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Sumai編集部

取り消せる?「認知症の父が勝手に実家を売ってしまった」場合

不動産の売買
家や土地は様々な法律に守られています。と同時に、良好な住宅環境を維持するために制限されています。しかし実際に購入または賃貸しようとするとき、その契約には一般の人には分かりにくい内容も多くあります。

そこで円滑に取引されるよう、法の定める事務を行ってくれるのが宅地建物取引士です。
じつは今回のお題、宅地建物取引士の国家資格をとるための試験がもとに。さて、あなたは正解ができますか?

【今回の問題】
一人暮らしをしている父が、相談なしに自宅を売ってしまった。父は認知症が進んでおり、最近、家庭裁判所から成年被後見人の審判を受けている。この売買契約は取り消せるか?

親の住む家

ポイントは、父親に契約を結ぶための意思能力があるか?ないか?

正解は…取り消せる可能性が高い!

契約を結ぶには、当然のことながら「意思能力」が必要です。ですから、法律では、「意思能力のない人(意志無能力者)がした契約は無効」となります。

さらに法律では、「制限行為能力者」というのもあります。これは、単独で有効な法律行為をするには判断能力が不十分な人のこと。

今回の設定では、認知症が進んでいて、判断能力が十分といえない状態。ただ、そうであることを認定されていなければ、話やややこしくなります。

判断能力が低くなった老親には「成年後見人制度」活用の検討を!

成年後見人は家庭裁判所が審判

この例は「制限行為能力者」だと家庭裁判所に申し立てをして審判を受けているケース。「制限行為能力者」として父親に成年後見人を立てていたことで、スムーズに解決しました。

ところで、成年後見人制度という言葉を聞いたことはありませんか?

精神上の障害などで判断能力の低い人たちを守るために生まれた制度です。親が認知症になってしまった場合など、息子や娘が就任することも可能。この制度を活用してれば、親単独での契約は取り消しできます。

ただし、このケースでも制限行為能力者が詐術を用いた(相手をだました)場合は、取り消しはできません。

制限行為能力者には4種類あることも知っておこう!

民法に書かれている成年後見人

ちなみに制限行為能力者には大きく分けて4種類あります。こちらも知っておきましょう。

  1. 未成年者…ただし、婚姻している場合は未成年者として扱われない
  2. 成年被後見人…判断能力のない者のことで、家庭裁判所から後見開始の審判を受けなければならない
  3. 被保佐人…成年後見人ほどではないが、精神上の障害で事理弁識能力が著しく不十分な者。家庭裁判所から保佐開始の審判を受けなければならない。幾つかの重要な行為のみ取り消しが可能(不動産の取引と賃貸借は含まれる)
  4. 被補助人…被保佐人ほどではないが、精神上の障害で事理弁識能力が不十分な者。家庭裁判所から補助開始の審判を受けなければならない。ほぼすべての行為は単独でできるが、どの行為に取り消し権を設けるかは家庭裁判所が決める

画像/PIXTA