インテリア・雑貨

Sumai編集部

オアシスのような東京の花屋/ kusakanmuri(クサカンムリ)

kusakanmuri(クサカンムリ)の店内
東京には、オアシスのような花屋がたくさんあります。
なぜ仕事として花屋を選んだのか、日々どんな思いで草花や客と向き合っているのか。

都内でも注目の花屋を作家・エッセイストの大平一枝さんがたずね歩きます。

長居したくなる、小さいけれど鮮烈なフラワーショップ

kusakanmuri(クサカンムリ)の外観
白と緑の草花だけで統一された店内。ダリア、アジサイ、スノーボール、ユーカリ、トルコキキョウなど色を絞っている分、種類が多く眺めるだけでも楽しい。

東日本大震災の年、デザイン会社が「生活に寄り添う新たな事業を」と恵比寿に花屋を立ち上げた。店名は、野花で花束のような素朴で温かな世界観から。

奥まった場所にあるイベントスペースの一角で始めた店は2017年、代官山へと抜ける交差点に移転。緑と白だけの草花にあふれた店はむしろ鮮烈で、目に留まりやすい。

kusakanmuri(クサカンムリ)代表の堀田理佳さん
代表の堀田理佳さんは語る。

「デザインや出版畑でやってきた者たちで始めたので、花に関してはゼロスタート。だからこそ緑と白で色を限定して勝負したらおもしろいんじゃない?とか、オンライン販売など、自由に発想できました」

堀田さんが手に持っているのは「ウエディングドレス」という名のバラ。「バラには珍しく一重で、可愛らしく繊細。花びらの形もドレスのようなひだがあり、可憐です」(堀田さん)。

実際、花嫁のブーケにもよく使われるという。

野の花のような素朴で懐かしいイメージの白い千日紅
野の花のような素朴で懐かしいイメージの白い千日紅。店の世界観を表すシンボル的存在の大事な花だ。

色を絞り、品種を多くしたので、 白い千日紅や一重のバラなど、他の店ではあまり見ないものが揃う。たった2色でも発見が多いので楽しく、いつまでも滞在したくなる。

今日のおすすめ「コニファーブルーバード」と桐の実
黄土色の実は桐。右は今日のおすすめ「コニファーブルーバード」はモミの一種。

ブーケなどの企画商品の写真
店頭での販売のほかに、毎月、ブーケなどの企画商品を発売している。価格と仕上がりが明快で、初心者でもオーダーしやすい。
鉢物や多肉植物も取り揃えている
鉢物や多肉植物も取り揃えている。

カタツムリのでん子

2年前から店のスタッフに可愛いがられているカタツムリのでん子。仕入れた花についていたそうだ。

花器やオーガニックハーブティーを並べた棚

日常使いができるシンプルな花器なども扱う。上段は、フランスから輸入しているドライフラワーのようなオーガニックハーブティー「ルベネフィック」。

締め切りに追われるデザイナー業から、 花とお客さんが相手の接客業へ。いちばんの違いはなんだったのだろう。

「デザインは、マウスで思いどおりになりますが、花には寿命があり季節がある。できないことがたくさんあります。それも含めて楽しいですし、草花の時間軸に合わせて働くと、人間らしい生活になりますね」(堀田さん)

車で通りがかった人が、わざわざ戻って立ち寄ることも多いというが、その気持ちがよく分かった。

昔つくったシロツメクサの花冠のように、自分や誰かのために、日常にちょっと足りなかったうれしいものがきっと見つかる。そういう店だからだ。

【kusakanmuri(クサカンムリ)】
東京都渋谷区恵比寿西1-16-4長谷戸ビル1F 電話番号 03・6415・4193 営業時間 12:00〜19:00(土・祝は18:00まで) ※火・日定休
※情報は「リライフプラスvol.39」掲載時のものです。

取材・文/大平一枝 撮影/佐々木孝憲