不動産

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不動産営業の嘘「その条件だと、この辺りでは…」に要注意

不動産業者は、おもに仲介手数料によって収入を得ています。

仲介手数料は、宅建業法によって上限額が決められています。単純に考えると、営業マンがどんなに時間と労力をかけても、物件の売買価格が1,000万円だったら3,000万円の物件よりも安い手数料しか得られない、募集賃料が3万円だったら20万円の物件よりも安い賃料しか得られないということです。

そのために、不動産会社の営業マンはあることを行い、「その条件ですと、この辺りでは…」というセリフを口にすることがあるといいます。
『不動産屋はウソをつく』(三笠書房)の著者で現役不動産仲介営業マン・関田タカシさんが、そんなシーンで営業マンがどんなこと考え、どんな態度をとるかを教えてくれました。

1.仲介手数料が多くもらえる物件にお客さんを誘導する「消し」とは

物件のおすすめ

Ushico / PIXTA(ピクスタ)

現在入居者募集中の不動産は、必ずといっていいほどインターネットのポータルサイトに物件情報が掲載されています。
そのため、お客さんはあらかじめ物件情報を調べて「このくらいの金額と広さで、このエリアの物件にしよう」とあたりをつけてから不動産会社に来社します。

たとえば、その物件が賃貸物件で、家賃が10万円だとしましょう(物件A)。もらえる仲介手数料は10万円です。

しかし、同じようなエリア、間取りで12万円の物件が募集中(物件B)の場合…「あー、Aはさっき申し込みが入りました」と営業マンは嘘をつきます。
そして「Bはいかがでしょうか。こちらはまだ募集中です」とBを勧めるのです。

Aというお客様の候補をつぶしてBを紹介する、この方法を不動産業界では「消し」といいます。

「消し」は家賃が高い物件だけではなく、大家さんから成約時に不動産仲介業者がもらうお礼金である「広告料」が出る物件へ誘導するためにも行われているようです。

広告料は家賃の1か月前後。繁忙期は1か月の間に何十件という物件を成約するので、かなりの収入になるのです。

2.希望の立地から離れていても紹介する「飛ばし」とは

電車

kawamura_lucy / PIXTA(ピクスタ)

不動産会社が行っているもう1つの手法に「飛ばし」といわれるものがあります。「消し」を使ってお客さんが希望する地域に本当は物件があるのに、物件がほとんどない、という状況をつくります。

たとえば「5,000万円の戸建て住宅ですか。その条件ですと、この辺りにはないですね。東京から30分くらい離れればあるようです」と営業マンは、手数料の多くもらえる物件Cを紹介します。

また、希望の物件と物件Cの中間地点に別の物件Dがあったとしても、「実は隣の人がうるさくて、売りに出されたらしいです」「このアパートの大家さん、頑固でちょっと変な人みたいで門限があるんですよ」などと、こっそりとネガティブ情報をお客さんに耳打ちしたりします。
そんなことを聞けば、Dに申し込みをするお客さんは、まずいないでしょう。めでたくCに申し込みが入ります。

「飛ばし」の理由は「消し」と同じです。仲介手数料や広告料が希望物件よりもたくさんもらえるからです。

3.まとめ

アンケート

mits / PIXTA(ピクスタ)

不動産業界では仲介手数料による報酬の上限が決められています。
売買の取引金額が3,000万円の場合、売主または買主から105.6万円、賃貸の場合は貸主・借主あわせて家賃の1か月が上限です。そのために、営業マンは「飛ばし」や「消し」をすることで、少しでも多く利益が得られるように行動します。(飛ばし・消しの用語は特に賃貸物件で使われる隠語です)

これらを見抜くにはどうしたらよいでしょうか。

大家さんや売主に直接連絡をして確認しない限り、お客さんには分かりません。
大切なのは、営業マンと信頼関係を築くことでしょう。営業マンも人間です。来店時に行うアンケートシートに適当なことを書くお客さん、秘密主義で自分のことを一切話さないで見学にくるようなお客さんには、営業マンは誠意を見せてくれないかもしれません。

「その条件ですと、この辺りでは…」と言われないように、お客さん側も真剣な気持ちで営業マンと向き合ってください。

関田 タカシ(セキタ タカシ)
1982年東京都生まれ。宅地建物取引士。大学卒業後、大手流通不動産流通業者にて売買仲介の経験を積む。その後、収益不動産専門の売買仲介業者へ転職。ヘッドハンティングされ、現在では投資用不動産専門の売買営業担当として従事。著書に『現役営業マンが明かす不動産屋のぶっちゃけ話』『現役不動産仲介営業マンがこっそり教える最強の初心者向け不動産投資』『超実践 不動産投資のプロ技』(以上、彩図社)がある。

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