木偏に甚(はなは)だしいという字。なんかすごそうな木みたいですね。
でもそんなことはありません。とてもさわやかな木。比較的水に強い木なので、風呂桶や飯台の材料にも使われてきました。
さて何と読むでしょう?
風呂桶、飯台、障子の組子…家の中の至る所に使われてきた木
まず椹さんの長所を挙げます。
木目が整っていて、色白。結構、美人さんの木です。ヒノキに似ていますが、それほど香りが強くないです。日当たりのいい山の斜面より、谷間を好む木なので、耐湿性にも優れています。さらに重さを表す比重はなんと0.34と水の重量の3分の1!桐に次ぐ軽さですから持ち運びもラクです。
これらの長所を生かし、古くからニオイが付くとよくない飯台や御櫃(おひつ)、水を入れる手桶や風呂桶などの材に使われていきました。
また、木目がきれいで軽いことから、天井板や障子や襖(ふすま)の組子の材にも!
昔の家では至る所で活躍していた木でした。今も和風の住宅では欠かすことのできない材です。
さっぱりとした立ち姿が名前の由来に。松茸の下に敷かれているアレです
正解は「さわら」です。
ヒノキ科ヒノキ属の常緑針葉樹です。「花柏」と書くこともあります。
大きな公園に行くと、巨大なクリスマスツリーみたいな三角形の樹形の木を目にすることがありますよね。それ椹だったかもしれません。ほかにも三角形の木はありますが、枝と枝のすき間が多く、さっぱりとした立ち姿の木がそうです。
そこから「さわらか(さっぱりの意味)」→「さわら」と呼ばれるようになったと言われています。
殺菌作用があるため、意外なところでも使われています。例えば松茸の出回る季節に箱やカゴに入って売られている光景を思い出してください。
あの松茸の下に敷かれているのは椹の葉が多いようです(※ほかにヒノキやあすなろも使われる)。
ちなみに魚偏に春と書く「さわら」ほのうは、さっぱりとした味から来たわけではありません。腹が狭い魚「狭腹」が語源と言われています。同じ名称でも、こっちは全然さわやかじゃありませんね。
この漢字にもチャレンジ!
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画像/PIXTA