不動産

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不動産営業マンのウソ「タッチの差で埋まった」に大人の事情あり

近年、不動産探しをする際は、インターネットのポータルサイトなどであらかじめ希望の物件を絞ってから不動産会社に問い合わせ、来店・見学するスタイルが定着しています。
不動産会社の営業マンに問い合わせ物件について調べてもらうと「タッチの差で埋まっちゃいました」と言われ、別の物件を提案されることがあります。

「この言葉を素直に信じてはいけません」と話すのは『不動産屋は9割ウソをつく』(三笠書房)の著者で現役不動産仲介営業マンの関田タカシさん。その理由を教えてもらいましょう。

1.不動産会社の人は広告料を欲しがっている

賃貸物件

7maru / PIXTA(ピクスタ)

まずは、不動産業界の収入の仕組みを簡単にご紹介します。

賃貸住宅を扱う不動産会社の代表的な収入源は仲介手数料ですが、広告料も同じくらい大切な収入源です。
仲介手数料は一般的には借りる人からもらう手数料ですが、広告料は大家さんからもらうもの。お客さんを紹介してくれたお礼金として、不動産会社がもらうのです。
不動産会社の人はAD(advertisementの略)と呼ぶことが多いです。

広告料の上限はありませんが、賃料の1か月分前後のことが多いようです。物件の成約によって発生する広告料については掲載されていませんので、借りる人には分かりません。

先に述べたように、不動産会社の収入源は仲介手数料と広告料です。広告料が出ない物件よりも、広告料が出る物件を契約したほうがお得になります。
そのために、不動産会社の営業マンは、なるべく広告料が多くもらえる物件を契約してもらいたいと思っているのです。

2.広告料がもらえる物件を契約させるためにやっていること

物件探し

KY / PIXTA(ピクスタ)

現在、ほとんどの人がインターネットで検索し、自分の希望する物件の「あたり」をつけて不動産会社へやってきます。
たとえば、あるお客さんがポータルサイトを見て、広告料がもらえない物件「A」を見学したい、と来社したとします。

営業マンは丁寧に対応し、物件がまだあるか確認してくれますが、このとき、営業マンは同じような条件の物件で広告料がもらえるものがないかを調べていることが多いのです。

もし、広告料がもらえる物件Bが見つかれば、「あー、その物件はさっき申し込みが入っちゃったんですよね」「タッチの差で埋まっちゃいました」と言って、Bに申し込んでもらえるように誘導しようとするのです。
Bに申し込みが入れば、めでたく不動産会社の懐は温かくなります。

こうやって、お客さんの候補物件をつぶしていくのです。このことを業界用語で「消し」といいます。

3.まとめ

物件探し

Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

もちろん繁忙期などは、タッチの差で申し込みが入ることがたくさんあります。物件を見学していると、ほかの不動産業者が別のお客さんを連れてくる、いわゆるダブルブッキングの状況になることもあります。

しかし、賃貸住宅の仲介を行っている不動産会社でのダブルブッキングは、日常的に行われています。別の不動産会社に行ったら、「埋まってしまった」と言われた物件を紹介してもらえた、なんてこともあり得ます。

「自分の場合はどうだろう」と考えてしまいますが、「消し」に遭ったかどうかを知っているのは不動産会社の営業マンのみ。難易度が高いですが、嘘を上手に見抜き、さらに上手に利用してこそ希望の住まいが手に入るのかもしれません。

関田タカシ

 

関田タカシ(セキタタカシ)
1982年東京都生まれ。宅地建物取引士。大学卒業後、大手流通不動産流通業者にて売買仲介の経験を積む。その後、収益不動産専門の売買仲介業者へ転職。ヘッドハンティングされ、現在では投資用不動産専門の売買営業担当として従事。著書に『現役営業マンが明かす不動産屋のぶっちゃけ話』『現役不動産仲介営業マンがこっそり教える最強の初心者向け不動産投資』『超実践 不動産投資のプロ技』(以上、彩図社)がある。

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