家づくり

Sumai編集部

屋根&外壁のデザインや素材について解説。台風に強い家にするには?安価なのは?

外から見た家の印象は、屋根や外壁によって大きく変わります。自分の好みの印象に近づけるのはもちろんのこと、周囲の雰囲気にも合わせて、屋根や外壁の計画を立てることが重要です。見た目だけでなく、性能にもこだわりを。潮風といった環境の影響、台風のような災害から住まいを守る役割も見逃せません。

どんなものを選んだらいいのか? 家づくりの大事な部材となる屋根・外壁について、その種類や特徴を学んでいきましょう。

気候風土に合い、メンテの手間が少ないものを選ぶ

※設計/アトリエ・アースワーク 撮影/松井 進

屋根は、直射日光や風雨など、自然環境にさらされるのが前提の場所なので、耐久性と耐候性が必須。そのため、切妻・寄棟・片流れなどの形状も併せ、その土地の気候風土に合ったものを選ぶことが大切です。

例えば、沿岸部であれば塩害を考慮して金属系の屋根は避ける、もし地震の恐れがあるなら重量のある瓦は採用しない、といった具合です。

また外壁は、外観の決め手となる部分だけに素材や仕上げにこだわりたいもの。さらに屋根と同じく自然環境にさらされるため、耐久性・耐候性も押さえておきたいところです。メンテナンスに手間がかからないものを選ぶと、先々の費用の面でも安心といえます。

屋根材のおもな種類と特徴

昔ながらの瓦のほか、金属やスレートなど屋根材の種類もいろいろあります。それぞれの特徴をチェックしていきましょう。

<瓦>
粘土を焼成したもので、和瓦と洋瓦があります。耐久性は高いものの、重量があるため地震に対しては弱いといわれています。

<金属板>
ガルバリウム鋼板、アルミニウム板、銅板などがあり、葺き方は、平葺き、瓦棒葺き、縦はぜ葺きなど多彩。加工しやすく耐震性や耐水性に優れますが、さびやすいのが欠点。

<スレート板>
セメントを繊維質材料で強化した「人工スレート」が一般的。色が豊富で軽量、施工が容易、さらに安価で普及しています。粘板岩などを使った「天然スレート」も。

<アスファルトシングル>
基材(無機系材料)の両面にアスファルトを塗り、表面に色砂を圧着した素材。軽量で柔軟性、耐震性、防水性に優れます。可燃性のため、防火指定のある地域では使用できません。

屋根のかけ方にもいろいろある

単純な三角屋根からアール型や平らなものまで。屋根の形のバリエーションを紹介します。

切妻屋根
切妻屋根

最も多い形。和風・洋風どちらの住宅にも合い、単純な形状なので雨じまいも良好。

寄棟屋根
寄棟屋根

建物全体に軒が回るため、外壁の保護に有利。台風などの風圧にも強いのが特徴です。

片流れ屋根
片流れ屋根

簡素な形状で低コスト。ほかに比べて壁面の面積が多く、風雨に若干弱いのがデメリット。

陸(ろく)屋根
陸(ろく)屋根

屋上設置に伴う屋根形状。雨水対策用にごく緩い勾配と防水施工が必要に。

方形(ほうぎょう)屋根
方形(ほうぎょう)屋根

寄棟屋根のバリエーション。建物が正方形のプランに用いられます。

ヴォールト屋根

ヴォールト屋根

アールを描く屋根。モダンな形状ですが施工の難度が高く、工事費もかかります。

外壁材のおもな種類と特徴

外壁の施工には、大きく分けて「湿式」と「乾式」の2つがあります。湿式は、施工現場で塗り壁材を水と混ぜて練り、刷毛やコテなどで塗っていく工法。乾式は、あらかじめ工場で生産された建材を取り付けていく工法です。

湿式工法

<モルタル>
セメントと砂と水を混ぜ合わせたもの。ペースト状で加工しやすい半面、ひび割れが生じやすいため、伸縮性・耐水性のある塗料をしっかり塗って仕上げます。
<リシン>
アクリル系、シリコン系、防水性を高めた弾性リシンなどがあります。モルタル下地の上に用い、かき落とし、あるいは吹き付けて仕上げます。
<スタッコ>
セメント、砂、顔料などを調合した仕上げ材。モルタルなどの下地の上に厚く吹き付け、石造りのような重厚感を表現できます。
<天然無機質系左官材>
石灰や大理石粉を主成分とした西洋漆喰のこと。ローラーやコテで仕上げられ、質感の微妙な表現が特徴。

湿式・乾式工法

<コンクリート打ち放し>
コンクリートの表面をそのまま仕上げとしたもの。コンクリートは水に弱いため、表面保護材を施す方法も。
<タイル・石・レンガ>
耐火・耐水・耐候性を持ち、重厚感や高級感のある表情をつくり出すことができます。不燃材料なので防火地域におすすめ。

乾式工法

<サイディングボード>
セメント系と、ガルバリウム鋼板などの金属系があります。工場生産で、現場で下地に釘止めして仕上げます。不燃性、耐水性に優れ、軽量で施工も容易。
<ALC 板>
セメント、珪石石灰、水、発泡剤を混ぜて形成し、蒸気処理した軽量気泡コンクリートのパネル。断熱性、耐火性、吸音性に優れる。重量鉄骨造、軽量鉄骨造の住宅に使用。
<板張り>
檜、ヒバ、杉などの耐候性、耐水性に優れた木材がおすすめ。防火地域の場合は使用不可。

外壁で家の印象がガラリと変わる

どんな外壁を採用するかで、住まいの印象は大きく変わります。実際の実例をいくつか見ていきましょう。

天然無機質系左官材の外壁

天然無機質系左官材で、独特の風合いを表現(設計/森 清敏+川村奈津子)。

モルタル金ゴテ仕上げの外壁

モルタル金ゴテ仕上げ。ムラのない仕上がりが壁面に映える(設計/石川 淳)。

ベイ杉板張りの外壁

町並みに温かみを添えるベイ杉板張り(設計/石川友博+成山奈々絵)。

ガルバリウム鋼板の屋根と外壁

屋根・外壁ともにガルバリウム鋼板。インパクトがあり耐候性も抜群。(設計/仲條 雪+横関和也)

ガルバリウム鋼板の外壁

ウロコ状に張ったガルバリウム鋼板が個性的(設計/宮原輝夫)。

室内環境を快適にする「断熱材」にも注目!

屋根や外壁で自然環境から住まいを守るのに加えて、室内の寒さ暑さ、さらに省エネ効果を左右するのが断熱性能です。その決め手となるのが壁・天井・床などに用いる断熱材。外気に触れる部分に施すのが基本です。その材質には以下のような種類があります。特徴と併せて見てみましょう。

・グラスウールやロックウールなどの繊維系:最も一般的で施工しやすく低コスト

・フォーム状の発泡系:耐久性に優れるのが利点

・羊毛やセルロースファイバーなどの自然系:調湿性に優れて結露が発生しにくく廃棄も容易

見た目の美しさはもちろん、外の暑さ寒さや騒音をシャットアウトして、室内環境を快適に保つ屋根&外壁。コストやメンテナンスのことも考えて最適なものを選べば、住んでからの満足度が大きく上がります。

●教えてくれた人/米村拓生
一級建築士、インテリアプランナー、住宅性能評価員。東海大学工学部建築学科卒。設計事務所「アトリエT+K」を主宰する

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