体験レポート&リサーチ

シマムラ アサミシマムラ アサミ

「マンションは管理を買う」ってどういうこと?人気ブロガーちきりんさんに聞く

社会派人気ブロガーのちきりんさんは、2019年春、自宅をフルリノベした経験からリノベ本を出版。そんなちきりんさんが、秋のリノベシーズンに合わせてトークイベントを行いました。

会場となったのは、西新宿の新宿パークタワー3~7階にある「リビングデザインセンター OZONE」。5フロアにわたる広大な空間には、新築やリノベーションなどの家づくりに欠かせない設備やアイテムが豊富に揃い、様々な情報収集と体験が1か所で叶います。

今回は、買うことを決意して「いつ、どのマンションを買うか」のフェーズに入った方、必読です。

「誰が何と言おうと絶対に買いたい!」という理由があるなら、家は買うべきと話すちきりんさん。購入のタイミングをどう見極めるのか、また中古マンション購入時によく言われる「マンションは管理を買う」というフレーズについて、ちきりんさん流の考え方をご紹介します。

結局「買いどき」っていつ?

国立競技場

gandhi / PIXTA(ピクスタ)

自分が住むための家を買うのは、不動産投資ではありません。ですので、「不動産価格が上がる下がるではなく、自分の経済力との比較(だけ)が大事」とちきりんさん。

2020年の東京オリンピック後に不動産価格が下がるとか、いや変わらないといった議論もありますが、専門家でさえも今が「買いどき」かどうか、本当のところは後にならないと分かりません。

不動産や株、仮想通貨などは、誰がどれだけ勉強して予測しようが、未来は分からないのです。ですので、世の中がいう「買いどき」を探るのではなく、自分の経済状況の今と今後を理解したうえで、住宅ローンを払い続けられるかどうかを保守的に検討する方がよいのです。

では「買いどき」はいつか。

駅前

haku / PIXTA(ピクスタ) ※写真はイメージです

ちきりんさんは、「何十年もそこに住むのだから、ライフプランが固まっているかどうかが重要」と言います。この街で、この家で、この家族とどう暮らしていくのか。

実際には予期せぬハプニングなどもあるかもしれませんが、だいたいのめどが立っていれば、自分にピッタリの立地や広さ、間取りなどの判断基準が持てます。

そのうえで「ここだ!」という物件に出会えたら、世の中が騒ぐ「これから上がる下がる」の議論に関係なく、きっとそれが「買いどき」なのでしょう。

「駅までの距離を妥協」から「古さを妥協」の時代へ

ちきりんさんリノベトークショー

未来の不動産価格は誰にも分りませんが、ここで過去の不動産価格とそれにまつわる住宅購入の変化についての話を少しばかり。

まず、新築マンションの坪単価。バブル期だった1990年代と現在を比べると、首都圏ではほぼ同じくらいで坪単価350万円ほど。首都圏はバブル期と同じくらい、不動産価格が上昇してきているのです。

ここで見ていただきたいのは、最寄り駅からの距離を示した以下のグラフ。

ちきりんさんリノベトークショー

最寄り駅から徒歩10分以上の物件が、年々減少していることが分かります。バブル期は高級住宅地であれば駅から遠くても売れましたが、今はそういう時代ではありません。

共働きで忙しいため、保育園や駅までの距離が近いことが重要視され、「駅近」というのは妥協できないポイントになってきています。一方で、昔は今ほど共働きが多くなかったし、妻が夫を駅まで車で送迎するということも可能だったので、妥協できる要素だったのでしょう。

駅

Ryuji / PIXTA(ピクスタ) ※写真はイメージです

今も昔も不動産価格は同レベルに高い。昔は駅からの距離を妥協し、そしてそれができない今は築年数を妥協する。「予算内で住まいを手に入れるために、それらはとても合理的」とちきりんさんは話します。

中古マンションの販売数が上昇している近年の流れは、必然的なことといえるのでしょう。

マンション管理には2種類ある?

