暮らしのコツ

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テラスハウスをリノベーション。地名「螢谷」が移住のきっかけに

岡山さん家族

琵琶湖から流れる瀬田川のほとり。岡山さん家族が京都からこの地に引っ越してまもなく8年が経とうとしています。移住のきっかけは、「将来の子育てを見据えて」。夫妻の移住先の決め方は少しユニークで、地名の響きに惹かれて選んだのだといいます。
そして引っ越してきてから生まれた長男も現在7歳に。すっかりこの地に溶け込んだ岡山さん家族は、現在どのような暮らしを送っているのでしょうか。

将来の子育てを見据えて、移住を決意

岡山さん家族

建築家である岡山森さん、輝子さん夫妻は、結婚後、京都で町家を改造した家に、自宅と建築設計事務所を兼用して暮らしていました。移住を考え始めたのは、現在7歳の葉くんが生まれる前から。「将来子どもができたとき、京都の街中だと子育てをするイメージが湧かなかったんです」と輝子さん。

散歩

2010年より京都と大阪の間で移住先を探し始めたそうですが、なかなかいい物件が見つからなかったといいます。そんなとき、子育て環境として「緑が多い」こと、仕事で全国各地に行くので「交通の便がいい」ことを条件にグーグルマップを見ていたら、美しい響きの地名が目に止まりました。

それは滋賀県にある「螢谷(ほたるだに)」。地名は土地を表すので、いい所なのではないかとさっそく下見へ行くことに。

食事

J Rや京阪の駅も近く利便性もいいし、近くには瀬田川が流れ、自然も多い。ふたりの実家へのアクセスがよいことも決め手になりました。
下見の際にすれ違った地元のおじさんから、「越してくるの? ここは住みやすいよ」と声をかけられたのも後押しになったといいます。

地名で選んだ場所は思った以上に住みやすく快適

見つけた住まいは、琵琶湖から流れる瀬田川のほとりにあるテラスハウス。

学校や保育園も徒歩圏内。地域の祭りも活発で、自転車で走れば琵琶湖まですぐ。川遊びや釣りもでき、花火大会も見られます。「田舎だと車がないと生活できないと思われますが、ここは自転車で十分」と輝子さん。地名に惹かれた場所は、想像以上に住みやすかったのです。

外観

とはいえ住みやすさとは、環境や利便性だけではありません。人と人との付き合いも重要です。引っ越してすぐに東日本大震災が起きたことで防災意識が高まり、コミュニティ見直しの流れがありました。近所の人と関わることが増え、自然と馴染んでいったそうです。

長男

葉くんは、地元の子としてたくましく育っています。両親には知り合いもいない土地で、葉くんが人間関係を広げてきた部分もあります。「彼に友達ができることで、親同士もつながりますから」(森さん)。

家を買い上げ、暮らしながらリフォームを開始

6年ほど賃貸で暮らしていましたが、このテラスハウスを購入するきっかけになったのは、葉くんの小学校入学。入学までに家を建てたいと考えるようになり、場所探しから始めましたが、あらためてこの土地を気に入っていたこと気づいたといいます。

予算も含め「ここを買うのが現実的」と大家さんに交渉すると、即OKが出ました。テラスハウスは1980年に誕生したもの。夫妻は暮らしながらリフォームを進めています。

当時はモダンな建物だったのでしょう。「プロから見ても狭い中にいろんな要素を取り入れ、上手に寸法取りしている」と森さん。

キッチン

キッチンはまだ当時のまま。「シンプルなのが好きなので大きく変える予定ですが、手を入れても昭和感は漂うはず。それもいいかなと」(輝子さん)

キッチン2

家族で少しずつ進めているリフォーム。葉くんも手伝って床板を塗装します。

塗装

下の写真は、最初に手掛けた眺めのいい南向きの部屋。「壁のボードをはがしたらコンクリートの雰囲気がよく、リフォーム感も残しておこうかなと思いました」(森さん)

リフォーム

ここにふたりの仕事部屋を移し、本棚で仕切って半分はミーティングルームにする予定。現在の事務所スペースは、子ども部屋に改装予定です。住みながら、仕事をしながら進めるリフォームは、慌ただしくも楽しい日々のようです。

日々の暮らしを丁寧に。それができる場所

実際、生活自体はどのように変わったのか聞いてみると…。輝子さんはここで暮らし始めて朝型になったといいます。

野菜

家事・育児、仕事をこなしながら、生き物を飼い、野菜を育てる心にゆとりのある暮らし。滋賀に越してから毎年仕込んでいるのは、玄米味噌と麦味噌です。

味噌

大豆と麹1対1が基本とのことですが、麹を2倍入れる倍麹が輝子さんのこだわり。甘みがあってまろやかな味わいになるそうですよ。

卵焼き

親子でキッチンに立つことも。葉くんは料理に興味を持ち始め、この日は卵焼きを担当しました。でき上がったのがこちら。自家製味噌の豚汁と、自家製梅干しのおにぎり、葉くんの焼いた卵焼きでヘルシーランチ。

食事

家族3人並んで、外を眺めながら食事をします。さて、岡山家に家族として増えたのが動物たち。動物が大好きな葉くんのために犬を筆頭に、カブトムシ、オオクワガタ、ドンコ(ハゼの一種)などを飼っています。

愛犬

春にはメダカも仲間入りし、ニホンイシガメにはスイスイと名付けてかわいがっています。夫妻は動物を飼った経験はなかったそうですが、「昆虫の世話は私のほうが夢中で。孵化の瞬間が楽しみなんです」と輝子さん。クワガタ

自然とともに、動物たちとともに日々の暮らしを丁寧に送る岡山さん家族。「螢谷」という美しい名の土地に惹かれての移住は、家族にとって大正解だったようです。

コーヒータイム

最後に夫妻はこう話してくれました。「興味を持ったら、迷っているなら移住してみてはいかがでしょう。住んでみないと分からないことは、山ほどあります。嫌だったら、次を探すくらいの軽やかさも必要です」。

※ご家族の年齢等の情報は「住まいの設計2019年6月号」取材時のものです。

設計/a・un 建築設計事務所
撮影/山田耕司

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