人気ブロガーちきりんさんに聞く。リノベにまつわる8つのQ&A
社会派人気ブロガーのちきりんさんは、2019年春、自宅をフルリノベした経験からリノベ本を出版。そんなちきりんさんが、秋のリノベシーズンに合わせてトークイベントを行いました。
会場となったのは、西新宿の新宿パークタワー3~7階にある「リビングデザインセンター OZONE」。5フロアにわたる広大な空間には、新築やリノベーションなどの家づくりに欠かせない設備やアイテムが豊富に揃い、様々な情報収集と体験が1か所で叶います。
今回は、イベント後半に設けられた約30分の質疑応答タイムに飛び交ったQ&Aを厳選。ショールームに関することから、リノベ後の各所の使い心地、本を愛読しているからこそ出る細かい質問など、イベント参加者から挙がった質問のなかから8個の「?」をご紹介します。
Q1.ショールームでは高い商品を勧められるから、何度も行くとリスクが増える?

freeangle / PIXTA(ピクスタ)
ちきりんさんの第一声は「ほんとにそう!」。どのショールームも多くは高級ラインのものばかりが並び、お手頃なプロダクトラインは目立つ場所には皆無。スタッフの方に聞いて、初めて裏からひょこっと出てくるというような扱いです。
でも、「それを理解したうえで、何度も行けばいい」とちきりんさん。理解しないままにふらっとショールームを訪れ、展示されている商品のランクが最上級品とも知らずに、その良さを実感してあれもこれもと最上級品に惚れ込んでしまっては手遅れになります。
しっかり商品ランクを理解、確認しながら、自分の家づくりのヒントや理想の暮らしに一役買ってくれるアイテムを探しましょう。ちきりんさんも、ミストサウナやシャワーは高かったけれど、やっぱり付けて正解だったと振り返ります。買うべきものは、しっかり買おう!
Q2.似たような商品を選択する決め手は?

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「メーカーやブランドで選んだことはない」とちきりんさんは断言します。選ぶときはあくまでも商品軸で、自分のニーズを叶える機能やデザインがすべて。
例えば、キッチンの水栓。最近では海外ブランドのスタイリッシュでおしゃれな水栓も人気ですが、ちきりんさんが最優先したのは 「掃除が楽なこと」 。
ホースが伸縮するタイプの水栓はシンクの水洗いをする際に便利ですが、いつもは奥に引っ込んでいるホースや蛇腹になっている部分を掃除するのが面倒だからいやだ、とバッサリ。シャワーとストレートの切り替えができればいいと、シンプルなものをチョイスしました。
Q3.リノベして睡眠や健康面での変化はあった?
リノベすると、暮らしの質が上がる。そう話すちきりんさんですが、リノベ後に健康面でプラスだったと感じているのは 「二重窓」だそう。
今までは水回りが寒くて、リビングとの温度差もすごかったけれど、今はそんなことが全くないのだそう。「夏場にトイレで汗をかく、ということもなくなった」とちきりんさんは笑います。
ほぼワンルームのような間取りと二重窓のおかげで、浴室と脱衣所の温度差によるヒートショックのリスクも減り、エアコン一台だけでどの空間も快適な温度を維持できていることは、健康面でメリットがあったといえるでしょう。
また、掃除が楽になったり、浴室の24時間換気システムを設置したおかげで、匂いや刺激の強い漂白剤を使うシーンも減ったのだとか。今後ケガをした時などは、このフルフラットで扉が少ない空間やベッドとトイレが近い間取りに、さらにありがたみを感じられそうです。
Q4.二重窓を設置すると、居住スペースが狭くならない?
確かに既存の窓の内側に新たにもう一枚、別の窓を設置すると、窓や壁が居住スペース側に7cmほどせり出してきます。でもそれで部屋が狭くなったと感じるかといえば、そうでもないそう。
なぜならリノベによって廊下や不要な壁など、ちきりんさんにとっては不要だったものをすべてなくして、生活スタイルや動線に合わせた合理的な間取りにしているので、7cmゆえの圧迫感は全くなく、むしろ広くなったように感じているそうです。
Q5.窓なしで奥まっているパウダールーム、湿気はどう?

