不動産

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「3路線利用可能」のワナ。不動産業者が不便のワケを語った

家から複数駅や複数路線を利用できるのは、大変便利です。マンションの募集広告などによく書かれている「3路線利用可能」というキャッチコピーは、住まいをこれから購入する人にとって大変魅力がある言葉です。

「しかし、不動産業者からしてみれば、ちょっと微妙なのです」と話すのは『不動産屋はウソをつく』(三笠書房)の著者で現役不動産仲介営業マンの関田タカシさん。その理由はいったい何なのでしょうか。

1.複数路線が利用可能なのは「どこからでも遠い」ということ

駅のホーム

Komaer / PIXTA(ピクスタ)

不動産価格や賃料を決める際には物件の設備も重要ですが、「いかに都市部に近いか」「いかに最寄り駅から近いか」がもっとも重要なポイントになります。

東京の渋谷駅、新宿駅、東京駅のようなターミナル駅で複数路線利用可能な場合はともかく、少し離れた郊外で複数路線利用可能な住宅は、2か所以上の駅またはバス停の中間地点にある場合があります。

つまり、「複数路線、複数駅利用できます」とうたわれている物件は、A駅とB駅、確かに両方使えるけれど、どちらの駅も徒歩20分かかるというケースがあるのです。

そのような物件よりも、たとえ1駅しか利用できなくても歩いて10分以内で行けるような立地のほうが便利なのではないでしょうか。

2.チラシにかかれている「徒歩10分」。信じていい?

通勤

やたがらす / PIXTA(ピクスタ)

不動産広告を作成する際には、「不動産の表示に関する公正競争規約」という法律があり、守らなくてはならないルールが決められています。歩所要時間に関しては、おもに次のルールがあります。
・道路に沿って測定した距離(道路距離)を基に算出する(直線距離ではない)
・道路距離80mを徒歩1分に換算する
・80m未満の端数が出たときは、切り上げて1分と計算する(道路距離が200mならば、表示すべき徒歩所要時間は3分)
・坂道があるために実際に歩く時間が長くなるときでも、道路距離80mを徒歩1分に換算する
・駅からすぐに物件があるときは、駅から徒歩0分ではなく、駅から徒歩1分と表示する
・横断歩道や踏切の横断など、信号待ちをする時間は考慮しなくてもいい
・車両通行量が多い道を越えるために、横断歩道・歩道橋を経由しなければならないときは、経由するために余分に歩く距離を含めなくてはならない
・バスの所要時間は渋滞があっても考慮しなくてもよい

このようなルールになっているため「徒歩10分」と書かれていても、子どもや高齢者はもちろん、成人の男性でも10分を超えることがあるのです。

なお、自動車・自転車による所要時間のみを表示するのは、ルール違反となっています。道路距離を明示したうえで、走行に通常要する時間を表示するという約束になっています。

3.まとめ

渋滞

adigosts / PIXTA(ピクスタ)

好みや通勤方法にもよりますが、「3路線利用可能」の物件は駅から遠いことが多いので、物件を決めるときは実際に歩いたり、バスや電車に乗ったりして、時間と距離の感覚をつかむことをお勧めします。
とくに「○○駅までバス△△分」とある物件は、最寄り駅まで数キロ距離があると思ってください。

また、バスの場合は道路の渋滞が予想されるために、表示されている時間と実際にかかる時間との間にかなり差があります。交通機関の表示のルールを理解し、広告に書かれているキャッチコピーを鵜呑みにしないようにしましょう。

関田タカシ(セキタタカシ)
1982年東京都生まれ。宅地建物取引士。大学卒業後、大手流通不動産流通業者にて売買仲介の経験を積む。その後、収益不動産専門の売買仲介業者へ転職。ヘッドハンティングされ、現在では投資用不動産専門の売買営業担当として従事。著書に『現役営業マンが明かす不動産屋のぶっちゃけ話』『現役不動産仲介営業マンがこっそり教える最強の初心者向け不動産投資』『超実践 不動産投資のプロ技』(以上、彩図社)がある。

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