暮らしのコツ

なんでも大家 アサクラなんでも大家 アサクラ

町内会費は大家が払うべき?賃貸マンションの疑問

賃貸マンションに住んでいる方は、町内会費を支払っていますか? 「払ったことがない」という方も多いと思いますが、その場合は誰が支払っているのでしょうか。

東京・世田谷で賃貸マンションの大家をしているアサクラさんは先代からマンションを引き継ぎ、経営について見直すなかで、気になったのが町内会費だったといいます。
年会費が2万円弱と意外に高額……。確認すると、入居者さんの分まで支払ってることが分かったそう。

賃貸マンションと町内会の関係、町内会費の妥当性などについて大家・アサクラさんの視点から学んでみましょう。

知らないうちに町内会の一員になっていた

お金と計算機

freeangle / PIXTA(ピクスタ

僕自身、地縁的な共同体とのかかわりが希薄だったこともあり、町内会の存在を意識したこともありませんでした。
しかし、うちの会社が先代から町内会に入会していたため、マンションを引き継いだら(知らないうちに)町内会の一員になっていたのです。

これ自体は仕方ないことだと思うのですが、入居者さんの分まで含めた金額をマンションが支払うというのが引っかかりました。

基本的に賃貸の入居者さんは土地に定住する可能性も低く、地域の集まりにもほとんど参加しません。その人たちの町内会費をマンションの大家さんが一括で徴収するのはおかしいのでは?と思ったのです。
というか、そもそも町内会に入る意味ってどこにあるんでしょうか?

いろいろと「?」が浮かんできたので、町内会の事務局に連絡を取り、脱退も視野に入れた上で相談したい旨を伝えました。

町内会が引き留めにあたって挙げた理由は?

回覧板

Graphs / PIXTA(ピクスタ)

しばらくして担当の方と会ってお話することになりました。先方としては当然ながら「引き続き払ってもらいたい」とのこと。

理由として挙げられたのは…
・理由1「先代の経営者も払っていた」
・理由2「ほかの賃貸マンションも入居者の分を払っている」
・理由3「万一の災害時に備える防災的な意味もある」
あたりでしょうか。

理由1については、経営者が代わってしまった以上、ちょっと納得しがたいですね。
理由2ですが、詳しく聞いてみると、賃貸マンションがすべて払っているわけでもないようです。
事実、近所で親戚が営んでいる小さな賃貸物件では、ご本人分しか払っていないようでした。

こういうのを聞くと不公平な感じがしてしまいますよね。

本音を言えば、ここをもっと突っ込みたいのですが「あいつが払ってないのに何でうちが払うんだ」という論法は、親戚まで飛び火する可能性があるので、なかなか難しいんですよね……。

消化訓練

セーラム / PIXTA(ピクスタ)

理由3の防災は、僕も無意味とは思いません。
地震や台風の際に、ご近所で助け合うことの意味はあるでしょう。

避難訓練や消火訓練をやる際の負担を拒むつもりもありません。しかし、町内会の活動内容を調べてみると、防災が占める割合が決して高いとはいえないのが引っかかりました。

そもそも町内会の活動って?全員が加入なの?

お神輿

papilio / PIXTA(ピクスタ)

年間のスケジュールなどを見るかぎり、防災活動はあくまでほんの一部です。

「盆踊り」「お神輿」はともかくとしても、「囲碁大会」「グランドゴルフ」「健康セミナー」「文化セミナー」などは、特定の高齢者によるイベントという印象が強いです。
地域のお祭りが好きな人や、ご近所の人たちと集まってイベントや習い事をやりたい人にとっては町内会は貴重な機会なのでしょう。

でも、その金銭的な負担(の一部)をほぼ無関係な人に求めるのはどうかと思うのです。

たとえば、活動を防災や防犯などの必要不可欠なものだけに絞れば、もっと会費は下げられるはず。
エクストラの活動に関しては、会員制度の中でうまく再徴収してもらえたりすると、イベントに関わらない人にも納得がいくかたちになると感じました。

ごみ

naka / PIXTA(ピクスタ

ちなみに、町内会の加入意義としてゴミ捨てが話題になることがよくあります。

田舎の場合、ゴミの回収に手間がかかり、それをあるていど地域住民で負担する必要があったりするので、それを町内会費の根拠にするのは納得できます(しかし、世田谷などの都市部ではあてはまらない話です)。

ご近所と険悪になれば賃貸経営は難しい

計算中

タカス / PIXTA(ピクスタ)

こんなふうに考えていくと、大家が一括してマンション入居者の分の町内会費を支払うのは、どうも不合理な感じがしてきます。

僕の頭に浮かんだ「筋の通った」選択肢は、マンションとしては町内会を脱退し、町内会にはあらためて個々の入居者さんに個別に勧誘してもらい、町内会費を徴収してもらうという考え方です。

しかし、それでは結果的に負担を入居者さんに押し付けるかたちになります。入居者さんの中には町内会の勧誘を不快に思う人だっているでしょう。
賃貸マンションというサービス業を営んでいる以上、「筋が通っている」からといって、その選択はできません。

そこで、マンションによって負担にもバラつきがあることを指摘しつつ、築古マンションの経営の大変さなども訴え、やんわり減額をお願いしてみました。

握手

Graphs / PIXTA(ピクスタ)

うちの町内会は強面でグイグイくる雰囲気でなかったことも幸いし、向こうから「半額に減らしますのでお支払いしていただけないでしょうか」という提案をいただくことができました。
それでもまだ数世帯分の負担に相当しますし、心の中のモヤモヤが消えたわけではないのですが、あくまで第一目的は経費削減だと自分に言い聞かせ、納得した次第です。

そもそも、賃貸経営はご近所と険悪になっては成り立ちません。こちらもあるていど譲歩しつつ、半額の減額で折り合いをつけるのが現実的だったと思っています。

協力できるところは協力することも大事

自転車

yukiotoko / PIXTA(ピクスタ)

これにて一件落着と相成ったわけですが、今回の一件で町内会から悪印象を持たれたら困るな、と心配な気持ちもありました。
目先の経費削減で「藪をつついて蛇を出す」ことになってはたまりません。

そんなふうに思っていた矢先、町内会の方からうちのマンションの敷地の一部を子ども会の日に駐輪場として貸してくれないかというお願いをされました。

その敷地はマンションの入口とは別の場所だったので、トラブルも起きないと見込んで快諾しました。その際の先方の態度も柔和でしたし、ひとまずホッとしました。

こういうかたちで協力しておくことで町内会、ひいてはご近所とうまくつきあっていければいいのですが。

人気連載

READ MORE