家づくり

飯塚 啓吾飯塚 啓吾

土間玄関があると趣味と家仕事が断然楽しい!つくるときの注意点は?

明るく開放的な玄関土間

収納や趣味の場として、あるいは、アウトドア感覚で過ごす場として。多目的に使える広い玄関土間のよさが見直されています。
東京・東村山市に暮らす建築家・飯塚啓吾さんも、そんな「玄関土間ライフ」を楽しんでいるひとり。休日にハンモックを置いてリラックスしたり、バッグ作家の妻が商品撮影のスタジオ代わりにしたり。何かと重宝しているそうです。その様子を語ってもらいました。

土間玄関は玄関でもあり、LDKでもある多目的な場所

東村山の小さな家の土間玄関とLDK

わが家は延べ床面積62㎡(ロフト面積は除く)のいわゆる狭小住宅です。小さい住宅の計画で非常に重要なのは、空間を効率よく活用できるよう、多目的に使える場所を複数設けることです。

わが家の建つ敷地は南面に道路がありました。日当たりの良い場所にLDKを設けて、玄関は敷地内の狭い通路を通り、西側や東側から入る動線計画が一般的です。しかし敷地の幅が狭く、玄関への経路とLDKの大きい窓を設けるためのスペースの確保が難しい状態でした。

そこで玄関扉とLDKの大きい窓を兼用することを考えました。さらに建物の幅いっぱいにコンクリートを打って床を土間仕上げとすることで、玄関でもあり、LDKでもある多目的な場所となりました。

玄関土間をつくって感じた3つのメリット

玄関建具を全開した玄関土間

玄関土間の開口部は3枚のガラス入り引き戸になっていて、1枚の幅は1m程度です。引き戸を全開すると外と中が一体になり、非常に気持ちのよい空間になります。

玄関土間に引き戸を取り付け、床をコンクリート仕上げにしたことで感じているメリットは以下の3つです。

1.外と中の一体感が生まれる

玄関の引き戸をすべて開けると庭部分も含めてLDKが拡張されたような感覚になります。気候の良い時期は心地よい風を室内に運んでくれます。

2.家具などの大きいものを簡単に搬入できる

引っ越しの際、冷蔵庫やベッドなど大型のものを搬入するのに苦労した経験を持つ方は多いと思います。わが家ではその苦労がまったくありませんでした。引っ越しの作業が終わったときに業者の方に「すごくラクでした」とおほめの言葉をいただいたほどです。

3.床の汚れを気にせずラフに使える

床がコンクリート仕上げなので、水で濡れたり、土や泥などがついて汚れてもあまり気になりません。また、間口いっぱいのスペースを使えるので、ベビーカーをそのまま置いても日常の靴の脱ぎ履きの邪魔になりません。

商品撮影やバーベーキューなどにも大活躍

ハンモックを置いた玄関土間

自邸の土間玄関を使い方の具体例をご紹介します。

まずはリビングの延長としての活用です。写真は休日のハンモックからの眺め。こんな風景を見ながらウトウトしています。休日ここで昼寝をするのは至福の時間です。

玄関土間を撮影に活用

また、商品撮影を行うミニスタジオとしても活用しています。わが家の奥さんはバック等をつくって販売する作家として活動しています。

その作品の商品撮影の場所として、この土間玄関が活用されています。背景として土間コンクリートの質感が大いに役立っているようです。

その他にも庭でバーベキューをするときに食事の場所として活用したり、ちょっとした木工事をしたり。ラフに使えて、便利で気持ちの良い場所として大変重宝しています。

玄関土間をつくる際は冬の寒さとプライバシー確保を

玄関土間の前を外リビングとして活用

広い土間玄関をつくる場合、注意すべき点のひとつとして冬の寒さがあります。フローリングを張った一般的な床と比べると、地面の温度がダイレクトに伝わりやすいので、どうしてもヒンヤリしやすい場所になってしまいます。

自宅では地面と基礎スラブの間に断熱材を入れつつ、スラブ上にも断熱材を入れて対応しています。温度の感じ方は人それぞれではありますが、土間をつくる場合はそうしたことについても考慮すると良いと思います。

また大きなガラス入りの引き戸は、プライバシーの確保という点では不便な場合があります。人通りの多い場所に面した敷地はどうしても通行人の視線が気になってしまいます。その場合は塀や植栽などで目隠しをすることを考えたほうが良いかもしれません。

わが家では玄関土間の前に木を植えたり、簡易的なテントを建てるなどして適度に目隠しをしつつ、外リビングとして日常的に使っています。

広い土間玄関は古い民家にはよく見受けられた場所です。昔はここで近所の方と井戸端会議が行われたりしていました。わが家も、土間玄関があることでご近所さんとの距離がグッと近くなっていると感じています。新築やリフォームを考えている方は、古くて新しい土間玄関をぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

●教えてくれた人/飯塚啓吾さん

東京・東村山市で生まれ育った建築家。設計事務所に勤務し、集合住宅やマンション一リノベーションの設計を手掛ける。また、「ムライエ」名義で個人で小さい住宅や店舗のデザインも行う。専門学校の非常勤講師も務める。2018年、東京・東村山市に自宅を新築し、妻と2人の子どもたちと暮らしている

撮影/松崎直人(上から1点目、2点目、3点目)