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ネットでもよく聞かれるというこの話題。ルームウェアやパジャマ置き場でもあるパウダールームは、広さこそあれど、窓はなし。「バスルームの近くに洋服置くと湿っぽくならない?」という疑問でした。
ちきりんさんの答えは「NO!」。
その理由はふたつあって、ひとつは温泉の脱衣所風の扇風機を設置したことで、空気を循環させられるから。ちきりんさんは温泉が大好きで、「入浴後に脱衣所で扇風機に当たるのが最高!」と思っていて、自宅にも取り入れたのだそう。
そしてふたつめは、そもそもその場所はあまり湿気がこもらない、と分かっていたから。これは、ちきりんさんがもともと住んでいた家をリノベしたからこその理由。
水回りは以前とほぼ同じ配置で、リノベ前も洗面室に置いていたタオルが湿っぽくなることはなかったから、大丈夫だろうと判断しました。
Q6.ベッドの横に窓があるのは地震時に危なくない?

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防災のスペシャリストである友人から、「大地震では最初の一撃を受けないことが大事」と聞いていたちきりんさんは、そういった災害時の安全性にも配慮。ちきりんさんの本にはそう記載があったのに、「ベッドの横に窓があるのはなぜ?」という質問でした。
寝る時間は家にいる時間の中でも長い時間を占めるので、寝ている時の安全対策は大事です。だから、ベッドの横にガラス入りの室内窓や鏡などがあるのは危険。
ですが、ちきりん邸のベッド脇にある窓は、マンションの外側に面した窓で、ガラスも網入りの厚いもの。普通のガラスとは頑丈さも違うし、衝撃を受けたときの割れ方も違います。加えて就寝時にはカーテンを閉めるため、ガラスが割れても厚みのある遮光カーテンで一定の防御は可能。
ちきりんさんは「もしこれが割れるような地震がきたら、もう私にできることはない、と思えるような窓です」と付け加えていました。
Q7.調理家電が好きなのに、IHではなくガスにしたのはなぜ?

イグのマスタ / PIXTA(ピクスタ)
理由は明確でふたつ。ひとつめは、IH対応の鍋は重いものが多いから。年をとると、重い鍋は使うのも洗うのも、そして収納するのも大変なため、ついつい億劫になり使わなくなってしまうとか。料理が大好きなちきりんさん。「できるだけ長く料理がしたいので、フライパンも鍋も軽いガスを選びました」と話してくれました。
そしてふたつめは、中華鍋×ガス火で炒め物をしたいから。煮込みはホットクック、ステーキはデロンギのグリル、野菜をゆでるのは電子レンジ、揚げ物はしない、というスタイルはちきりんさんの中で確固たるもの。となると、あと必要なのはチャーハンや野菜炒めなどの “炒める” という調理法です。それならIHよりガスだよね、という理由なのでした。
ですが、「もし、もっと料理をしなくなったら、IHの方が安全だし、フラットでスペースをさらに広く使えるしいいかもね」という柔軟な考え方は、やっぱりちきりんさんらしいですね。
Q8.「バッグ収納」へのこだわりと使い勝手は?

Cheangchai_4575 / PIXTA(ピクスタ)
バッグは大きさや厚さ、長さなどがバラバラで、しかも適当に置いておくと形が崩れることもあり、収納難易度の高いアイテム。ちきりんさんもずっと悩んでいて、どう収納するのがベストなのか、かなり調べたのだそう。最終的には専用クローゼットを作り、中には可動式のバーをたくさん付けてもらいました。
利用頻度が高いバッグは手前に、シーズンオフやフォーマル用のバッグは奥にかけられるようになっていて、一目でどこに何があるか分かるし、取り出しもしやすいし、めでたく「バッグ収納問題」 は解決となりました。詳しい仕組みは『徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと』内の写真をご覧くださいとのこと
まとめ
さあ、3回にわたってお送りしたレポートもこれでおしまいです。何度も何度もショールームに行って、しつこいくらいに質問を重ね、理想の暮らしを実現してくれるアイテムを探し求めてきたちきりんさんだからこそのアドバイスが満載でしたね。
ショールームに行くべきタイミングと、そのタイミングにショールームで何をすべきなのか。すべてを読んで理解してくださった方は、きっとすぐにでもショールームに駆け込みたくなったことでしょう。
ぜひ日常のお散歩コースに組み込んだり、ご両親を誘って出かけてみたり、気軽にショールームを訪れてたっぷり情報収集と実体験を重ねてくださいね。
さて、次のイベントは10月。テーマは「賃貸か購入か、リノベ済物件か自分でリノベか」です。うーん、新しい住まいを検討している方なら一度はぶち当たりそうなテーマですね。次回のイベントもまたレポートしますので、お楽しみに!
それでは、今回も最後はちきりんさんの締め文句で。
そんじゃーね!

退職後、2011年からは文筆家として活躍。『自分のアタマで考えよう』『マーケット感覚を身につけよう』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。
人気ブログ「Chikirinの日記」を運営する。