名曲『北国の春』でも登場します。北国ではほかの木々より一足先に白い花をつけ、遅い春を告げます。
さて、何と読むでしょう。
この漢字からは想像できないけど、学名はマグノリア
漢字を見ると「辛い」という字と、昔の中国で東方の異民族を意味する「夷(えびす)」という字。ワイルドなイメージがありますが、とても可憐な花を咲かせます。
この樹木の総称の学名は、フランス・モンペリエ王立植物園の園長マニョールの名にちなみ「マグノリア」と言います(※1)。
漢方では、花のつぼみを乾燥させ、頭痛・鼻炎・鼻づまりの処方薬として使われます。ちなみに漢方薬での名称は同じ字ですが「シンイ」と読みます(※2)。
辛夷の字を見ても、イメージがわかないかもしれませんが、世界各地で親しまれている木です。
読み方、分かりましたか?
確かに蕾が開くのを見ると、小さな子どものそれみたいかも!?
正解は「こぶし」です。
なぜ、「こぶし」と読むかは諸説あります。
花が咲く前の蕾(つぼみ)の形が握りこぶしに似ているから。蕾から開花していく様子が小さな子どもの握りこぶしのように見えるといった蕾握りこぶし説が有力です。それ以外にも種子がぼこぼこした形をしていて、それがこぶしのように見えるからという説もあります。いすれにしても手を握った「こぶし」から来た名前のようです。
同じ時期に咲く辛夷とモクレン(木蓮)の違い、お分かりでしょうか?
同じモクレン科に属しますが、モクレンは中国原産の樹木です。一方、辛夷は日本原産の樹木。なので中国では外来の意味で「夷」の字が付いているんすね。
見分け方ですが、辛夷は白花のみで花弁は6枚。開花と芽吹きが近いので、花と葉の同時に見ることができます。
一方、モクレンは花弁が9枚。一般的には紫の花を指します(白い花は白モクレンと呼ぶ)。花は上向きに咲くので、地上にいる私たちは横からしか見ることができません。
※1 マグノリアはモクレン科の総称。辛夷はその後ろに学名となった和名が付き、マグノリア・コブシ(Magnolia kobus)という
※2 漢方薬の辛夷は、同じモクレン科モクレン属のハクモクレンもしくはモクレンを指す
この漢字にもチャレンジ!
「蜊」読める?今の季節、これ目当てに浜辺に行ったことあるかも
画像/PIXTA(漢字画像を除く)