おすすめのキッチンレイアウト。使う人と暮らし方の傾向からわかりやすく解説
「I型」「Ⅱ型(セパレート)」「L字型」「コの字型」など、キッチンのレイアウトにはいくつかの種類があります。
今までに数多くのオーダーキッチンを手掛けてきた家具工房「フリーハンドイマイ」の代表、今井大輔さんは「何型のキッチンにしたいか、ではなく、どんな風にキッチンを使いたいのか、というところからスタートするといいと思います」と話します。
それぞれのレイアウトの特長や具体的な事例について、詳しく教えてもらいました。
キッチンを一人で使う?みんなで使う?
今まで、いろいろなお宅のキッチンをつくってきた中で感じているのは、キッチンを一人で使うか、みんなで使うかによって、そのお宅に合ったレイアウトが決まってくる、ということです。
「うちでは、料理はもっぱら私(奥様)がつくるだけなので、キッチンも私一人で使いやすい形にしたいのです」というお宅でご要望が多いのは、一人でガシガシ使えるようなL型やコの字型のレイアウトです。
L型やコの字型キッチンは一人での作業に向いている
一人でガシガシ使いたい、という方がL型やコの字型のレイアウトを希望する理由は、作業動線をなるべく短くしたいから。シンク、コンロ、作業スペースなどに素早くアクセスできるよう、自分の周りを囲むような形にしたい、という要望が多いです。
一般的に、キッチン内の通路は、 人と人がすれ違やすいよう900㎜くらいにするもの。ですが、「一人で作業したい」という方は、その場からなるべく動かずにものを出し入れしたり、調理したりしたいので、通路はなるべくコンパクトにしたい、と希望するケースが多いです。中には通路を800㎜くらいにしたお宅もありました。
I型やⅡ型(セパレート)キッチンはみんなで作業、に向いている
「週末は家族みんなでキッチンで料理することが多い」というお宅は、I型やⅡ型(セパレート)を選ぶケースが多いです。
私の家はI型で、半島(ペニンシュラ)キッチンと、食器棚として使っているバックカウンターがあるレイアウトです。
二人の娘たちもキッチンで何やらごそごそとつくるのが好きですので、多いときは家族4人でキッチンの周りをガチャガチャとやるわけです。
I型キッチンは背面にカウンターがあると使いやすい
I型の場合、壁を向いて作業をしたいか、リビングダイニングを向いて作業をしたいか、によってもレイアウトが変わっていきます。
どちらの場合も、キッチンだけだと足りない収納量を補うためにキッチンの背面にカウンターがあると収納量・作業スペースの確保ができるので、とても使いやすくなります。
壁を向いて作業するキッチンならダイニングとキッチンを仕切るようにアイランドカウンターがある形、ペニンシュラタイプなら私の自宅のようなバックカウンターがある形になります。
Ⅱ型(セパレート)キッチンは作業を分担しやすい
ではバックカウンターのあるI型とⅡ型(セパレート)はどう違うのかと言いますと、コンロとシンクを分けて2列に並べたキッチンをⅡ型(セパレート)といいます。
複数人である程度時間をかけて調理したい、というお宅はⅡ型(セパレート)を選ぶ方が多い、という印象です。水と火が分かれていてそれぞれのワークスペースを確保できるので、作業を分担しやすいのです。
人数や動線、間取りも含めて考え、ベストなキッチンの提案を
キッチンのレイアウトを考えるときは、キッチンを使う人数や家族構成、玄関からキッチンへの動線、勝手口があるか、回遊できるか、パントリーをどうするか、といった間取りなども含めてじっくり考えながら、どんなレイアウトが良いのかを提案させていただいています。
とはいえ、ときおり嬉しい誤算も。「キッチンが新しくなったら、主人が料理を始めるようになっちゃって、私の場所が狭くなってしまいました(笑)」などと報告してくださる方がいます。気持ちの移り変わりまでは、なかなか読めないものです。
●教えてくれた人/今井大輔さん
暮らしに寄り添うオーダーキッチンやオーダー家具を手掛ける家具工房「フリーハンドイマイ」代表。神奈川県高座郡に工房とショールームがある