家づくり

永井 理恵子永井 理恵子

わが家の快適な室温は「軒(のき)」があるおかげかも

吹き抜けのある2階から見下ろしたリビング

天井が高くなる吹き抜けは、冷暖房の効率が悪い。よく聞かれる話です。
ところが、住宅ライターの永井理恵子さんは、吹き抜けよりも「軒(のき)の有無」のほうが室温の快適さに影響しているのでは、と日々感じているそう。
吹き抜けと軒ある家に暮らしているという永井さんに、詳しく語ってもらいました。

高さ4mちょっとの吹き抜けでも冬の朝晩は寒い…

出来上がってきた図面

いざ自分たちの希望を伝えて出来上がった図面は、LDKが22畳。4m程度とさほど高さはありませんが天井は吹き抜け、さらに南側に大きな窓がありました。

もしかして夏暑くて冬寒い?電気代すごいことになる?と一瞬頭をよぎったものの、グッとくる造りにすっかり魅せられて、ウォークインクローゼットをなくす以外、ほぼ当初の図面通りの家を建てたのでした。

2020年の春で入居して丸3年が過ぎ、春夏秋冬を3回経験した今、感じていることをお伝えしたいと思います。

はぱっと見、平家に見える外観

本当は平家がいいんだけど…という私たちの意見を建築家が汲んでくださり、我が家はぱっと見、平家に見えます。初めて遊びに来る友人たちはみんな、平家だと思って家の中に入ると実は2階があってびっくりします。

高さは地面から片流れの屋根の一番高いところまで6m32cm、一階の床から軒高までは4m45cm。一階の床から二階の床の高さは2m31cm。

1階から2階を見上げる

1階から2階を見上げるとこんな感じ。

吹き抜けといっても、木の壁の上端までは4mちょっと。吹き抜けというと6mを超えることもあるので、それに比べるとものすごく高いというわけではありませんが、勾配しているとはいえ、LDK22畳全てが吹き抜けなので、実際、暖房効率はそんなに良いとは感じていません。

冬は朝晩、石油ストーブがマスト

初めての冬の始まりには、エアコンを使って室内を温めていました。でも、朝の気温が氷点下となると、エアコンではなかなか暖まりません。そこで、リビングの真ん中に石油ストーブを置くことに。

実はこの間取り、元々薪ストーブを設置するつもりで出来上がったプランなので、石油ストーブをつけると、案外早く部屋が暖まります。

それでも足元は冷えるので、2階にサーキュレーターを置き、天井に向かって回しています。空気が循環して、足元まで暖まります。

薪ストーブのように真冬でも半袖で暮らせるような暖かさではありませんが、アンダーウェアにヒートテックを着て、ロングTシャツにフリースのベストという服装で快適に過ごせます。

とはいえ、不思議なことに日中天気がいい日はストーブをつけなくてもいられるのです。

夏はエアコン1台でLDKが快適な室温に

去年、犬を飼い始めてから、梅雨入りして夏が終わるまで、エアコンはほぼつけっぱなしという生活をしています。

我が家のエアコンは18畳まで対応するモデルですが、どういうわけか22畳あるLDKを快適な温度に保てています。階段や2階のトイレや洗面台があるスペースはもちろん、夫や息子の部屋のドアやリビング側にある小さな窓を開けておけば、家じゅうがほどよい温度になっています。

電気代は月4,000円程度のプラスで済んでいます。

ポイントは軒があること

建物の屋根が大きく突き出している軒

冬、日があるうちはストーブをつけなくても快適なのはなぜ? 夏、エアコンの効率がいいのはなぜ? と考えていて気づいたのは「我が家には軒がある」ということでした。

軒があるおかげで太陽の高度が下がる冬は窓越しに日差しが室内に入り、夏に向けて高度が上がるにつれ、徐々に日の光が入らなくなります。冬は日差しが部屋の中を温め、夏には太陽のギラギラした光が外壁そのものを直撃しないので、冷房効率が上がっているのだと気づきました。壁が木製であることも、影響しているのかもしれません。

軒下にある大きなウッドデッキ

外観をスッキリさせるため、最近では軒がない家が増えているように感じます。とはいえ、軒は、快適に暮らせる家づくりには欠かせないパーツ。実際、Q値(熱損失係数)やUA値(外皮平均熱貫流率)を緻密に計算する建築家が設計した家を取材したとき、どの家にも軒がついていました。

寝袋を干すためのウッドデッキが欲しい(イメージしていたのは2畳くらいのウッドデッキだったのですが)とリクエストして生まれた大きなウッドデッキと軒下でしたが、軒下のような、家の中でも外でもない曖昧な空間があるのは、なかなか楽しくもあり、暮らしを豊かにしてくれました。

高さたった4mですが、吹き抜けがあってもそのほかの部分を工夫すれば快適に暮らせると、軒を見上げるたびに感慨深く思います。そして、ここ数か月ほど家に籠もって過ごしていると、広々した空間にとても助けられているなと感じています。

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