暮らしのコツ

スズキカホスズキカホ

フィンランドとノルウェーで暮らしてわかった、北欧のリアルなインテリア事情

北欧インテリアのイメージ
日本でも人気の高い「北欧インテリア」。現地の人たちはどんなことを大切にして、どんなふうに暮らしているのでしょうか。
「実際に住んでみて、現地の人たちがいかにリラックスして過ごすか、をとても大切にしていることがわかりました」と話すのは、ノルウェー在住で大学院に在籍中のイラストレーター・スズキカホさん。スズキさんが実際に見聞きした北欧のリアルなインテリア事情について語ります。

「リラックス空間」への意識がとても高い

私はフィンランドに2年間、そして現在はノルウェーに住んでおり、今まで数々の現地のお宅にお邪魔してきました。

現地の人々と生活を共にする中で強く感じていることは「北欧の人々はリラックス空間をつくることに対する意識がとても高い!」ということです。

これはデザインに精通した人に限ったことではなく、個人レベルで、そして日常の中でその様子を見ることができます。

例えば、私のフィンランド人の友人は、本を読むとなったらまず座り心地が最高な椅子を用意し、高さのちょうどいいクッションを選び抜き、お気に入りのコーヒーをゆっくり丁寧に入れて…と事前にかなり時間をかけて読書のための完璧な場所づくりをします。

こうした意識は北欧の教育の現場からも見て取れます。実際に、フィンランドの多くの小学校にはソファやクッションなどのリラックスグッズが置いてあることも珍しくなく、生徒たちがストレスなく学習できる環境をつくり出しています。

ちなみに私の通うノルウェーの大学には、勉強に疲れた生徒が休める休憩専用の一人部屋「Pause room (ポーズ・ルーム)」なんてものもあります。このように、「休む」「リラックスする」ことを大切にしている国民性がいたる所で感じられます。

また、ノルウェーに移る前、ノルウェー人は部屋に植物を飾るのが大好きらしい、と聞いていたのですが、それは本当でした。

まず、園芸屋さんの数がとても多い印象です。普通のスーパーでも野菜などと並んでたくさんの花が売られているのが一般的。ノルウェーの人たちにとって植物は身近な存在であり、自然を大切にする気持ちが強いと感じています。

暗くて寒い冬を越えるために重要なのは「光」!

照明とテーブルセッティングのイメージ

ご存知の方も多いと思いますが、北欧は寒くて暗い冬が長く続きます。最も厳しい極夜と呼ばれる12〜1月の日照時間は6時間ほどと言われていますが、実際日の光を感じる(といっても薄明るい程度)時間は2、3時間といったところです。

そんなに日照時間が短いのであれば、部屋の照明はフル稼働なのかと思いきや、むしろその逆。私が今まで伺ったお宅では、基本的に日中は自然光のみで生活していました。

日が落ちて部屋が暗くなってきたら、間接照明やキャンドルを灯します。暗がりの中にほんのりとした明かりが灯ると、部屋の中が温かく感じられ、厳しい冬の時期も心地良く過ごすことができます。

強すぎる太陽光に弱く、人工的な光を嫌がる傾向にある彼らにとって、光の演出は空間づくりの大事な要素のひとつのようです。

公共デザインにも「リラックス」のための工夫が

読書に集中できるような高い壁の付いた一人用の椅子

北欧流のリラックスのための工夫は、学校などの公共の場でもたくさん見受けられます。

例えば私が通う大学の図書館には、読書に集中できるような高い壁の付いた一人用の椅子が設置されています。さらにその椅子の側には足を伸ばして置くためのもう一つの小さな台も備わっているのです。

少しお行儀が悪く見えてしまうかもしれませんが、まるで自分の巣のようなその空間は読書に最適です。また、市の図書館には様々なタイプの椅子があり、利用者が一番楽な姿勢で本が読めるような工夫がされています。

こうしたリラックス空間が、北欧の人々の自然体な生き方に影響しているように感じます。

新型コロナの影響で、おうちで過ごす時間が増え、片付けや模様替えに積極的に取り組んでいる人も多いのではないでしょうか。一日のほとんどを過ごす場所だからこそ、快適でリラックスできる空間にしたいもの。

私が見聞きした北欧の人たちの暮らしぶりが、少しでもみなさんの参考になれば幸いです。