トイレ詰まり等のトラブルは、できれば経験したくないもの。「管理しているマンションの1室で、トイレの流れが悪く詰まってしまったという相談を受けました」と話すのは、東京・世田谷区で築古マンションの大家をしている日刊Sumaiライター・アサクラさん。メーカーによる点検を受けて「水位調整筒」を交換してもらい、洗浄水量を増やしたところ、事態が改善したそうです。詳しく話を聞きました。
トイレ詰まりは「一度起こってしまうと、かなりの確率で再発する」
トイレが詰まることはよくあります。「
大家さんに相談するくらいですから、通常のブラシを突っ込んだだけでは解消できない場合が多いです。そんなときのために、わりと強力な「スッポン」(正式には「ラバーカップ」と言われます)を用意してあるので、それを持参するようにしています。
これを便器に突っ込んで押したり引いたりグイグイやると、たいていの詰まりは解消されます。というか、うちのマンションに限ってはこれで解消できなかったことはありません。
しかし、トイレ詰まりの厄介なところは「一度起こってしまうと、かなりの確率で再発する」ということ。大家の側はともかく、汚いトイレを何度も他人に見られるのは入居者さんのほうもイヤでしょう。話を聞くと、以前から流れが悪かったそうで、これは何か対策が必要だと感じました。
メーカー担当者の点検で流したのは、75㎝のトイレットペーパー×7枚
さて、詰まってしまったトイレはこちらのLIXIL(リクシル)の温水洗浄便座一体型のタイプ。
実を言うと、詰まるのは決まって新しいトイレなのです。
以前、工事業者さんに相談したときは「古いフラッシュバルブ式のトイレにくらべ、新しいトイレは節水仕様になっているため、古い配管との相性によっては流れなくなることがある」と聞きました。
お世話になっている工事業者さんに相談したところ、すすめられたのがメーカーによる点検を受けることでした。もちろん有料なのですが、それでも故障がないかどうかはっきりさせておくほうがいいと感じていたので、お願いすることにしました。
当日、LIXIL(リクシル)の担当者の方がいらして、入居者さんも見守るなか点検が始まりました。すると、おもむろに持参したトイレットペーパーを丸めて便器に入れていきます。
聞けば、トイレには「これだけのペーパーがきちんと流れないといけない」という基準が定められていて、それが75㎝のトイレットペーパー7枚なのだとか。
「さすがにこんなに使わないのでは?」と思ってしまう量に見えますが、実際に流すときは汚物の量が加わるのでその分も含めた量を想定しているんだそうです。
流してみるとなんとか流れましたが、いまひとつ元気のない流れ。これだと詰まることもあるかも、という印象です。
「水位調整筒」の交換で水量がおよそ33%アップ
そこで、今できる対応策として「流す水の量を増やすためにパーツを交換する」という提案をいただきました。そのパーツがこちら。
便器の中に組み込まれている「水位調整筒」というんだそうです。これを長さの短いものに交換すると、流す水の量が増える仕組みになっています。
具体的な量としては、交換前が「大で6リットル」だったのが「大で8リットル」に増えます。パーセンテージでいうと「水量33%増」になる計算。そのぶん水道代も増えてしまいますが、入居者さんからは快諾いただけました。
交換後に先ほどと同じ量のトイレットペーパーを入れて流すと、前よりもスムースに流れた感じがしました。一般的に洗浄水の量が増えると詰まりづらくなるものなので、これで状況が改善されることを祈りつつ様子を見ることになりました。
レバーの方向がLIXILとTOTOでは逆なので注意が必要
今回の交換で「小」で流す水量も増えることになりました。内心「『小』まで増える必要があるの?」とも思ったのですが、担当者さんによると『大』のときも『小』で流してしまう場合が意外に多いんだそうです。
その原因のひとつが、水を流すレバーハンドルの規格の問題。僕も今回初めて知ったのですが、LIXILとTOTOでは、レバーの「大」と「小」が逆になっているのです。
今回の便器(LIXIL)では「下方向に押すと「大」、上方向に押すと「小」」となっています。
我が家の便器(TOTO)では反対でした。「上方向に押すと「大」、下方向に押すと「小」」となっています。
たとえば、以前にTOTOのトイレを使っていて、リクシルのトイレが設置してある部屋に引っ越すと、無意識に前と同じ方向にレバーを押してしまい、「大」なのに「小」の水しか流さないことがあるんだとか。これは地味なポイントですが、注意したいですね。
ちなみに、温水洗浄便座のリモコンによっては、流すためのボタンが付いている場合もあります。
上部に「大」と「小」のボタンがあるので、これなら間違いようがないです。
点検&作業料金はぜんぶコミコミで「7,722円」
最後に、今回かかった料金をごらんください。
「水位調整筒」の部品代が「170円」、作業料が「3,850円」、出張料が「3,000円」。ここに消費税が加わり合計「7,722円」でした。水道屋さんを呼んで便器を外して配管を調べるとなると軽く2万円程度はかかりますから、その前のステップとしては妥当な金額だと感じました。
作業自体は30分程度で終わりますので、もし「今ひとつ水の流れが悪いな」と感じているならメーカーによる点検を試してみるのもいいかもしれません。