ホーローの浴槽、シーザーストーン…。上質な家づくりにおすすめのアイテム
気になる住宅設備や素材を、専門家がピックアップ!今回は、上質な家づくりという観点から、設計事務所・Sデザインファームの鹿内健さんが選んでくれました。実際の施工例をもとに、アイテムを紹介していきます。
ホーローの浴槽は冷めにくく、入っていて気持ちがいい
写真は40㎡のコンパクトなマンションをリノベーションした鹿内さんの自邸。バスルームがとても開放的!入浴時は建具で仕切り、入浴時以外はリビングとして使っているそう広島県の鋳造メーカー・大和重工業の「CASTIE(キャスティエ)」というブランドのもの。
「ホーロー製の浴槽は肌触りがよく、樹脂製の浴槽と比べるとお湯がやわらかく感じられて、入っていてすごく気持ちがいいんです。冷めにくいのもホーローのメリット」(鹿内さん)
木目がはっきりしていてインパクト大。望造のフローリング
望造のフローリングは同じ樹種でも、他メーカーのものと比較すると木目がはっきりしていてインパクトがあり、テクスチャーや足触りが良いのが特徴。
「壁や天井に個性の強い素材を使ったとき、床がやさしい雰囲気だと印象が弱くなってしまうんです。価格もそこまで高くないので、お客さんに提案するとほとんどの方がこちらのメーカーを選びます」(鹿内さん)。写真は新築住宅のLDKで、オーク材を朝鮮張りにしています。
メンテがしやすく軽やかな印象のボロン
ボロンとは、スウェーデン・ボロン社が開発したビニール製の織物床シート。写真はビルのワンフロアをリノベーションしたお宅です。
「寝室の床を検討する際、壁に木を使っているので、床もフローリングだと重たくなってしまうし、カーペットだとメンテナンスがやや面倒、ということでボロンを提案しました。インテリアとしてのバランスもよく、ロボット掃除機も使いやすいそうです」(鹿内さん)
再利用できてエコな木ブロック
木ブロックは、Sデザインファームと、杉材の産地である鳥取県智頭(ちづ) 町が共同で開発。写真は同社が手掛けたシェアオフィスで、鹿内さん自らDIYで組み上げて施工しました。
「接着剤を使わずに固定すれば、解体して再利用することもできます。お金を払って廃材を処分しなくて済む、こうした素材がもっと普及していくといいなと思っています」(鹿内さん)
シーザーストーンは耐久性が高く、美しい色合いや模様が魅力
シーザーストーンは約92%がクォーツ(水晶)でできているので耐久性が高く、美しい色合いや模様が魅力。写真はマンションをリノベーションしたお宅。
「キッチンやサニタリーなどの水回りに使うことが多いです。もっと模様がはっきりしたタイプのものもありますが、こちらのお宅ではあまり主張しすぎない質感のものを選びまし た。大人っぽい、ホテルのような雰囲気に仕上がったと思います」(鹿内さん)。ダブルシンクではなく水栓が2つ、という点にも注目!
施主の好みを存分に反映できるオーダーキッチン

撮影/遠藤 宏
「最近、キッチンカウンターの高さは85㎝というのがデフォルトになりつつあります。でも、体格は人それぞれなので、自分に合ったサイズにできるのがベスト。素材や設備の組み合わせ、収納の量や位置なども自由にできますし、かゆいところに手が届くのがオーダーキッチンのいいところ」(鹿内さん)。
写真はマンションをリノベーションしたお宅。広々としたカウンター、框(かまち)付きの扉、ビルトインの電気オーブンなど、施主の好みを存分に反映したキッチンとなっています。
鹿内 健さん(Sデザインファーム)
1978年東京都生まれ。東京都立大学(現・首都大学東京)大学院卒業後、 オンデザインパートナーズに勤務。2008年に鹿内健建築事務所を設立。 2013年度グッドデザイン賞(バスキッチンの家)など受賞歴多数。
イラスト/高垣秀雄