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預金相続は想像以上に大変。3つの金融機関とやりとりした結果をレポート

銀行の看板

身内が亡くなると、しばらくは事務手続きに追われることになります。なかでも一筋縄ではいかないのが預金相続。ひとくちに預金相続といっても、金融機関によって相続のルールは異なり、要求される書類や証明書もまちまち。

日刊すまいライターのアサクラさんも、昨年他界した母親の預金相続をするために、とても苦労したそうです。詳しく語ってもらいました。

預金相続は銀行口座の洗い出しからスタート

通帳

今回は、相続をすることを身内で決定したことを前提に説明していきます。預金相続のためにまず行う作業が、銀行口座の洗い出しです。

筆者のケースの場合、母親がどの金融機関にどんな口座を持っていたかがあやふやだったので、まず家の中を整理して通帳やキャッシュカード、銀行印などを探し出しました。これだけでひと苦労です。親が元気なうちに通帳がしまってある場所くらいは聞いておくべきだったと後悔しました。

捜索の結果、母が口座を持っていた金融機関は3つ。各金融機関に出向き、母親が亡くなった旨を伝えて口座の詳細を調べてもらいました。

通帳を紛失した定期預金がないか、他の支店に古い口座がないか、といったことを明らかにします。このタイミングで口座の出入金を停止する措置を取ってもらう場合が多いようです。

預金相続の本格的な手続きを始めるには「自分が相続人である」ことを証明する書類の提示も必要となります。身分証で済む場合もあれば戸籍謄本が必要な場合もあります。最初の訪問で、相続に必要な書類などを金融機関でヒアリングしておくのがいいと思います。

3つの金融機関で相続手続き。必要な書類はバラバラ

実際に、どんな書類が必要だったかを金融機関別にご紹介します。

ゆうちょ銀行の看板

ゆうちょ銀行は手続きがいちばん簡易

うちの母親のケースでは、いちばん手続きが簡易だったのが「ゆうちょ銀行」でした。必要だったのは以下の書類です。

  • 母親の通帳
  • 母親が死亡したことがわかる戸籍謄本
  • 息子(筆者)の戸籍謄本
  • 息子(筆者)の身分証
  • 息子(筆者)の印鑑(認印)

母親と筆者の戸籍謄本があれば、他の相続人(父や妹)のサインや書類は不要。印鑑も認印でOKなので実印や印鑑証明はいりません。おかげでかなり簡易に手続きを済ませることができました。

信用金庫は200万円以下なら相続人一人で手続き可能

戸籍謄本

某信用金庫では「200万円以下」という条件付きですが、相続人一人で手続き可能だったので僕が代表となって手続きをしました。

  • 母親の通帳
  • 母親の戸籍謄本
  • 息子(筆者)の戸籍謄本
  • 息子(筆者)の身分証
  • 息子(筆者)の実印
  • 息子(筆者)の印鑑証明

実印や戸籍謄本を求められる点で、ゆうちょ銀行よりも書類が増えましたが、父や妹のサインや書類が不要だったので、比較的ラクでした。

銀行は相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明が必要

印鑑証明申請書

いちばん大変だったのは母がメインバンクにしていた某銀行。こちらの場合は、まず相続専用の窓口に電話をかけて相続手続きの書類を送ってもらうことからスタートします。

届いた書類によると、相続人全員のサインと実印、印鑑証明が必要とのことでした。また、母親の戸籍についても、戸籍謄本だけでなく、改製原戸籍まで必要でした。改製原戸籍とは現在の戸籍の様式に変更される前の古い戸籍のことです。用意しなければならない書類は以下でした。

  • 母親の通帳
  • 母親の戸籍謄本と改製原戸籍
  • 相続人全員(筆者、父、妹)の戸籍謄本
  • 相続人全員(筆者、父、妹)の実印
  • 相続人全員(筆者、父、妹)の印鑑証明
  • 窓口に行って手続きする人間(筆者)の身分証

とくに苦労したのが妹の書類。妹は結婚して別の自治体に本籍があるので、取得して送ってもらいました。

また、全員が書類にサインする必要があるため、書類を送ってやりとりするか一度に集まって署名しなければなりません。それぞれの生活もあり、コロナ禍で移動もしづらい中での手続きは、なかなか骨が折れる作業でした。

相続税を申告しない場合も「遺産分割協議書」が必要な理由

相続税を申告する場合は死亡時点での「残高証明書」が必要となるようですが、わが家は相続税の申告が必要なかったので、発行してもらいませんでした。

我が家の場合、法定相続人が3人(父と僕と妹)となりますので、相続税の基礎控除額は3000万円+(600万円×3人)で4800万円。銀行口座の総額はその10分の1にも及びませんし、相続税はかかりません。

ところが、マンション経営でお世話になっている顧問税理士さんに話を伺ったところ、「遺産分割協議書」をつくるよう指示されました。これは「相続人みんなで遺産を分けるのに合意しました」と証明する文書のことです。

「相続税もかからないのに遺産分割協議書なんて仰々しいものがいるの?」と驚いたのを覚えています。

母が祖父から相続した山小屋があり、評価的には二束三文の価値しかありませんが、不動産は不動産なので相続の手続きには「遺産分割協議書」が必要になるんだそうです。

そのほか亡くなった人が株式や自動車などを所有していた場合にも名義変更のために「遺産分割協議書」が必要になるんだとか。

また、遺産の分割に相続人全員がしっかりと納得した、ということを書面に残す「遺産分割協議書」には、相続後のトラブルを防止する役割もあるそうです。

先に挙げたように、相続人のうちの一人で銀行口座を相続することができるケースもあるので、もし事前に遺族内で合意が取れていなかった場合などはトラブルが起こる可能性は十分にありえます。また、相続人の一人が後になって「こんなはずじゃなかった」と異議を唱える可能性もありえます。

将来のことを考えると、家族仲の良し悪しにかかわらず書面に残しておくほうが間違いないのかもしれませんね。今回の私の経験が、少しでもどなたかのお役に立てれば幸いです。

画像/PIXTA

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