お宅拝見

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半戸外のテラスが第二のリビングに。「心地よさ、格別です」

大きな屋根がある家の外観

都心にほど近い埼玉・さいたま市の住宅街。ここにAさん家族4人が住んでいます。夫は在宅ワーカーのため、新居を新築する際は仕事場と在庫を置くスペースの確保が欠かせない条件だったそうです。

設計を依頼したのは、GEN INOUEの井上玄さん。「建築家にはハウスメーカーとは違う発想力があると思います。井上さんは、僕たちの理想通りのシンプルな空間が得意だったのでお願いしました」(夫)

将来を見据え、賃貸事務所にもできる工夫を

シンプルな仕事場

Aさんの仕事場は形も色もシンプルに徹しています。色を扱う仕事であることも影響しているかもしれません。

トイレとミニキッチンが備え付けられた仕事場

右手が自宅と仕事場をつなぐドア。Aさんはドアを開けて仕事場へ入ると、自然に仕事モードに切り替わるそうです。

仕事場内にはトイレとミニキッチンも備えました(写真左側)。これは集中して仕事に取り組める環境をつくると同時に、いずれは事務所として貸し出すことも視野に入れているからだそうです。

仕事場の玄関

仕事場は住居から延びる大屋根の下にありますが、玄関も住居とは別で設けてあり「離れ」のような形になりました。

仕事場への階段

建物内部では仕事場と住居は階段でつながっていますが、階段の下にあたる住居側(上の写真の手前側)に鍵のかかる扉を設置。精神的にも空間的にも仕事場と家庭を切り離せるようになっています。

北側の階段

家の内部はスキップフロアが採用されていて、1階には寝室と個室、また別の階段を半階上がると、浴室や洗面、家事室などの水回りスペースにつながっています。

広い収納室

水回りスペースの下には広い収納室があり、商品の在庫などが整然と収められています。

テラスと一体化したダイナミックなLDK

北西から見たA邸の外観

上の写真は北西からA邸を見たところ。敷地は三方に道路が接しています。そこで井上さんは、人通りが多い西側に仕事場の玄関、北側に住居の玄関を配しました。

住居玄関側の階段

そのドアを開けると玄関へ続く階段が現れます。この階段は当初、壁のない外部空間の予定でしたが、妻の要望から屋内空間に変更。2階が玄関となるので、階段下は自転車置き場として活用しています。

吹き抜けになったDKと独立したリビング

2階の玄関を入ると、そこは上部が吹き抜けになったDKで、さらに半階上ると独立したリビングがあるという立体的なプランです。

リビングへ向かう階段下には、水回りや1階へ下りる階段があり、玄関から入ってDKを通り、反対側の階段で移動するスタイルなのです。また、この空間をさらにダイナミックに見せているのが、LDKに隣接するテラス。

半戸外スタイルのテラス

テラスは屋根が掛かる半戸外スタイルで、アウターリビングという位置づけ。ロシアンバーチの天井と床のタイルが、室内から屋外へとシームレスに続きます。内外の一体感を高めることで、室内に実際の面積以上の広がりが。

「テラスは西側の通りからの視線を遮り、東側は植栽を緩衝帯として近隣と程良い距離を保ち、街と緩やかにつながる計画になっています」と設計の井上さん。

子供の遊び場になるテラス

夫も「遊び盛りの子どもがいますが、ここで遊ばせれば交通事故などの心配がないし安心。半戸外で過ごす心地よさは格別です」と気に入っているそうです。

洗濯機がある家事室

テラス奥の少し下がった位置には物干しスペースがあり、洗濯機を置いた家事室ともつながっているため、家事動線もスムーズです。

キッチンハウスのシステムキッチン

キッチンはシステムキッチンメーカーのキッチンハウスにオーダーしたもの。
アーチの仕切りの奥は妻の要望でつくられたパントリーと食器収納で、冷蔵庫置き場も兼ねています。

ロフトのようなリビング

DKから上がった場所にあるリビングはロフトのようなつくり。畳コーナーもあり、家族が思い思いに過ごすことができます。

「住み始めてから2年ほど経ちますが、家づくりの計画の段階から丸ごと楽しめました。階層をずらした設計が場所ごとに違う景色を見せてくれるから、常にリフレッシュできるんです」と、夫は快適さの理由を教えてくれました。

設計 GEN INOUE
取材 平野高治
撮影 Takuya Yamauchi
※情報は「住まいの設計2019年12月号」掲載時のものです。

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