愛犬のケガや疾患の原因になる「滑りやすい床」。住まいから危険を減らすには?
犬にとって滑りやすいフローリングの床は、ケガや疾患の原因になることがあります。フローリングの暮らしをしていたところ、愛犬を飼うことになった…。そんな場合は、危険な床から、どうやって愛犬を守ればよいのでしょうか。
『愛犬のしつけ+15のトレーニング』の著者でドッグライフアドバイザーでもあるマルヤマミエコさんに、犬が生活しやすい床にする方法を教えてもらいました。100均でも売っているものでも対応できるそうです。ぜひ参考に!
滑りやすい床は犬の疾患の原因になることも
みなさんのお宅の床は、フローリングなどの木材、ビニール素材、タイル素材、それとも大理石でしょうか。
どのような素材の床であっても、犬を室内飼育するのであれば十分な注意が必要です。犬は膝蓋骨脱臼や股関節形成不全、椎間板ヘルニアなどの疾患にかかることがあるからです。
膝蓋骨脱臼になりやすい犬種:チワワ、トイ・プードル、ポメラニアンなど
股関節形成不全になりやすい犬種:ゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバー、バーニーズ・マウンテンドッグなど
椎間板ヘルニアになりやすい犬種:ダックスフントやウェルシュ・コーギー、トイ・プードルなど
これらの疾患を先天的に疾患として持っている犬と、生活しているなかで何かがきっかけで後天的に疾患として表れる犬とがいます。今は大丈夫でも、予防しておくことは大事です。
滑りやすい床で暮らすことは、犬の身体にとってマイナスでしかないことを覚えておきましょう。
愛犬が床で滑らないようにするために飼い主ができる3つの方法
室内で犬を飼育する場合は床の素材に関係なく、滑らないように気をつけることが大切です。
では、どうすれば床が滑りにくくなるのか、方法を3つご紹介します。
滑り止め効果のあるコーティング剤やワックスを塗る
床の滑り止め効果のあるコーティング剤やワックスが販売されているので、それを床に塗る方法。ただし、効果がずっと続くものではないため、定期的な塗り直しが必要になります。
毛足が切りっぱなし絨毯やマットを敷く
絨毯や組み合わせできるコルクマットやジョイントマットなどを床に敷いて、犬が滑らないようにします。ただし、絨毯の毛足がループ状になっていると犬の爪が引っかかってケガをすることがあるので、毛足は切りっぱなしのものを選びましょう。
靴下を履かせるか、肉球に滑り止めの処置をする
床の滑り止めを防ぐ靴下を履かせる、肉球に滑り止めパットを貼る。または、肉球に滑り止め防止クリームを塗るという方法もあります。
足裏の被毛が長いと床で滑りやすくなるので、肉球にかからないように被毛をカットしておいてください。
床に敷くならコルクマットとジョイントマット、吸着マットがおすすめ
床で滑らないようにする3つの方法をご紹介しましたが、飼い主にも愛犬にも負担が少ないのは2番目の床に敷く方法です。そこで、もう少し商品について解説します。
コルクマットやポリエチレン素材のジョイントマット、組み合わせできる吸着マットは、ホームセンターで購入できますが、ダイソーなどの100均でも販売されています。
ダイソーではポリエチレン素材のジョイントマット(縦45㎝×横45㎝、厚さ約1㎝)が1枚100円(税抜き)、同じ素材の小さめのジョイントマット(縦30㎝×横30㎝、厚さ約1㎝)は2枚セットで100円(税抜き)です。ホームセンターでは同じようなジョイントマットが6〜8枚セットで販売されていて、小さめのジョイントマットサイズの値段は、800円ほどでした。
コルクマットとジョイントマットは厚みがあって、クッション性や防音性があります。
ホームセンターで購入できる吸着マットは、表面が絨毯のようになっていて、裏面はゴムコーティングされています。
コルクマット、ジョイントマット、吸着マットは、いずれも大小のサイズがあるので、好きなものを選ぶことができます。品質、価格も様々なので、できるだけ実際の商品を見たうえで比較検討するようにしてください。
使用者に聞いた3つのマットのメリット・デメリット
コルクマットとジョイントマット、吸着マット、それぞれの使い心地を使用者に聞いてみました。参考にしてください。
コルクマット使用者の声
「愛犬が股関節に疾患があり、滑る床は歩きにくく危険だと思ってコルクマットを購入しました。ジョイント式のコルクマットは二重構造になっていて、表面がコルク、裏面は柔らかい樹脂です。汚れても洗えるのがよい点ですが、湿気が多いと組み合わせた箇所に隙間ができるのが気になります」
ジョイントマット使用者の声
「以前は小さいサイズを使用していましたが、現在は大きなサイズを敷いています。両方のサイズを使ってみて分かったのですが、大きいサイズの方がずれにくいです。犬が上に乗って遊んだりするので、マットがずれないに越したことはありません。大きいサイズにして正解でした」
吸着マット使用者の声
「吸着マットは裏面がゴムコーティングされているので、マットの上で犬が走ったり遊んだりしてもずれることがありません。部屋の一部に敷く場合などは特に、ずれにくい加工になっているほうがいいですよね。犬が粗相をして汚れても丸洗いできて、乾いたらまた使用できるので便利。それに経済的です」
床にマットを敷いて滑りにくくすることは、犬のためだけではなく、小さいお子さんや高齢者がいるお宅にもおすすめです。床で滑ったことが原因で起こるケガや疾患予防のためにも、取り入れることを考えてみてはいかがでしょうか。
●教えてくれた人/マルヤマミエコさん
ペット食育協会ペット食育士1級、ドッグライフアドバイザー。ライター兼編集者として、雑誌や書籍、webなどで、幅広く活動中。著書に『愛犬のしつけ+15のトレーニング』
チワワの写真/my beloved dogsさん、photo AC 床掃除の写真/ATOHSさん、photo AC
参考/『改訂版イヌ・ネコ 家庭動物の医学大百科』(パイ インターナショナル刊)