お宅拝見

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南北に庭を設けた、緑に囲まれる平屋の暮らし

外観2

愛知県に暮らすKさん夫妻は、第2子となる長男を授かったことをきっかけに家づくりを考え始めました。それまで住んでいた賃貸住宅が、家族4人が暮らすには手狭になってきたためです。

家を建てることにしたのは、かつて妻の実家の畑だった81坪の敷地。
その広い敷地に計画されたのは、南北に2つの庭を設けたおおらかな平屋の家でした。

平屋の家を81 坪の敷地にゆったりと

外観

K邸を設計したのは、名古屋を拠点とする悠らり建築事務所の安藤亨英さんと安藤節子さんです。

Kさん夫妻は「明るく風通しがよく、緑を楽しめる家」「家族が1日の大半をLDKで過ごせる家」「年を重ねても住みやすい家」などを要望。

そこで安藤さんから提案されたのが、敷地に余裕を残しながら建つ平屋の家でした。

「敷地に奥行きがあったので、南と北に、空や隣地の緑の借景とつながる庭を計画しました。風通しがよく、緑に囲まれてくつろげる暮らしを実現できるのではないかと思いました」と安藤亨英さん。

南側の庭には、フルオープンになる開口の外に、L字型の建物に沿ってデッキが渡され、庭には芝生が広がっています。芝生の中央は造園家の提案による砂場も設けられました。

「子どもたちが外で遊んでいても姿が見えて安心。目が届きやすいのは平屋のメリットですね」と、妻もにっこり。

ロフト

さあ、では家の中へ。LDKは大きなワンルームで一部ロフトつき。ロフト床がかからないDKは天井高が高く、なんとも広々しています。

平家ですが、ロフトがあることで空間に立体感が生まれています。また、2階のような隔たりがなく、空間がより広く見えますね。

ロフト内

「漠然と家は2階建てだとばかり思っていました(笑)」と夫が抱いたイメージに応え(?)、ロフトは現在、夫の専用スペースになっているそうです。

左は南北方向に伸びたロフトの下は畳コーナー。書道をたしなむ妻がぜひと要望した空間です。障子戸を開ければLDKとも一体化します。右はミニマムな広さの子ども室。トップライトで明るさも十分です。

寝室

子ども室の前にロフトへのはしごがあるので、子ども室の延長になる可能性もありそうですね。

ロフトへのはしご

 

ポイントは北側の大開口。室内に注ぐ光と風

DKの天井の高さを利用して設置されたのが、北側の大開口。この大開口が日々の暮らしのポイントになっています。

北側キッチン

「私はできるだけ北側に開口を設けます。そうすることで空気がよく流れ、やわらかい光も獲得できるのです。地域性もありますが、南側を重視した温熱計画は、暑すぎて現代にそぐわない場合が多いと感じます」と安藤さんは話します。

キッチン見下ろし

また、キッチンは、北側の開口とすりガラス製の勝手口に囲まれ、北側からの安定した光に包まれています。ちなみに、北側開口は断熱性に優れたLow-Eガラス製で、下半分は防犯タイプを採用したそうですよ。

規模を抑えて基本性能や素材を上質に

K邸は、敷地の広さからすると、もっと規模の大きな家の建設も可能でした。けれど、あえて建築面積を抑え、そのぶん基本性能や素材にコストをかけたのだといいます。

LDK+ロフト

「壁は珪藻土塗りです。前の家では食べ物などのニオイがこもりがちでしたが、消臭効果のある珪藻土を壁に採用してもらったところ、ニオイが気にならず快適です」と夫。

「珪藻土は調湿性があり、また性能のよい断熱材を採用したことで、外の気温が高い日も室内は爽やかで過ごしやすいと思います」(安藤さん)。

壁の珪藻土の他に、床はナラを、天井は部分的に杉板を張って、自然素材の温もりがいっぱい。

キッチン

さらに、キッチンは、人造大理石のワークトップとナラ材のキャビネットによるオーダーキッチン。収納部、テーブルと椅子もナラ材を使ったオーダー品です。レンジフードもナラ材の造作で、珪藻土の壁と落ち着いた調和を見せています。

水回りは、主寝室と子ども室の間に集中してレイアウト。

洗面室

洗面室は、オープンな洗面台と造作の収納部を組み合わせ、コンパクトながら機能的に仕上げています。トイレは奥行きを生かし、手洗器をゆったりと配置。洗面・トイレとも、高所窓が明かり取りと通風に機能しています。

リビング

他にも、家族みんながLDに自然に集まるようなつくりを夫妻は希望しました。「なるべくLDで過ごしてほしい」との思いで、2つの子ども室はあえてミニマムな広さにしているそうです。

ロフトにいても、キッチンにいてもつねに家族のつながりが感じられる、あたたかな平屋の家。子どもたちもおおらかな環境で、すくすく育ちそうです。

設計/悠らり建築事務所

事務所(安藤亨英+安藤節子)
撮影/日紫喜政彦

※物件価格、工事費、ご家族の年齢等は取材時(2017年11.12月号掲載時)のものです。

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