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熊本地震を経験後「防災グッズを何も用意していなかった私」が今していること

ローリングストックで食材を管理

災害が起きたときや起きた後、どのようなことに気を付ければ良いのか、実際に経験した人でないとなかなか分かりません。

熊本地震を経験した日刊住まいライターは、被災したことをきっかけに防災に対する意識が大きく変わったといいます。車中泊を体験し、避難所や給水所を利用して感じたこと、現在はどんな防災対策をしているのか、詳しく語ります。

震度6の地震で家の中のあらゆる扉が開いて物が散乱

地震直後の浴室

「机の下に隠れるくらいの余裕はあるはず」。地震に対して筆者はそんなイメージを抱いていましたが、実際に経験した震度6強の揺れは立っていられないほど。机の下に隠れるなんてことも忘れるくらいの衝撃でした。

2016年4月14日の21時過ぎ、筆者は入浴中でした。そろそろ出ようかな、というタイミングで「ドン!」と今まで聞いたことのないような音が。その直後に大きな揺れを感じました。

浴室ドアの激しい開閉音とキッチンから響くガラス音を昨日のことのように覚えています。筆者が住む熊本市は震度6弱でした。

地震で家の中のあらゆる扉が開いて物が散乱した室内

地震がおさまって浴室から出ると、写真のように家の中のあらゆる扉が開いて物が散乱。夜中まで多少の揺れはあったものの、避難はせずに家の中で過ごし、翌日買い出しへ。

この時点では、多少の混乱はあったものの、ドラッグストアなどでスムーズに水を買うことができていました。その後念のために、と車のガソリンを満タンにして帰宅しました。

本震は薪ストーブやピアノが移動するほどの揺れ

日中も余震があったので、その夜は2階の寝室ではなく1階の玄関に近い和室で寝ることにしました。不安を感じながら眠りにつきましたが、日付が変わった頃に震度6強の本震が発生し、停電。

まさかこんな大きな地震が2回も続けてくるとは予想もできませんでした。揺れが大きかったので命の危険を感じ慌てて外に出ました。

外に出ると隣近所の人たちも道路に出てきていて、動揺を隠せない様子でした。その後も今まで聞いたことのないような地響きが続きます。その夜は、毛布や必要最低限のものを持ってそのまま避難所へ向かいました。

倒壊した本棚

避難所の駐車場で車中泊をして、次の日に帰宅したときの様子がこちら。2階にある本棚が倒壊して本が散乱していました。

破損した電子ピアノ

電子ピアノもパソコンも倒れて破損。1階では100kg以上の薪ストーブが移動し、200kg以上あるアップライトピアノでさえも20㎝ほど位置がズレていました。

わずかに裂けた天井や壁紙

不幸中の幸いと言うべきか、建物については1階はほとんど被害がなく、2階は天井や壁紙がわずかに裂けた程度でした。

防災グッズはほとんどなし。痛感した水の備えの大切さ

大渋滞の道路

本震のあった日中、県外の親戚が水を持ってきてくれると申し出てくれたので、車中泊している場所から6㎞ほどの場所へ受け取りに行くことになりました。想像以上の大渋滞で、往復で6時間もかかってしまいました。

当然ガソリンスタンドも大混雑。「前震のあった日にガソリンを入れておいてよかった。でも水をもっと用意しておくべきだった」と後悔しました。

別の日に給水所にも向かいましたが、大渋滞でまったく車が動かず断念。断水は数日続いたので、親戚にもらった水と浴槽にためた水でなんとか乗り切ることができました。

給水タンク

お恥ずかしい話ですが、そもそも筆者の家では、それまで防災グッズをほとんど用意していませんでした。

このときの経験をきっかけに防災に対する意識が大きく変わり、まず給水タンクやペットボトル入りの水を備えるようになりました。

食料については、日常的に非常食を食べて、食べたら買い足すローリングストックを実践。また、一次避難と二次避難用の防災グッズを分けて玄関に置くようにしています。そのおかげで、昨年8月の台風の際も慌てずに済みました。

自分や家族の命を守るために

造り付けにした本棚

地震をきっかけに、本棚を造り付けにし、背の高い家具はできるだけ買わないようになりました。

どんなに準備をしても万全ではありませんが、起きてからは遅いです。防災グッズを何も用意しておらず、防災に対する意識が低かった筆者は身をもって痛感しました。今できることから始める。それが自分や家族の命を守ることにつながると感じています。