで商業施設やマンションなどの設計にたずさわり、バンコクでの勤務を経たのち、一級建築事務所アトリエサラを立ち上げました。住宅設計の分野で建築デザインからインテリアコーディネートまで、トータルでの住まいづくりを提案しています。
戦後の経済成長によって都市部に人口が流れ、住まいは伝統的な日本家屋から団地やマンション、建売住宅などの核家族向けの住宅になっていきました。
西洋風の家に住んでみたものの、成熟しないまま「とりあえずの家」に住んでいるのが日本の住まいの現状である、と気づいた水越さんは、この「とりあえずの家」をリセットし、居心地のよい住まいをつくることを提案しています。
私はこの「とりあえず」という言葉にギクッとしました。モノが増えると、その都度あまり考えずに「とりあえず」モノが収まる収納家具を取り入れてきたからです。
「とりあえず」と思いつつ使い続けているものが生活にしっくりくるはずがなかったのです。
人の視線を意識した部屋づくり

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バンコクで暮らしている間に、さまざまなホテルを訪れた水越さんは「美しい空間には、デザイナーが計算し尽くした「視覚のマジック」が随所に仕掛けられていたことに気づきます。
空間の中で視線が集中する「フォーカル・ポイント」を利用した空間づくりが行われていたのです。このフォーカル・ポイントを利用した部屋づくりの方法がとても参考になりました。
自分の家を見直してみたところ、見事にフォーカル・ポイントにモノが積みあがっていました。部屋に入ったときに散らかっているように感じたのはこのせいだったのか! なるほど、人を招こうという気持ちにならないはずです。
住まいのリセットは、フォーカル・ポイントを見せたい場所につくり変えることから始めようと思いました。
住まいのリセットを成功させるための3つの法則

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「動線、収納、インテリア」の3つの要素によって、住み心地のよい家が完成すると水越さんは言います。住まいのリセットを成功させるためには、「短い動線」「適所適量の収納」「自分らしいインテリア」を着実に確立していくことが必要です。
本のなかでは、それぞれを進めていく方法が説明されています。次回記事では、もう少し詳しく3つの法則について紹介します。
住まいを変えるには、新築、引っ越し、リフォーム、模様替えとさまざまな手段がありますが、本書で説明されている内容はどれをとったとしても参考になります。
新書で読みやすいので、日々暮らしづらさを感じている方に手に取っていただきたい一冊です。