家づくり

今井大輔今井大輔

キッチンの床に無垢材を使うと汚れが気になる?プロに聞きました

床が無垢材のキッチン

オーダーキッチンについて打ち合わせをする際、キッチン本体のことだけでなく、キッチンの床材について相談されることも多い、と話すのは家具工房「フリーハンドイマイ」の代表・今井大輔さん。
無垢材のフローリングにしたいけれど、汚れたり傷ついたりすることを心配する方が多いといいます。キッチンの床についてどのように考えればいいのか、今井さんに詳しく話を聞きました。

キッチンだけでなく、床についても相談されることが増えた

カウンターにも床にも無垢材を使用したキッチン

インターネットの普及で、直接いろいろな方から、家具やキッチンの相談をされるように。私もお客様からさまざまな声を聞けるようになりました。とくに最近は家具やキッチンのデザインだけでなく、キッチン全体を相談される機会が増えてきました。

その際によく質問されるのは、キッチンの床材をどうしたらいいか、ということ。リビングの床については、無垢フローリングを選ぶ方が多いのですが「リビングは汚れなさそうだからいいけど、キッチンの床に木を使うのは不安」という方が多いです。やはり調理中に濡れたり汚れたりすることが心配だといいます。

ちなみに自宅のキッチン&ダイニングとリビングにはアカマツの無垢フローリングを選びました。私自身も、キッチンが無垢フローリングの家に暮らすのは初めてだったのですが、実際に暮らしてみると、心地よさの方が優っていて、汚れや傷はそれほど気にならないかな、というのが正直な感想です。

もちろん、揚げ物などをすると油がはねて細かなシミができたりしますが、早めに手入れをすればそこまでひどいことにはなりません。また、徐々についていく「暮らしのあと」みたいなものは、好ましいものだとは私は考えています。

オイルとウレタンが混在すると不自然に見えてしまうことも

そもそも無垢の木というのは、材が動いてゆがんだり、割れが起きたり、シミがついたりしやすいものです。それらを理解したうえで独特の質感や表情を楽しむために使うわけですから、無理に抑えつけたり、塗膜で覆ったりするのは材料にストレスがかかるのではないかと思うのです。

リビングダイニングの床はオイルなどの自然塗料で仕上げて、キッチンだけは木の内部に汚れが染みこまないようウレタン塗装にするという方法もあります。合理的ではありますが、かえって不自然に見えてしまう可能性があるので、私はあまりおすすめしていません。

ウレタン塗装の塗膜のつけ方もいろいろありまして、薄く塗ってオイル塗装風に見せる仕上げもあれば、表面の木目がなくなって平滑になるくらいしっかりコーティングして汚れがしみこまないようにする仕上げもあります。

薄く塗って仕上げると木目の凹凸感も残せてそれほどオイル塗装と変わらないため違和感は少ないのですが、どうしても塗装の境目が出てしまいます。キッチンはここまで、ここからはダイニングという部分で木や金属などの見切り材があればいいのですが、最近は床に見切材を入れないお宅も増えています。見切りがなくフローリングがひと続きになっている場合などは、塗装を途中で切り替えるとかえって不自然に見えてしまいます。

ただ、それぞれの暮らしのなかでなにを重視するかはその人それぞれですので、無垢の木の質感や表情が好きだけど、汚れがつくことがどうしても気になるという場合は、キッチンも、リビングダイニングもウレタンで統一してしまったほうが、まとまりが出て、美しく仕上がるのではないかと思います。

足触りや感じ方は樹種によってさまざま

今井さん宅のキッチン

無垢材のフローリングといっても、樹種によって表情や質感はさまざまです。先日、自宅のオープンハウスに来てくれたお客様が、わが家に足を踏み入れた途端「あ―、足が疲れないです」とおっしゃいました。

詳しくお話を聞くと、その方の自宅の床はかたくて丈夫なナラ材。家で裸足で過ごしていると、脚が疲れてだるさを感じやすく、ずっと不思議に思っていたそうです。感じ方は人それぞれですが、わが家の床に使っているアカマツは針葉樹なので、足触りがやわらかく、そのように感じたようです。

やわらかいぶん傷がつきやすいというデメリットはありますが、足が疲れにくく、冬でも床が冷たくなりすぎないというのは実感しています。

タイルやコルクの床にするという選択肢も

タイル床のキッチン

キッチンの床材にタイルを選ぶ方も多いです。掃除がしやすく、デザインのバリエーションが豊富というメリットはありますが、個人的には少しちゅうちょしてしまいます。なぜなら、冬場は足が冷たいからです(床暖房を入れるのであれば話は別です)。

私は普段スリッパを履く習慣がなく、どちらかというと冬でも裸足で過ごすことが多いです。妻や娘たちはさすがに冬場は靴下を履きますが、やはりスリッパは履きません。そうすると、タイルだと冬場は冷たいのです。

自宅の洗面所は掃除のしやすさを優先してタイルにしました。ですが、冬場はお風呂上がりに洗面所のタイルを踏むと冷たいので、家族はバスマットの上を飛び跳ねるように移動しています(笑)。

とくにキッチンは洗面所よりも長い時間を過ごすことが多い場所なので、わが家はではタイルにするという選択肢は最初からありませんでした。

では、キッチンの床材は無垢材が最善なのかというと、ほかにもいい素材をお客様から教えてもらったことがあります。それはコルクです。みなさんご存知のように足触りがやわらかく、最近ではモダンな柄に仕上げられたコルクタイルなどもあります。ひんやりしない床にしたいという方は検討してみるのもいいかもしれません

新築やリフォームで見た目が美しくなる、新しくなることは気持ちがはなやぐことです。でもそれだけではなく、五感を使って、自分がいいと感じた素材を選ぶことで、心地よい空間や心地よい暮らしがつくられていくのではないかと思うのです。

●教えてくれた人/今井大輔さん
暮らしに寄り添うオーダーキッチンやオーダー家具を手掛ける家具工房「フリーハンドイマイ」代表。神奈川県高座郡に工房とショールームがある。