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カード類、食材の宅配…母の死後、解約が想像以上に大変だったもの

区役所のイメージ

身内が亡くなると、様々な事務手続きに追われます。国民健康保険や国民年金の資格喪失手続きなどの公的な手続きや、クレジットカードの解約はもちろん、モップのレンタル、牛乳や食材の宅配の解約に至るまで、様々な手続きをしなければなりません。

昨年、母親が他界した日刊住まいライターも、予想外に苦労した作業がたくさんあったそう。親が元気なうちに準備しておくべきだった、と後悔した中身を詳しく語ります。

大事な書類はどこ?事務手続きの手前で思いっきりつまずく

死亡届

身内の死去に伴う手続きは、死亡届の提出、国民健康保険や国民年金の資格喪失手続きのような公的な手続き、生命保険の請求や銀行口座の解約まで多岐に渡ります。

具体的な手続きについては葬儀会社などから手引きがもらえますし、ネットでもさまざまな情報が手に入ります。それらを参照すれば「○○の手続きには××と△△の書類を用意して~~に行く」という基本的な流れは分かるので簡単そうに思えるのですが、最初の難関は意外なところにありました。

大事な書類が家のどこにしまってあるか、さっぱりわからないのです。保険証書が見つからなければ、どんな生命保険に加入しているかがわからないので保険金の請求手続きができません。

銀行口座についても同じで、口座を停止して相続する手続きをしようにも、通帳を探し出さないことには「どの銀行にどんな口座を持っているか」がわからないのでどうしようもありません。事務手続きの手前で思いっきりつまずいてしまったのでした。

死後の話は先送りにせず、元気なうちに聞いておくべきだった

タンス

残念ながら、残された父親はさっぱり頼りになりません。

筆者の実家は、父親が仕事でお金を稼ぎ、専業主婦の母親が家事や家計を取り仕切るという「典型的な昭和型の家庭」でした。父親は家のことはすべて母親に任せきりにしており、自分では驚くほど何もできません。

生まれてこのかたATMでお金をおろしたことすらないので、通帳やキャッシュカードがどこにしまってあるか知っているわけがないのです。

結局「ありそうなところ」を片っ端から探すしかありませんでした。葬儀やら介護用品の回収やらでバタバタするなか、部屋じゅうの引き出しをひっくり返しながら「母親が元気なうちに簡単な引継ぎだけでもしておくべきだった」と心から後悔しました。

母は余命を宣告されていたので「死が近づいたら聞いておこう」とは思っていたのですが、急に体調を崩したので聞くタイミングを逃してしまったのです。

必要な証明書を要確認。取得に手間がかかることも

戸籍謄本

死後の手続きでまず悩まされたのが戸籍謄本の取得です。戸籍謄本は様々な手続きにおいて何度も提出を求められます。

東京・世田谷区の場合、戸籍の証明書類を全種類取り扱う窓口は5か所しかありませんので、大抵は電車を乗り継いで役所に赴きます。手間を省くため、できれば一度に必要な枚数をまとめて請求したいのですが、これが簡単ではありません。

たとえば、母親が加入していた「かんぽ生命」の例です。担当者が自宅まで来て契約内容を説明してくれることになったのですが、その際「僕が母親の息子であることを証明するために戸籍謄本を用意してほしい」と言うのです。「自宅で話すのに戸籍謄本が必要なの?」とも思いましたが、どうせ後々必要になるだろうからと役所で取得して準備しました。

ところが当日、説明を受けてみるとさらに手続きを進めるには戸籍謄本だけでなく「原戸籍」(正式名称は改製原戸籍。現在の戸籍の様式に変更される前の古い戸籍のこと)も必要だと言うのです。

改製原戸籍

こうして早くも二度めの戸籍謄本の取得が必要になりました。

こんな具合に、手続きを進めないと必要な書類が判明しない場合もあるので、なかなか一度では済まないのだと実感しました。このほか、年金の支給停止や金融機関の預金相続にも戸籍謄本が必須で、結局、3回ほど区役所に足を運ぶはめになりました。

マイナンバーカードがあればコンビニで戸籍謄本が取れる

コンビニのマルチコピー機

そんな苦労を減らすためにおすすめしたいのがマイナンバーカードの取得です。

マイナンバーカードを持っていると全国のコンビニエンスストアで戸籍謄本の交付を受けることができるのです。いわゆるマルチコピー機が設置されているコンビニならほぼどこでも取得できるというのですから、これは便利なサービスです。

先ほど書いたとおり、世田谷区で戸籍の証明書類を全種類取得できる窓口は5か所のみ。一部証明書を取得できる窓口を含めても10か所しかありませんでしたから、格段に取得がラクになるいうことです。こんなに進化していたなんて知りませんでした。

故人の戸籍謄本を取る場合も、同一戸籍に属する家族が存命ならばマイナンバーカードを使って簡単に戸籍謄本を取得することができます。ほかにも住民票の写しや印鑑証明書なども取れるのでかなり便利です(ただし、先ほど述べた「原戸籍」は取得できないのでご注意ください)。市区町村により取得できる証明書が異なるそうですので、詳しくはお住まいの自治体に問い合わせてみると良いと思います。

家族カードの解約と再加入に手こずる

クレジットカード

思いのほか面倒だったのがクレジットカードの解約と再加入です。バブル時代の名残なのか、母は使いもしないのに年会費だけが出て行くカードをたくさん持っていました。これらをひとつひとつ解約するのはけっこうな手間でした。

とくに、父親が唯一持っていたクレジットカードが母親の家族カードだったのには手こずりました。家族カードは本人が死亡すると強制的に解約になります。

結局、必要な父のカードもいったん解約し、再び入会申請するはめになりました。しかも、そのカードに再度PASMOを連携させねばならず、けっこうな手間がかかりました。

モップのレンタルや食材の宅配などの解約も地味に大変

取り寄せたリンゴ

母が定期購入していた商品の解約も地味に手がかかります。たとえば、母はダスキンでモップのレンタルをしていたのですが、そのうちの1本が見つからず、結局、弁償金を支払うことになりました。

牛乳配達の解約は電話1本で済みましたが、空になった牛乳瓶の返却や残金の支払いも必要でした。また、パルシステムの脱退手続きでは書類に遺族の実印の捺印を求められたり、戸籍謄本のコピーの提出まで求められたりするのに驚きました。まるで銀行みたいです。

また、生前に母が注文していたリンゴやお米が届くたびに送り主の会社に電話をかけて定期購入ではないか確認し、解約しなければならないのも手間でした。母はマメにいろいろと購入する人でしたので、そのぶん解約の手間もかかったということです。

親が亡くなると、葬儀や相続にまつわる手続きが大変そうというイメージを抱く方が多いと思いますが、こうした細々とした手続きにも煩わされるのが現実です。繰り返しになりますが、生前にしっかり両親と話し合って情報共有しておくだけで苦労は半減します。元気なうちに準備しておくと良いと思います。

画像/PIXTA(戸籍謄本の画像を除く)

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