掲示板

SoutaBank / PIXTA(ピクスタ)

そんな中古マンションの購入が一般的になってきた現在、私たちは中古マンションを購入するときに、どんなことに気を付けたらいいのでしょう。それは、「今までどんな管理がされてきたか、そして、どんな住民が暮らしているのかを知ることだ」とちきりんさんは言います。

また、よく「マンションは管理を買う」と言われますが、「管理には2種類ある」と続けます。大規模修繕の実施の有無やごみ置き場がきれいか、修繕積立金が十分にあるのかなどは、書類を確認したり、現地に足を運んだりすればある程度分かります。

これは、「住まなくても分かる管理」。快適に暮らすためには、もちろん事前チェックが欠かせない要素です。

一方で、「住んで初めて分かる管理」もあります。それは、どんな住民が暮らしているのか、ということ。マンション全体の事はすべて理事会で多数決で決議されます。ですので、もし住民のライフスタイルやライフステージが自分と全く違う人ばかりだと、予想外の事態が起こる可能性も。

宅配ロッカー

chromatic / PIXTA(ピクスタ)

例えば、ネット通販を日常的に利用するちきりんさんなら、「もしネット通販を使うのは私だけ?というマンションに住んだら、多数決で宅配ボックスが撤去されてしまうかも」というリスクがあるでしょう。つまり、住民のニーズと自分のニーズが近ければ、マンション全体の総意として、自分が住みやすい状態が維持されやすいといえるのです。

また、住民にちょっと変わった人がいるケースもあります。その場合、総戸数が少ないと「最終的には多数決」の理事会でその人のインパクトが大きくなり、苦労することがあるかもしれません。住民の価値観だけでなく、総戸数も実は大事な要素なのです。

ちきりんさんは新築で住み始めてからの20年間、管理状態を把握し、理事会に参加してきたことで、「このマンションでこの先20年も暮らしていける」と確信し、今回のリノベを決意したのだそうです。

買いたい物件に賃貸で住んでみよう!

マンションの駐輪場

ヤシの木 / PIXTA(ピクスタ)

「でも、住んでいないのにどんな住民が暮らしているかなんて分かりません」という声が聞こえてきそう。ちきりんさんは20年住みながらそれらの理解を進めてきましたが、「2年も住めば分かる」とスッパリ。

そこでちきりんさんがおすすめする手段は、「買いたい物件を賃貸してみる」です。住んでみれば、管理組合の議事録を確認できるし、マンションの日常の風景や住民の暮らしぶりなどを実感できます。これこそが、生きた意味での管理状態というもの。

住みながらマンションの良し悪しを判断し、もし「良し」であったなら、売り物件が出たらすぐさま内見に行き、購入するかどうか即断即決するのです。

ちきりんさんの住む総戸数約100戸のマンションでは、3割以上が賃貸している住民で、年に5~8戸は転入。そして1年に1戸は売却があるそうです。総戸数が少ないマンションだとそこまで流動性はないかもしれませんが、ある程度の規模があれば、賃貸してから購入というのも意外と現実的なのかもしれません。

マンション

スイマー / PIXTA(ピクスタ) ※写真はイメージです

いつ買うかは、世の中にあふれる経済予測の声に惑わされてはいけない。どのマンションを買うかは、不動産会社からもらう書類だけでなく、自分の目で、足で、心で、そのマンションのお人柄を確認しなければいけない。

家を買うという大きな判断をするには、たくさんの要素が複雑に絡み合いますね。だからこそ、その大きな決断の根底には「絶対に買いたい!」という強い想いが欠かせないのかもしれません。

では、今回はこのあたりで、ちきりんさんの言葉をお借りしておしまいとしましょう。

そんじゃーね!

■ちきりん
日本を代表する社会派ブロガー。関西出身。大学卒業後、金融機関に就職。アメリカの大学院留学を経て、外資系企業に転職し、在職中にブログを書きはじめる。
退職後、2011年からは文筆家として活躍。『自分のアタマで考えよう』『マーケット感覚を身につけよう』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。
人気ブログ「Chikirinの日記」を運営する。

徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと

完全に「顧客目線」ですべてを解説。リノベーション&リフォーム入門の決定版!

これからリノベーションをする人なら、 誰でも経験者にじっくりと相談したいはず。 その相手が、日本トップクラスのブロガーだったら…… こんなに面白くて役立つ話が聞けました!

Amazone詳細ページへ

人気連載

READ MORE