体験レポート&リサーチ

スズキカホスズキカホ

ペットボトル回収率は97%。ノルウェーで体感するサスティナブルな暮らし

「サスティナブル=持続可能」のイメージイラスト

最近サスティナブル(Sustainable)、という単語を耳にする機会が増えています。「サスティナブル=持続可能」という意味であり、自然環境を維持するための地球に優しい暮らしを推奨する考え方です。SDGs(持続可能な開発目標)という言葉もよく聞くようになりましたが、SDGsとはSustainable Development Goalsの略称です。
ノルウェーは2020年1月に駐在員が選ぶ環境先進国ランキングで、環境・サステナビリティランキング1位に評価され、現在もトップ5に君臨し続けています。(2021年3月現在)。
ノルウェー在住で大学院に在籍中のイラストレーター・スズキカホさんは、それを日々の暮らしの中でも実感しているといいます。具体的にどんな理由でそう感じるのか、詳しく語ります。

ノルウェーはリサイクルのハードルを下げるアイデアが豊か

不要品を入れる巨大なボックス
ノルウェーではいらなくなったものをむやみに捨てず、必要な人や場所に回す、という考え方が大切にされています。

世界トップレベルに物価の高いノルウェーでよく見かけるのが、中古品を扱ういわゆるセカンドハンドショップ。洋服や食器、家具、家電などいらなくなった日用品を誰でも気軽に持ち込むことができます。また、市民から持ち込まれた不用品を無料で提供するガレージのような場所もあります。

また、街中に写真のような不要品を入れる巨大なボックスが置かれていて、ここに入れられたものはリサイクルや寄付に回されます(入れる物の種類やサイズには制限があります)。

どんなに小さな物でも最後まで大切にする文化や、リサイクルのハードルを下げるアイデアの豊かさにはいつも感心しています。

レジ袋もひとつの「プラスチック製品」

日本では昨年からレジ袋有料化が本格的に導入されましたが、北欧では以前からレジ袋は有料が当たり前です。各スーパーがオリジナルのエコバッグをレジ横で販売しているのもお馴染みの光景。

市民はそうしたエコバッグやマイバッグを常備していたり、手荷物の中に入れて持って帰るのが一般的です。量が少なければ購入した商品をそのまま手に持って帰る人もいます。

中にはレジ袋を購入する人もいますが、なるべく再利用できるバッグを使おうとする意識が多くの人に浸透しています。ちなみに物価の高いノルウェーのレジ袋の値段は、お店やサイズにもよりますが、日本円でだいたい1枚20〜40円ほどで日本の倍以上はします。

レジ袋もひとつの「プラスチック製品」なのだと考えさせられるこの値段設定も、人々の環境意識を高めることに一役買っているのかもしれません。

ペットボトル回収率97%を可能にしたPant (パント)

Pant(パント)という容器回収システム
筆者が最も好きなリサイクルシステムが「Pant(パント)」。これはノルウェーのみならず北欧全体で一般的な容器回収システムです。

ノルウェーのペットボトルや缶の飲み物にはあらかじめPantと呼ばれるデポジットのようなものが金額に含まれています。これは、後日空の容器をスーパーに設置された回収マシーンに通すことで、お買い物時に使用できる割引券になって返ってくるというなんとも画期的なシステム。

1Pant=1ノルウェークローネ(約13円)なので、500mlのペットボトルが平均2Pant=約26円ほどということになります。つまり、そのまま捨てるのはお金を捨てるのと同じことになるのです。

ノルウェーの人たちはこのPant付きの容器をたくさんためて一気に回収に回すのが一般的で、大きな袋を抱えてマシーンの前に並ぶ人たちをよく見かけます。

このシステムのおかげで、ノルウェーでのペットボトル回収率は97%なのだそうです。このように目に見える形で市民に還元されるリサイクルならば、進んで参加したくなりますね。

美しい自然を守りたいという気持ちがあるから環境意識が高い

スーパーの割引コーナー
近年ノルウェーでもとくに意識されているのがフードロス問題。これを解決するための取り組みもまた、身近な所で目にすることができます。

代表的なのが、スーパーの割引コーナー。日本でも閉店間際になるとお惣菜や賞味期限が近い食品が割引になることは一般的ですが、ノルウェーでもそういった割引商品が店頭に並びます。

しかし日本との違いは、賞味期限が切れた食品もしばらくの間売られていること。そう聞くと不安に感じる方もいるかもしれませんが、売られているのは基本的にパッケージされた加工品など比較的日持ちのする商品です。

お店によっては傷んでしまった野菜や果物専用の割引棚を設けていることもあります。もちろん、それらを買うかどうかは消費者次第ですが、ノルウェーの人々は積極的にこの割引商品を利用していると感じます。

また、閉店間際もしくは賞味期限の近い食品を割引価格で販売する飲食店情報を提供するアプリ「Too Good To Go」もフードロス対策として注目されています。

デンマーク発祥のこのアプリはノルウェーでも利用されており、近隣のお店を調べ、オンラインで割引商品を購入後、お店に受け取りに行くという流れです。

こうしたエコに対する意識の高さは、ノルウェー人が美しい自然をこよなく愛し、それを守りたいという気持ちから来るものだと感じています。食べ物を捨てることをできるだけ避けようとするノルウェー人の暮らしを目の当たりにしたことで、筆者も食に対する価値観が変わりました。