収納術

田川瑞枝田川瑞枝

50代になったら、棚に空きがあるくらいでちょうどいい。収納スペースとモノのバランス

キッチンの吊り戸棚

「家族と暮らしていた頃、雑誌などの片づけ特集で気になる見出しは、<たっぷり収納>というキーワードでした。でも、50代になりモノの数が少なくなってくると、収納場所はそんなに必要なくなってきます」

そう語るのは、ライフオーガナイザーで整理収納のプロ・田川瑞枝さん。50代からの暮らしに最適な収納を教えてもらいました。

空いた棚は空けたままにする

上段が空いたままの収納スペース

収納は、びっしり収めた方が得。そう思っていた頃は、上から下まで、空いている側面も有効活用してモノを収めることが、収納上手だと思っていました。

今は、使いやすい収納としてよく挙げられる8割収納(スペース2割分の余裕をもってしまうこと)を心掛けています。棚が空いたら何か入れる、ではなく空けたままにしています。

洗面所の空っぽの棚

この先、10年、20年経ち、踏み台に乗らないと取れない、高い場所にモノがあると大変危険です。

キッチンの引き出し収納
また、毎日使うモノをしゃがんで取り出すのも体に無理がかかります。

収納場所があると、とりあえずあれこれ入れてしまいがちですが、暮らしの変化とともに見直すことも大事。50代からの暮らしでは、隙間を上手に使うテクニックよりも、取り出しやすさなどスマートな動線を優先した収納を考えるべきだと思います。

収納と居住スペースのちょうどいいバランスは?

「収納率」という言葉をご存知でしょうか。住宅の総床面積に対する収納部分の面積の比率のことを意味します。理想の収納率は戸建てで12~15%、マンションで8%だそうです。

「収納をたっぷり」とるということは、この収納率が上がり、反対にくつろぐための床面積が小さくなってしまいます。子育て世代や家族の人数が多い時は、収納が多い方が良かったのですが、50代になってモノに囲まれた暮らしを卒業すると、収める場所もそんなにいらなくなりました。

居室につくった大型収納

まだ子どもが小さくて、たっぷり収納があればスッキリ暮らせると思っていた時に、大型収納をつくりました。その分、部屋が狭くなりましたが、当時は満足でした。でも、今は収納するモノがなくなったので、代わりに部屋に置いていたタンスを入れています。

大型収納の中にタンスを収納

タンスがなくなった分、部屋が広く使えて快適なうえ、地震で倒れてくる心配も回避できました。

不要になった収納グッズは思いきって処分

洋服、食器など、モノをたくさん持っていた時は、収納が足りないからとカラーボックスや収納棚を買ったり、便利グッズを駆使したりして収納していました。

IKEAのワゴン

かつては、話題の商品だからと、中に入れるモノを考えるより先に、収納用品を用意したこともあります。こちらのIKEAのワゴンもそのひとつでした。

不要になった収納グッズ

50代になって、少ないモノで暮らすようになると、収納するモノ自体がなくなってきます。備え付けの収納だけで間に合うので、買い求めた収納グッズが不要になり、時間やお金をかけて処分することに。無駄なことをしたな、と反省しながらも、この先の暮らしが軽くなることに気持ちが明るくなります。

本当に気に入ったモノだけで暮らすと、少ないモノでも満足でき、気持ちも豊かに。そして持ち物が少ないから、収める場所にも余裕ができて、結果、しまいやすく取り出しやすい収納がつくれます。50代からの暮らしやすさを手に入れるなら、まずは「たっぷり収納」を卒業することから始めてみましょう。

●教えてくれた人/田川瑞枝さん
ライフオーガナイザー、整理収納アドバイザー、ファイリングデザイナー。モノの片づけを通して、生き方の整理整頓を伝える「思考の整理収納塾」代表。時間管理、書類の整理、家計管理、住育、防災片づけ、ワークライフバランスなどのアドバイスも。ブログ「思考の整理収納塾~Sapporoちょこ*スタイル~」を更新中