リノベーション

Sumai編集部

総額592万円の建築家自邸の事例:マンションリノベのコスト、どうやって決めたの?

LDを眺められるオープンキッチンにリノベ

リノベーションのコスト計画をする際、「優先すべきこと」「諦めるべきこと」は、どんなことを基準に判断していけばよいのでしょう?そして、コストの問題を解決する工夫やアイデアには、どのようなものがあるのでしょうか?

ここでは住宅のプロである建築家の自邸をもとに、ヒントを探ります。登場してくれたのは、建築家の本間大吉さん一家。リノベーションのコストにまつわる工夫、アイデア、リノベの楽しみ方を聞きました。

住まいの個性を知り効率的にリノベーション

築14年のマンションを購入し、既存のまま5年間暮らした本間さん一家。暮らしの中で見えてきた、風通しや採光などの悩みをリノベで解決。白とグレーでまとめ、広々とした空間に生まれ変えることにしました。

間取り(リノベーション前後)

本間邸の間取り

既存は典型的な間取りの3LDK。悩みだった北側の部屋への風通しの悪さは、できるだけ間取りを変えず、水回り設備を家の中心の大きな「箱」に収めることで通風を確保。キッチンの向きを変え、和室を撤去し、洋室と一体化させました(2016年6月竣工 東京都北区)。

本間さん宅の工事費の内訳

本間さん宅の工事費

ポイント1:長所・短所をよく知り、間取り変更は最低限に!

リノベ以前の5年間暮らしで気づいたのは、「北側の寝室への風通しの悪さ」や「仕事部屋に採光がない点」。そこでリノベーションでは、極力、既存の間仕切り壁を利用することで、プランを大きく変えずに通風と採光を確保。大きく変更するのはキッチンと水回りのみにしました。

キッチンと水回りを大きく変更

家の住み心地を実感してからに実行しようと、リノベを先送りしたおかげで、物件の長所・短所を明らかにすることができました。

ポイント2:家具は、大工工事+建具工事でつくる

キッチンの背面収納は造りつけに。家具工事業者には依頼せず、本体と棚を大工工事、扉を建具工事で行うことで製作コストを抑えました。「複雑な見え方」をすることが多い既製品と違って、すっきりとした空間に。

キッチン背面の収納部

収納部には扉がついており、閉めると、取っ手や装飾など凹凸のないフラットな面に。これも、広さの演出効果のひとつ。

ポイント3:仕上げ材にメリハリをつける

使用する仕上げ材のランクを要所要所で変えることでコストダウン。フローリングは、寝室は幅狭、ワークスペースとLDKは幅広を採用。寝室のクローゼットのクロスは量産品を採用する一方、人の目に触れる部分の壁は好みの色で塗装しました。

ポイント4:解体から仕上げまでできることはDIY

リノベーションの楽しみのひとつといってもいいDIY。もちろんコスト削減にひと役買っています。本間さんは、既存の壁紙をDIYではがすことで解体費を削減。また、グレー部分の壁や建具の塗装は夫婦で行い、内装工事費をコストダウン。

既存の壁紙をDIYで剥がす

夫婦で力を合わせ、延べ1週間ほどの作業となりました。「わりとうまくできた」と満足。自ら手をかけることで住まいへの愛着がわきました。

教えてください!「住んでいる家をリノベするコツ」

本間さん一家

自分の家をリノベするとなると、それほど不自由を感じていなければ、なかなか重い腰が上がらないもの。コストのこと、家族のこと、仮住まいのこと…。
経験者の本間さんに聞きました。

Q.仮住まい、探すの大変ですが?

A.状況を理解してくれる不動産屋さんを探しましょう

和室を撤去し広いLDKにリノベ

わが家の場合は、子どもがまだ小さかったこともあって、学区変更などの心配はなかったため、それほど苦戦はしませんでした。しかし、短期間の仮住まいのために快く物件を紹介してくれる不動産屋さんはそれほど多くありません。とにかく、理解してくれる不動産屋さんを根気強く探すこと! 必ず理解してくれるところがあると思います。

Q.住宅機器、ネットで購入するってあり?

A.コスト削減におすすめ。でも、工務店さんとよく話して

モデリング

ネットで購入したものを現場で設置してもらうためには、現場を取り仕切る工務店さんに相談してからがいいでしょう。うちでは、ユニットバス以外の機器のほとんどが施主支給です。キッチン、食洗機、水栓、洗面、化粧台、便器、洗濯機の防水パン、照明まで一つひとつ選ぶ作業は楽しかったですね。結果、コスト削減にもつながりました。

Q.家族との話し合いって、なかなか大変では?

A.リノベは家族でよく話し合ういいチャンス!「歩み寄り」が肝になるかも

立体模型

家族で暮らす家だったら、みんなの意見をよく聞くことも大切ですよね。私も妻の意見をできるだけくむようにしました。家の長所や短所など、妻にしかわからない部分もありました。それから、夫婦でDIYしたのはよかったですね。リノベの楽しさに目覚めた妻はInstagramで、DIYや、生活のことをアップするようになり、今では趣味のように「家のこと」を楽しんでいます。

Q.予算の都合であきらめたことってありますか?

A.あります。でも、暮らし始めて「これでよかった」と思っています

じつは、私は洗面化粧台は造りつけにしたかったんです。でも、妻は使い勝手を重視してメーカー品を希望。妻の要望をくむことでコスト削減にもつながりましたし、洗面所の使い勝手はやはりいいですね。限られた予算ですから、実現したいことをリスト化し、しっかり順位をつけることで、あきらめもプラスに感じられるようになる気がします。

本間大吉さん

●教えてくれた人/本間大吉さん(本間大吉設計事務所)
岡田哲史建築設計事務所勤務後、2011年に独立。シンプルで飽きのこない美しい空間づくりに定評があり、個人住宅や別荘、コンドミニアムなど、幅広く手掛けている。妻と5歳の長男の3人家族。

撮影/山田耕司 ※情報は「リライフプラスvol.37」取材時のものです