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【注文住宅事例】幅12mの大窓で風景を楽しむ平屋。縁側が花見を楽しむ場所にも

杉縁甲板張りの天井

長年住み慣れた土地で、余生をゆったりと暮らすための住まいを求めたKさん夫妻。建築家の橘川雅史さんと池田久司さんに思いを託し、終の住処づくりを行いました。

山が連なり、近くを流れる川に沿って田園風景が広がる自然豊かな環境。橘川さんと池田さんは環境の良さを最大限生かした、大きな窓のある平屋のワンルームのようなプランを提案。このプランを受け入れたKさん夫妻は、懐かしさと心地よさを取り入れた家に満足しながら、穏やかな日々を送っているそうです。

田園風景が窓いっぱいに広がる三角屋根のLDK

一面窓にしたLDK

「以前の住まいは天井が低くて暗く、部屋が細かく分かれていたので、子どもたちが独立した今では生活しにくく感じていました」というKさん。ふたり暮らしに最適な、必要最小限の部屋数があるオープンな家にしたいと希望しました。

そこでLDKを生活の中心とし、その隣には寝室となる和室と客間として使う仏間、来客の目が届きにくい奥まった位置に水まわりを配置するという構成に。結果ワンルームのような平屋になったのです。

「いずれも引き戸を用いて、オープンにも個室にもなる可変性を持たせることで、より使いやすく計画しました」と橘川さん。

LDKの一面は約12m幅もの大きな窓を設けました。全開にすると南側に広がる庭と対面するようです。この窓のおかげで室内外の境はあいまいとなり、視線はのびやかに屋外へと誘われます。

また窓の高さを1.8mと低くしたことで、水平方向への広がりが強調され、より平屋らしい空間を表現できたといいます。

日本家屋らしい三角形の天井

天井は杉縁甲板張り。平屋ながら、最大で4.8mの高さを確保しました。「三角形の天井は、昔からある日本家屋のつくり方なので、オープンな空間でも不思議と落ち着けますね」と夫。存在感ある丸い大黒柱には、吉野檜を使いました。

玄関からフラットに続くLDK

玄関からLDKへはほぼフラットに続きます。床は淡い褐色を帯びた色と木目が美しいビーチ無垢材を採用しました。

オープンに外とつながる窓際

木製サッシや網戸、障子はすべて戸袋に収められるようにしました。「以前のリビングは北側にあって暗かったので、明るくオープンな今の間取りは大満足です」と妻。縁側はお茶を飲んだり、春には花見を楽しむ場所にもなります。

オープンスタイルのキッチン

キッチンは妻の希望でⅡ型のオープンスタイルに。リビング側にはシンクと作業台を設け、窓側にはIH調理器などをビルトインしています。

LDKとゆるくつながる寝室と仏間

寝室として使う和室

寝室として使っている和室は、普段は引き込み戸をフルオープンにしてLDKと一体化しています。「段差もなくフラットなので、掃除がすごく楽なんです」と妻。必要最小限の部屋数にしたことで、日々の家事もストレスフリーに。

オープンにすれば和室もLDKの一部に

和室の垂れ壁と南側の窓の高さは低めにして、水平方向を強調。空間に落ち着きとスケール感を与える効果を発揮しています。

客間として使う仏間

仏間は客間としても使用しています。

切り妻屋根のシンプルな佇まい

古民家のような佇まい

外観は切り妻屋根がアイコンのようなシンプルな形状。屋根と外壁は、さびにくくメンテナンスが簡単なガルバリウムを採用しました。また、玄関扉と木製サッシなどを収める戸袋部分にはレッドシダーを用いて、異なる質感の素材を絶妙なバランスで組み合わせています。

自然豊かなアプローチ

住まいへのアプローチは、大豆や落花生などを植えた畑に挟まれています。窓を従来からある桜の大木と対面するように設け、自然と呼応する大らかな空間となりました。

のどかな景色を取り込む大窓

のどかな景色を取り込むような、迫力のある大窓。「川が眺められ、春になるとツバメが季節の移ろいと告げてくれる。以前はあまり意識していなかった自然へ、意識が向くようになりました」とKさん夫妻。

自然に寄り添い、その恵みを享受する平屋の暮らしは、Kさん夫妻の生活に様々な喜びをもらたしているようです。

設計 橘川雅史建築設計事務所・池田久司建築設計事務所
取材 松林ひろみ
撮影 川辺明伸
※情報は「住まいの設計2018年1-2月号」掲載時のものです。

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