インテリア・雑貨

Sumai編集部

オアシスのような東京の花屋/Jepung(ジュプン)

店内

壁は漆喰。内装やインテリアのデザインは小柴さんによるもの。2階は店舗と資材置き場

東京には、オアシスのような花屋がたくさんあります。
なぜ仕事として花屋を選んだのか、日々どんな思いで草花や客と向き合っているのか。

都内でも注目の花屋を作家・エッセイストの大平一枝さんがたずね歩きます。

(取材・文/大平一枝 撮影/佐々木孝憲

強い個性でファンを増やす。共通のテーマは「癒やし」

ジュプン店内

小さなビルの1・2階を使用。螺旋階段の上から見下ろしたところ。花とオブジェが混在する独特の優美な世界観に包まれている

螺旋階段に女神像、天使にギリシャ神殿風の装飾。目黒駅徒歩1分という立地を忘れそうなゆったりと雅やかな空間だ。

小柴孝志さんは百貨店の西武、国内外の花店勤務を経て2005年ジュプンを開店した。
「学生時代からルーブル美術館のギリシャ彫刻の写真集などが好きでした。でも大学は商学部。花屋というより、自己表現の場がほしかったのです」

──それがなぜ花の世界に?
「父の葬儀でもらったスタンド花を、四十九日まで絶やさぬよう工夫して挿していたんです。すると本当にきれいにもって、花の奥深さに気づかされました」

トルコキキョウ

小柴さんが気になるという花が、八重咲きの白いトルコキキョウ。「この花は一重だと淋しげなのだけど、『ぶりぶり』の八重咲きだと、とたんにすごく華やかで豪華になるのです」と小柴さん。もともと白い花が好きだという

独立後、唯一無二の個性的な楽屋花で、徐々に内外で知られていく。
「ライブ、演劇、クランクアップ祝い、ファンからのお祝い。用途は多様です。相手の方ではなく、贈る方自身や役柄、企業をイメージして作ることも。すべてに共通するテーマは『癒やし』です」。

仕入れた花に、ひと晩染料を吸わせ、アレンジに使う。
「本当はナチュラルな白い花が好きなんですけどね」と小柴さん。だが、メールで発注が来ることの多い楽屋花には、こんなおまけの喜びもある。

スナップ

仕入れた後、店頭で緑色の染料をひと晩吸わせたスナップ(和名キンギョソウ)。染めた花は、楽屋花やスタンド花に使うそう

「送った後、『タレントさんに喜んでもらえました』『よかったねって写真を見ながらみんなで泣きました』など、必ず感想や御礼のメールを下さるのです。これは他の店ではなかったこと。嬉しいです」

彼自身も癒されている。自然な色であれなんであれ、なんと素敵な生業だろう。

花用冷蔵庫

店舗の奥に花用冷蔵庫が。鮮度を優先したい花を保存。壁のモールディングのデザインは小柴さんが考え、職人に発注したもの

紫のバラ

染料を使った紫のバラ。「青いバラも、植物界にない色なので、とくに人気があります」

ププルメリアのクレイフラワー

2階窓際に、大好きなプルメリアのクレイフラワーを。この花は古いインドネシア語で「ジュプン」。店名の由来になっている

ニケの彫像

ニケの彫像はアラバスター(雪花崗岩)製。細かい粒子による半透明の質感が美しい

色とりどりの楽屋花の一例をご紹介

演劇、ライブ、CM出演祝いなど、楽屋花は多岐にわたる。贈り主から、モチーフになる動物などの写真を渡されることもあれば、役柄や出演者のテーマカラーでまとめることも。

楽屋花

ライブ出演アーティスト宛ての楽屋花

美容室の周年祝い

美容室の周年祝いのアレンジメント。店のテーマカラーでまとめた

誕生日祝いのスタンド花

アイドル握手会での誕生日祝いのスタンド花

美容室の周年祝い

美容室の周年祝い。金の羽は樹脂製

※この記事は「リライフプラスvol.32」掲載時のものです。

Jepung(ジュプン)
adress 東京都目黒区目黒1-4-8ニュー目黒ビル1・2F
open 10:00〜19:00 日・祝休
telephone* 03・3495・8739

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