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わずか4畳の部屋が…シェアハウスを寿退去するCAのため、住人が一致団結した話

室内に大量のブランドものがある部屋

シェアハウスのオープンと同時に入居したCさんは当時35歳。職業はCAです。シェアハウスに10年間住み続けていて、「お局様」的ポジションでした(もちろん面と向かっては言いません)。そんなCさんが、退去することに。

理由は「結婚」です。今までも結婚を理由に退去する人が多かったので、このシェアハウスに住むと結婚できるというジンクスができた、と管理会社の人がうれしそうに話してくれました。

シェアメイト総出で引っ越しを手伝ったのですが、とても大変だったそうです。同居していたという不動産コラムニスト・吉井希宥美さんが、その理由を語ります。

仲が良くても引っ越すことは内緒

シェアハウスの人間関係は、場所によって大きく異なるようですが、私が住んでいたシェアハウスでは、顔を合わせれば雑談をし、グループラインもつくり、仲がいいほうだったと思います。

でも、引っ越しの際グループラインで「引っ越します」と連絡が来るのはレア。入居者同士の雑談で引っ越しする人が分かる場合もありますが、ほとんどの場合、管理会社から前日に「明日、引っ越しがあるので、業者の男性が室内に入ります」と連絡が来て初めて引っ越しが発覚することがほとんどです。

管理会社のサイトでCさんが引っ越すことが発覚

シェアハウスは4LDKの一般住宅を8LDKにリフォームして貸し出されています。私の部屋は角部屋で窓が2方向にありますが、窓が開きません。

8畳の部屋の真ん中に壁を設けているので、引き違いサッシを開けるとバルコニー伝いで隣の部屋に入れてしまうので、防犯上、サッシが開かないようにシーリングで固めてあるのです。当然通気性が悪く、夏は蒸し風呂状態に。

そんな事情もあり、ある日「ほかの部屋に移ろうかな」と、管理会社のウェブサイトを見てみると、あのお局様の部屋が「募集中」となっています。入居10年のCさんが引っ越しするのはショッキングなうえ、寂しく感じました。

Cさんの引っ越しは、私だけでなくほかの人も感づいたようで、シェアハウス中大騒ぎに。全員参加で臨時集会(?)がキッチンで開催され、Cさんから引っ越しの理由を事情聴取しました。結果、10歳年下の彼とのスピード婚が理由だと判明しました。

プレゼントはいらない、と遠慮するCさんのために、お祝いの気持ちを込めて引っ越し準備のお手伝いを全員ですることになりました。シェアメイト全員で何かをするのは、シェアハウスの運営が始まってから初めてのことだそうです。

4畳の部屋には大量のビニール袋が

翌週から、シェアメイト全員がCさんの引っ越し準備を手伝い始めました。CさんはCAなので、勤務時間が不規則。なかなかまとまった時間が取れません。

そこで、Cさんがビニール袋に不要なものを入れて部屋に置いておき、ある程度たまったら手が空いている人がシェアハウス専用のゴミ置き場に運ぶ、というオペレーションに。これを数日間繰り返しました。

一見簡単そうですが、とにかくビニール袋の数が多いのです。足の踏み場がないくらいうず高くビニール袋が積み上げられ、今にも雪崩れてきそう。部屋は4畳しかないので、7人で手伝うのは大げさだと思っていましたが、「7人いてよかった」と全員が感じていたようです。

ビニール袋の中身はブランド物だった

ビニール袋の中身はというと、ブランド物のバッグ、洋服、靴。誰もが知っている高級ブランドのロゴがビニール袋から透けて見えています。ブランド物が入ったビニール袋だけで、20袋以上はありました。

リサイクルショップに出したらいい値段で買い取ってもらえそうなものもたくさんありましたが、Cさんは「面倒だから」と、無造作にビニール袋に入れていました。

ゴミ置き場は2日で満杯になり、敷地の外にはみ出し始めた3日目に、近所の人からクレームが入りました。文句を言いに来た70代前後の女性も、よく見るとビニール袋の中身がブランドものだと分かり、驚いた様子でした。

その後、Cさんは無事に引っ越しを終え、退去が完了しました。しばらくしてCさんから、家電がないのでレンタルしている、という内容のメッセージがグループラインに届きました。

ご主人は実家暮らしだったようで2人とも家電を持っていなかったそうです。お金がないのでレンタルにしたと書いてありましたが、あのブランド物を売れば余裕で家電を買えたのに、とふと思ってしまいました。

●体験した人/吉井希宥美さん
宅地建物取引士、AFP、家族信託コーディネーター®、相続実務士を所持する不動産コラムニスト。不動産取引や相続相談を行いながら、執筆を手掛ける

イラスト/押本達希